與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)も出場したドワーズ・ドール・フラーンデレン女子レースをSDワークスが制圧。残り9kmで飛び出したデミ・フォレリング(オランダ)が勝利を飾った。また、マリアンヌ・フォス(オランダ)が3位入賞で復活の狼煙を上げた。



ロード2戦目として臨んだマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

4日後にロンド・ファン・フラーンデレンを控えるのは女子も同じ。その前哨戦であるドワーズ・ドール・フラーンデレン(UCIワールドツアー)が男子レースと同日、3月29日(水)に行われた。ベルギー北西部フランドル地方のワレヘムに発着する114.9kmコースには、昨年から多少の変更があったものの、ノケルベルグの急坂や石畳区間など合計15箇所登場した。

男子のユンボ・ヴィスマのように今年のクラシックシーズンを席巻するSDワークスは、不出場のロッタ・コペッキー(ベルギー)に代わってデミ・フォレリング(オランダ)がエースを張る。その他にも前回王者キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ)やエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)ら強豪選手が揃い、2月に骨盤動脈手術を受け戦線離脱していたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)も出場している。

ワレヘムをスタートした選手たち photo:CorVos

この日雨はなく、風も分裂を引き起こすまでではなかった photo:CorVos

集団ひと塊のまま前半区間を消化し、19歳フランチェスカ・バラーレ(イタリア、チームDSM)の飛び出しによってレースが動き出す。これにヴィクトワール・ベルトー(フランス、コフィディス)が追従し、遅れてセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ)ら2名が合流。4名の逃げグループが誕生した。

残り50kmで約30秒のリードを許したプロトンでは、フォスのアタックに3日前のヘント〜ウェヴェルヘムを制したマーレン・ローセル(スイス、SDワークス)が食らいつく。2人が先頭集団に合流する一方で、メイン集団はロンゴボルギーニとリアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)というエース級の選手たちが先頭で追走した。

プロトンをコントロールしたユンボ・ヴィスマ photo:CorVos

レース先頭ではローセルが積極的だった。プロトンに優勝候補筆頭のフォレリングが控えていることもあり、ローセルのハイペースにルドヴィグを含めて先頭集団から一人、また一人と遅れていく。唯一残ったフォスと2人でフィニッシュを目指したものの、残り17kmで約20名まで人数の減ったプロトンに吸収。そしてこの日最後の登りであるノケレ(残り9km)で、今度はフォレリングが自ら飛び出した。

ここでもフォスが反応したものの、逃げで力を使っていたことも重なりフォレリングの登坂スピードには敵わない。また追走集団が協力してローテーションを組むのではなく、出し抜くアタックと吸収を繰り返したことも先頭のフォレリングには幸いとなった。

この日最後の登坂であるノケレでアタックしたデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) photo:Team SD Worx

独走勝利を掴んだデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) photo:CorVos

後続に38秒のリードを築いたフォレリングが、笑顔でフィニッシュラインを通過。ロンドに向け、弾みとなる勝利を掴み取った。

「私たちチームはいま、勝利を重ねる流れの中にある。今日の勝利は来るロンド・ファン・フラーンデレンに向けて自信に繋がる勝利。このチームは強く、一日を通してレースをコントロールした。そして適切な場所でアタックを決め、勝利というチームのスピリットにふさわしい結果を手に入れた」と、フォレリングは喜んだ。

集団スプリントに持ち込まれた2位争いは、惜しくも連覇を逃したコンソンニが先着。体調不良でロードレースのスタートが遅れたものの、このレースでは持ち前の積極性を発揮したフォスが3位で表彰台に上がっている。

また、與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)は7分19秒遅れの72位だった。

2位スプリントを制した前回覇者キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos

ドワーズ・ドール・フラーンデレン女子レース202表彰台:2位コンソンニ、1位フォレリング、3位フォス photo:CorVos
ドワーズ・ドール・フラーンデレン女子レース2023結果
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) 2:53:04
2位 キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ) +0:38
3位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
4位 ヴィットリア・グアジーニ(イタリア、FDJ・スエズ)
5位 ルビー・ローズマンギャノン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
6位 フロールチェ・マッカイ(オランダ、モビスター)
7位 マーレン・ローセル(スイス、SDワークス)
8位 リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)
9位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 アシュリー・モールマン(南アフリカ、AGインシュランス・スーダル・クイックステップ)
72位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos