高校トリオによるMTBチーム、TeensMAP(ティーンズマップ)が新体制を発表。2022年に3冠に輝いた高橋翔を中心に、高校生が自らマネジメントし、力を合わせて世界へ挑戦すべく海外遠征を行うチームだ。

TeensMAP所属の3人 左から遠藤紘介、高橋翔、垣原弘明 photo:Makoto AYANO

TeensMAPは日本発のジュニア、ユースMTB海外遠征チームとして2022年に設立された。今季の所属選手は高校3年生2人と、1年生による3人。チーム名の「10代の地図」には、海外での経験をもとに自分たちで地図を描いていくという意味が込められている。

TeensMAPのコンセプトをプレゼンする高橋翔 photo:Makoto AYANO

チームを発足、そして中心になる選手は17歳の高橋翔(たかはし しょう)。2022年はMTBアジア選手権と全日本選手権XCO、シクロクロス全日本選手権のジュニアで3冠を達成した高校3年生だ。高橋は昨年、フランスでのMTB世界選手権にも出場したがメカトラブルを喫している。

岡山出身の遠藤紘介(えんどうこうすけ/高校3年生)が継続で所属。東京出身の垣原弘明(かきはらひろあき/高校1年生)が加わり、高校生3人で海外へのレース遠征や国内での強化合宿を中心に活動していくという。いずれも小学生時代からMTBレースを競技として取り組んできた3人だ。世界選手権やオリンピックなどで成績を残すこと、プロ選手として活動することを目標として活動する。

TeensMAP所属の3人 左から遠藤紘介、高橋翔、垣原弘明 photo:Makoto AYANO

「この活動を通して選手としてだけでなく人間として成長し、自分たちが見たもの、感じたことを走りに表し、全力でMTBを楽しむ」というモットーを掲げる。

チーム発足のきっかけは、日本国内には海外遠征を行うジュニアチームが無い状況で、「本気で世界と戦っていくにはジュニア世代から世界に挑戦しなければならない」との思いから。昨年、高橋と現フカヤレーシングMTBチームの松本佑太でチームを立ち上げるが、今季からは松本が移籍により離れ、高橋自身がチームマネジャーと選手を兼任することになる。

高橋翔とともにTeensMAPを立ち上げた松本佑太。今季はフカヤレーシングへ photo:Makoto AYANO
TeensMAPのジャージ 「これから地図を描いていく」というコンセプト photo:Makoto AYANO

高橋は「選手とチームマネジャーを兼任することで、チーム運営の大変さも学んでいきたい。今季の目標はワールドジュニアシリーズでの25位以内フィニッシュ、世界選手権トップ20位フィニッシュ、全日本選手権とアジア選手権の2連覇です」と話す。「現在は世界ランキング14位で固定ゼッケンを得ています。去年は最後尾から先頭が見えない状態でスタートしましたが、今年は2列めからスタートできます」。

TeensMAPの選手兼マネジャーとなる18歳の高橋翔 photo:Makoto AYANO

高橋が将来的に大きな目標とするのは2028年ロサンゼルス五輪の金メダル獲得。順調に行けば22歳のときのことだ。

高橋と同じ高校3年生の遠藤紘介は菖蒲谷KIDS、ソニックレーシング出身。「昨年シクロクロスでも欧州遠征を行い、滞在90日制限にかかっためMTB活動は短縮せざるをえなかった。現在の世界ランキングは50位。ポイント圏内の25位以内を目指します」。高校1年生のユース選手、垣原弘明はイオンバイクjrレーシングやRACING TORQUE出身。「海外レースは未経験。最後尾からのスタートとなるので、経験を積んでいきたい」と話す。

TeensMAPの3人とそのスポンサー&サポーターたち photo:Makoto AYANO

チームは海外遠征と国内合宿を中心に活動していくが、さっそく5月7日からスイスと14日のチェコのレースに遠征する。「どちらもハイレベルなレースなので今自分が世界のどの位置にいるかが明らかになるでしょう」と高橋。6月にはイタリアとスイスに遠征する。前半に柿原、後半に遠藤が合流するという。国内合宿の予定はまだ未定だが、海外遠征の合間に組み入れていくことになる。

高橋の個人スポンサーであるPIST6の清水氏は「トラック選手のルーツにもオフロードがあったりする今、引退後のセカンドキャリアが競輪選手ということも視野に支援を決めた。スキルアップと海外へのチャレンジを通して世界を見て、我々の事業にフィードバックをいただくことにも期待している。3人がチャレンジを通して人として大きくなって、今後の業界を育てていってほしい」と話す。

10代の若者が自分たちで世界に挑戦する活動目標をたて、チームを結成し、運営、マネジメントしていく。そしてそれを自らプレゼンテーションする。この頼もしい流れにスポンサー、支援者、協力者が続々と集まっている。

text&photo:Makoto AYANO

最新ニュース(全ジャンル)