「今日引退したとしても、これまでの選手キャリアに一切の悔いはない」と語ったのはロンド・ファン・フラーンデレンを初制覇したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)。他にも2位ながらも満足気なファンデルプールやピーダスン、ファンアールトの言葉を紹介します。



優勝 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

3度目のオウデ・クワレモントでアタックし、独走体勢を築いたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

素晴らしいチームワークによって掴んだ勝利。今日という日を僕は一生忘れないだろう。最後のオウデ・クワレモントで単独で飛び出さなければ勝利はないだろうと思い、全力でアタックをした。その代償として直後のパテルベルグで失速しかけたが、そうなることは多少予測していたし、僕が勝つにはあそこで仕掛けるしかなかった。

オウデ・クワレモントは僕に適した登りで、石畳区間で集団の皆が苦しそうにしている様子は確認していた。だから長い登りを、力任せで登り切った。

―ツール・ド・フランスで総合優勝を挙げた選手がロンドを制覇するのは、ルイゾン・ボベ(フランス)とエディ・メルクス(ベルギー)以来となる快挙。偉業を成し遂げた実感はあるか?

仮に今日引退したとしても、これまでの選手キャリアに一切の悔いはない。それぐらい嬉しく、この勝利を誇りに思う。

ロンド初制覇を成し遂げたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

―モニュメント(5大クラシック)の完全制覇まであと2つとなった。

先日のミラノ〜サンレモからわかるように、あれは最も勝つのが難しいレース。人生でも最高と言えるコンデイションで臨んでも勝てなかった。だが今後も諦めずにサンレモとパリ〜ルーベに向けて挑みたい。ルーベに挑戦するためには石畳に慣れ、体重を増やさないといけないけどね(笑)。でも将来、絶対挑戦するよ。

―たとえ今年ツール・ド・フランスで総合優勝できなかったとして、今シーズンを「成功の年」と言う事ができるか?

ああ。言えるだろうね。

2位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)は追走及ばず photo:CorVos

今日の自分には強さを感じており、ロンドでもベストな走りができたと思っている。だが、今日はまた一段階上のレベルの戦いだったということ。(ポガチャルへの追走は)自分のペースを守って踏み続ければ、追いつくチャンスはあると信じていた。だがポガチャルはそのリードを保ち続けた。それができた彼にこそ、今日の勝利はふさわしい。

正直、今日のレースには満足している。クルイスベルグで決定的なアタックができ、あそこで仕掛ける脚を残せていたことは自分の強さの証明になる。ただ、それを上回る強さをポガチャルが示しただけ。

彼とは良い関係性を築いており、今日彼が見せた走りが本当に素晴らしかったから直接「おめでとう」と伝えた。彼はツール・ド・フランス総合優勝とロンドの両方を制した数少ない選手だ。その事実が更に今日の勝利を特別なものにする。

3位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)

終盤にアタックを仕掛けたマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) photo:CorVos

ビッグボーイたち(ポガチャルやファンデルプール)のアタックに備え、レースの先頭にいる必要があった。その作戦自体は上手くいったし、表彰台に上がれて嬉しいよ。

―オウデ・クワレモントでポガチャルに抜かれたときの心境は?

「いいぞポガチャル!レースを大いに楽しむんだ!あとでまた会おう!」っていう感じかな(笑)。登坂で抜かれたポガチャルにはついていこうとは思わなかった。なぜなら彼はツールを制しているクライマーでもあるんだ。僕が登りで敵うわけがないからね。

それにもしあそこで無理についていこうとしていたら、表彰台どころかもっと後ろの順位でフィニッシュしていただろう。自分の限界はわかっているつもりだからね。この後はパリ〜ルーベに向け、準備を進める予定だよ。

4位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

3位争いをピーダスンが制し、ファンアールトは4位 photo:CorVos

長くタフな最終盤の、スーパーファストかつカオスなレースだった。ナータン(ファンホーイドンク)が先頭集団にいてくれたおかげで、先頭でも後続集団でも”主導権を握らなくもよい”というチームの計画を遂行することができた。そのため予想していたよりも容易くエース同士の戦いに持ち込むことができた。だが、今日のポガチャルとファンデルプールは強かった。

(ファンデルプールがアタックした)クルイスベルグの時点でこのレースの負けは決まっていた。だがそう易々と負けを認められるわけはなく、僕らは表彰台にふさわしいと思い粘った。だからあと一歩のところで表彰台を逃し、とても残念だ。

ここには優勝を掴むべくやってきた。また、調子も悪くなかっただけにこの結果は残念。今日はポガチャルに祝福を送りたい。彼こそ今日の勝者にふさわしい走りをした。

5位 ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)

今季はシングルリザルトを残す好調で5位入賞を果たしたニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

とても満足したレースだが、もっと良い結果が欲しかった。僕より前でフィニッシュした選手たちは、自転車ロードレースを代表する選手たち。その中で5位という結果は満足と言える。この結果が現実かどうか、自分の目でリザルトを確認したいぐらい、ロンド・ファン・フラーンデレンで5位は予想を上回る結果だ。

2度の落車でサイクルコンピュータを落とし、それ以降は無線や周りの選手に状況や、次の登りまでの距離を確認しながら走っていた。結果的に自分の本能に従い走ったことが良かったのかもしれないね。

6位 シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)

逃げグループに入ったシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) photo:CorVos

逃げができるまで100kmを要する厳しいレースだった。僕自身も動いて良い集団が形成された。しかし皆リードを保つのに必死で、決定的なアタックができるだけの力は残していなかった。僕自身はベストを尽くすことができた。だから今日の勝者を祝福したい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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