チャレンジの新型エントリークリンチャータイヤ、SANREMOをインプレッション。1,000kmオーバーの長期テストで見えたのは、税込3,630円という価格以上の総合性能だった。



チャレンジからリリースされたエントリークリンチャータイヤ、SANREMO photo:Gakuto Fujiwara

ハンドメイドレーシングタイヤで知られているイタリアンタイヤブランドがチャレンジだ。チューブラーやチューブレスレディ、クリンチャーなど、フラッグシップモデルからアーバンモデルまで幅広くラインアップしている名門ブランドであり、そのクリンチャーモデルのエントリーグレードとして登場したのがSANREMOだ。

コットンケーシングを使用したハンドメイドタイヤを主力とするチャレンジのラインアップにおいて、SANREMOは珍しく加硫されたナイロンケーシングを採用したモデル。エントリーグレードに位置付けられるタイヤであり、フラッグシップとは異なる設計が行われているものの、ハンドメイドらしいしなやかさを再現することを目標に開発がスタート。結果的に狙い通りのしなやかさを獲得したとリリースでは触れられている。

チャレンジ曰く中央のポインティングノブは転がり抵抗を軽減し、サイドノブはグリップ力を高めるという photo:Gakuto Fujiwara

60TPIの加硫ナイロンケーシングを採用 photo:Gakuto Fujiwara
25Cと27Cの2サイズ展開 photo:Gakuto Fujiwara



スマートコンパウンドと呼ばれる構造を採用するトレッド面は、中央にポインティングノブを配置し転がり抵抗を低減。サイド部分はコーナリング時やウェットコンディションでグリップ力を発揮する横方向に伸びるヘリンボーンタイプの溝が設けられた。

価格は3,630円(税込)と高騰するロードタイヤの中ではかなり抑えめな価格設定だが、重量は25mmが210g、27mmが240gと重量は他社ブランドのレーシングタイヤに匹敵する数値となっている。それでは編集部インプレッションに移っていこう。



―編集部インプレッション

編集部員の高木がチャレンジ SANREMOをテストしていく photo:Gakuto Fujiwara

これまで多くのブランドのチューブラーやチューブレス、クリンチャータイヤの多種多様なタイヤを使用してきた高木がチャレンジのSANREMOをテストする機会を得た。近年はシクロクロスで32Cを使用しているせいか、最近ではロードバイクでも太めの28Cを愛用するようになっており、今回テストを行った27Cや25Cは少し細身の印象。

チャレンジというブランドに対してはハンドメイドを貫く伝統的なブランドというイメージを持っていたが、このSANREMOは同社ハイエンドモデルとは違う一般的なナイロンケーシングモデル。個人的な注目点は「チューブラーに似通ったチャレンジらしい乗り味」は感じられるのかどうかという点。

ダンシングも軽快 photo:Gakuto Fujiwara

タイヤの装着はスムーズだ。ULTEGRAのホイールに対してビードも上がりやすく、扱いやすいさが際立つところ。出先のパンクでは特に作業性が重要となるが、この容易さであればストレスは感じない。

ハードユースに向いていそうな価格と作業性から、今回は1000kmを超える長期インプレッションを実施した。荒れた路面や綺麗な舗装路、起伏の激しい埼玉県の秩父の山岳地帯抜ける150kmのライド、雨の中など、様々なコンディションでタイヤ性能や耐久性のテストを行った。

トラクションがしっかり掛かるためスプリントしやすい photo:Gakuto Fujiwara

ミドルグレードとは思えない軽快な走り

SANREMOの適正空気圧は25Cで5.5~7.5bar、27Cで5~7bar。筆者は62kgで、低圧セッティングを好むためそれぞれの下限値でテストを開始した。しかし低圧状態でも漕ぎ出しから軽く、スムーズにスタートできる。これはタイヤセンターのトレッドパターンや、他ブランドのフラッグシップタイヤに匹敵する軽さのおかげだろうか。ストップアンドゴーが多い都心のサイクリングでも、再発進でのストレスは感じにくい。

登りでも転がりや重量の軽さが活き、ダンシングでも軽快で、リズムをとりながらのヒルクライムでもタイヤが走りを阻害することがない。ハイスピードのダウンヒルでも不安感はなく、狙ったラインをトレースできる信頼性とコントロール性も備えている。流石にハイグリップを謳うハイエンドモデルほどの食いつきはないものの、若干苔むしていたり、荒れた路面でもヒヤッとする場面は感じなかった。価格から想像していた以上に優れた性能がある。

コーナーでも攻め込めるコントロール性能を備えている photo:Gakuto Fujiwara

しなやかさは十分。チャレンジ"らしさ"をしっかり担保

同社伝統のチューブラーやハンドメイドチューブレスモデルと比べれば乗り味の硬さは否めないものの、ケーシングの柔軟性は路面からの振動の角を丸めてくれる。コンパウンドの表層も少々固めの印象だが、トータルのライドフィールとしては乗り心地が良く、コンパウンドの硬さはほとんど気にならないレベル。

空気圧を適正空気圧の最小から最大まで試してみたが、筆者のフィーリングでは25Cで5.5bar、27Cで5barと各モデルの下限あたりが乗り心地と性能のバランスがちょうどいい感じ。

1000kmオーバーの走行距離でもトレッドパターンが残る耐摩耗性の高さ

1000kmのテストライド後のフロントタイヤ

1000kmのテストライド後のリアタイヤ

今回は1000kmを超えるテストを行ったが、センターのタイヤトレッドパターンもしっかりと残っていて、コンパウンドの耐摩耗性はかなり優秀と言えるだろう。実際にパンクは一度も起こらず、第一の長所と感じた作業性の良さをライド中に体感する機会は(残念ながら?)訪れなかった。

アンダー4,000円というプライスタグに騙されることなかれ。SANREMOは5~6,000円台の値付けでも全くおかしくない、高性能でコストパフォーマンスに優れるタイヤだ。タイヤの価格が高騰する中、リーズナブルな価格設定で、多くのサイクリストにマッチする性能も兼ね備えているため、多くの方に履いてもらいたいタイヤだ。(インプレッション:高木三千成)

軽量でもあるため登りも軽快にこなせる photo:Gakuto Fujiwara



チャレンジ SANREMO
サイズ:25mm 、27mm
重量:210g(25mm)、240g(27mm)
カラー:ブラック
価格:3,630円(税込)
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