ツアー・オブ・ジャパン相模原ステージは、終始逃げが容認されない展開となり、集団スプリントを制したルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)が今大会ステージ3勝目を挙げた。白熱した山岳賞争いは、レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)が、兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)を逆転して獲得した。



ネイサン・アール(オーストラリア、JCLチーム右京)たちが最前列に並ぶ photo:So Isobe

ツアー・オブ・ジャパン第7ステージは、神奈川県相模原市でのステージ。JR橋本駅近くの橋本公園をスタートし、東京五輪のロードレースコースの一部をパレード。宮ヶ瀬湖沿いを進む1周13.8kmの周回コースを7周する計107.5kmのレースだ。

ツアー・オブ・ジャパンをテーマとしたマンホールのフタが相模原市内で使用されている photo:Satoru Kato
ロード・トゥ・ラヴニールについて説明する浅田監督 photo:Satoru Kato


各リーダージャージを先頭に橋本公園をスタート photo:So Isobe

山岳賞が設定される最後のステージでもあるため、僅差の争いに注目が集まった。この日は2級山岳が3回あり、1位通過で5ポイント、2位・3ポイント、3位・1ポイントが与えられる。前日の富士山ステージを終えて、山岳賞ジャージを着る兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)が29ポイント、2位のレオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)が26ポイント。その差はわずか3ポイントで、1位通過を繰り返せば逆転も可能だ。

朝から晴れた宮ヶ瀬湖沿いを行く集団 photo:Satoru Kato

周回コースに入ってアタックが繰り返される photo:Satoru Kato

パレードを終えてリアルスタートが切られると、レースは山岳賞を争う兒島+チームブリヂストンサイクリングと、キンテロ+ヴィクトワール広島を中心に展開。後方から見ていたというリーダージャージのネイサン・アール(JCLチーム右京)に「楽しそうだった」と言わせるほど白熱した。

山岳賞ジャージの兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)をレオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)がマーク photo:Satoru Kato

3回目の山岳賞を1位通過して小さくガッツポーズするレオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島) photo:Satoru Kato

最初の山岳賞が設定された2周目は、キンテロが1位通過、兒島が2位通過となり、兒島のリードは1ポイント差となる。4周目に設定された2回目の山岳賞は、登りに入る前からチームブリヂストンサイクリングとヴィクトワール広島が列車を組み、さながらスプリント勝負のようにペースを上げていき、再びキンテロが1位通過。兒島は2位通過となり、キンテロが1ポイント上回った。6周目に設定された最後の山岳賞もキンテロが1位通過し、計15ポイントを加算。兒島に3ポイント差をつけて山岳賞をほぼ確定させた。

アタックが繰り返されるが集団は逃げを容認しない photo:Satoru Kato

集団中ほどでチームメイトと共に走るネイサン・アール(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato

この山岳賞に向けての動きと、ステージ優勝を狙う各チームの思惑が影響してメイン集団は終始ナーバスな展開が続き、逃げがまったく容認されないまま最終周回へ。数名の飛び出しがあったものの、集団はひとつになってスプリント勝負になだれ込んだ。

最終コーナーを先頭で立ち上がってきたルーク・ランパーティ(トリニティレーシング) photo:Satoru Kato

ルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)が今大会3勝目 photo:Satoru Kato

残り200mの最終コーナーを先頭でクリアしてきたのは、ポイント賞ジャージを着るルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)。直後にベンジャミン・プラデスと岡篤志(JCLチーム右京)が続くも、横に並ぶことさえ許さないスプリントを見せたランパーティーが今大会3勝目を挙げた。

ルーク・ランパーティ(アメリカ)を囲むトリニティレーシングのメンバー photo:So Isobe

ステージ優勝 ルーク・ランパーティ コメント
「昨日の富士山の疲れが残っていて、スタート直後はあまり良いコンディションではないと感じていた。山岳賞やステージ優勝を狙う他チームの思惑が色々絡み合ったレースになったが、最後の上りで前に出て先頭でスプリントすることができた」

逆転で山岳賞を獲得したレオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島) photo:Satoru Kato

山岳賞 レオネル・キンテロ・アルテアガ コメント
「今日は複雑なステージだった。3ポイント差の山岳賞逆転を狙っていたが、かなり動きのあるレース展開で逃げることが難しかった。でも力を出し切って山岳賞を獲得することが出来た。明日は少しリラックスして走れると思う」

相模原ステージを終えての各賞ジャージ photo:Satoru Kato



明日5月28日のツアー・オブ・ジャパン最終日は、大井埠頭での東京ステージ。相模原で大きな動きの無かった総合優勝争いはほぼ確定と言って良く、ネイサン・アール(JCLチーム右京)が何事もなく完走すれば2連覇が決まる。残るポイント賞は、首位ランパーティーと2位岡との差11ポイントは計算上逆転可能ではあるが、ここまでランパーティのスプリントの強さを見る限り難しいだろう。そのランパーティーには、ステージ最多優勝4勝目がかかる。最終日はどのようなレースとなるか?
ツアー・オブ・ジャパン 第7ステージ・相模原 結果(107.5km)
1位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、トリニティレーシング) 2時間23分26秒
2位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、JCLチーム右京) +0秒
3位 岡 篤志(JCLチーム右京)
4位 イエルン・メイヤス(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)
5位 ゲオルギオス・バグラス(ギリシャ、マトリックスパワータグ)
6位 ジョセフ・ピドコック(イギリス、トリニティレーシング)
7位 吉岡直哉(さいたま那須サンブレイブ)
8位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
9位 孫崎大樹(キナンレーシングチーム)
10位 ケヴィン・マッカンブリッジ(アイルランド、トリニティレーシング)
個人総合順位(第7ステージ終了時)
1位 ネイサン・アール(オーストラリア、JCLチーム右京) 15時間22分31秒
2位 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、ヴィクトワール広島) +45秒
3位 岡 篤志(JCLチーム右京) +55秒
4位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、JCLチーム右京) +1分9秒
5位 ドリュー・モレ(オーストラリア、キナンレーシングチーム) +1分34秒
6位 レオネル・キンテロ・アルテアガ(ベネズエラ、ヴィクトワール広島) +1分46秒
ポイント賞(第7ステージ終了時)
1位 ルーク・ランパーティー(アメリカ、トリニティレーシグ) 100p
2位 岡 篤志(JCLチーム右京) 89p
3位 イエルン・メイヤス(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) 62p
山岳賞(第7ステージ終了時)
1位 レオネル・キンテロ・アルテアガ(ベネズエラ、ヴィクトワール広島) 41p
2位 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) 38p
2位 カーター・ベトルス(オーストラリア、ヴィクトワール広島) 18p
チーム総合成績(第6ステージ終了時)
1位 JCLチーム右京 46時間9分52秒
2位 ヴィクトワール広島 +2分24秒
3位 キナンレーシングチーム +3分8秒

text:Satoru Kato
photo:So Isobe, Satoru Kato

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