第106回ジロ・デ・イタリアが閉幕。最終日スプリントで勝利を飾ったカヴェンディッシュをはじめ、総合優勝に輝いたログリッチ、粋なリードアウトを披露したトーマスなど、第21ステージを終えた選手たちのコメントを紹介します。



区間1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)

ジロ最終日で勝利したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:CorVos

レース直後インタビュー

本当に嬉しいよ。このジロは数多くの選手が体調不良に見舞われるなど、長く過酷な旅だった。だがチームは一丸となり、勝利を目指して諦めることなく戦い続けた。そして、この勝利を手に入れることがきた。今日はチームメイトが僕を守り、一日を通して素晴らしい働きを見せてくれた。それに僕の元チームメイトかつ友人(ゲラント・トーマス)もね。

とても感動している。2008年のジロで、僕はグランツール初優勝を挙げたんだ。だからイタリアの地で戦う最後のレースを勝つことができ、本当に美しい瞬間だよ。

17回目にして最後のジロ区間優勝を祝うマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:RCS Sport

表彰式後インタビュー

キャリア最後のジロ・デ・イタリアを、このような最高の形で締めくくることができて本当に嬉しいよ。グランツール初勝利をジロのレッジョ・ディ・カラブリアで挙げ、こうしてローマでも勝つことができた。なんて特別な体験なんだ。

斜め前からの向かい風が吹いていたので、コース右側が有利と思いフェルナンド(ガビリア)の背後についた。フェルナンドが早い段階でスプリントを開始し、それ自体は良い判断だったと思う。向かい風で集団が前に出づらい状況だったから不意をつく素晴らしい飛び出しだった。だが、僕は彼のスリップストリームを利用して横に並び、コース右側をとって踏み続けた。本当に嬉しいよ。

マリアローザ プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

息子とダブルテレマークを披露したマリアローザ プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

今日はローマの素晴らしい観客の前でレースする雰囲気を楽しんでいた。昨日のレースも存分に楽しみ、今日はこのマリアローザを着てローマを走ったんだ。これ以上嬉しいことはない。今大会はジェットコースターのような展開で、昨日もすべてがスムーズに進んだわけではない。だが最終的に最良の結果を得ることができた。チームメイトやファン、この3週間に渡り僕たちを応援してくれたすべての人たちに感謝を伝えたい。

―この質問は時期尚早だとは思うが、来年はまたジロに戻ってくるか?それともツール・ド・フランスか?

いまは純粋にこの瞬間を楽しみたい。新たな目標はその後に考えるよ。

総合2位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

レース後、ログリッチを祝福するゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

数日間に渡って総合首位に立ち、それを最終日前日に失うのは辛い体験だ。チームメイトたちによる素晴らしい走りがあった後では尚更ね。僕らは大会の序盤でフィリッポ(ガンナ)を失い、酷い落車でテイオ(ゲイガンハート)が棄権。またパヴェル(シヴァコフ)もレースを去るなか、僕らは勇敢に走り続けた。僕を合わせて5人しかいなかったが、まるで8人いるように感じるほど素晴らしい走りをしてくれた。それに辛いことがあるからこそ、栄光の味は引き立つ。僕らは更に強くなって戻ってくるよ。

―引退については考えているか?

それはチームとこの後に話し合うこと。でも2年以上現役を続けないことは確か。

―カヴェンディッシュの勝利についてどう思うか?

素晴らしいね。自分のポッドキャスト番組で優勝予想に彼を挙げたので、そのためにも手助け(リードアウト)をしたんだ(笑)。彼は過去最高のスプリンターであり、素晴らしいチャンピオンだ。僕と同じく、老人はまだまだ強いんだよ。

トーマスによるレース後のSNSへの投稿

僕には勝機がないので、それなら古くからの友人を助けてみようと思った。ひと足早い引退の餞別だ。おめでとう。

総合3位&マリアビアンカ(ヤングライダー賞) ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

念願となるグランツールの総合表彰台に上がったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

ログリッチとトーマスという偉大な2人と共に表彰台に上がることができ、特別な気持ちがする。そしてまたこの表彰台に戻ってきたい。僕はいまだ成長中であり、来年以降が楽しみだ。良いチームに恵まれ、TV中継に映らないところでも彼らは僕をサポートしてくれた。この結果は彼らがいなければ不可能だった。それにスタッフによる働きも大きかった。チームで掴み取ったこの結果を、心から誇りに思っている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos