EFエデュケーション・イージーポストが2019年アメリカ国内選手権王者で近年はグラベルレースを主戦場するアレックス・ハウズ(アメリカ)のロード引退を発表した。今後はグラベルやマウンテンバイクレースの選手として活動していく。



2017年ジャパンカップに参戦したアレックス・ハウズ(アメリカ、当時キャノンデール・ドラパック)2017年ジャパンカップに参戦したアレックス・ハウズ(アメリカ、当時キャノンデール・ドラパック) photo:Kei Tsuji
「喜びを感じながらワールドツアーを離れる選手はそう多くはないだろう。なぜなら多くが自分で下した決断ではないだろうし、自らの判断だとしてももっと複雑な理由だろうからね。その点において僕は運がいい。(ロードを離れた後も)この20年と同じく笑顔でいられることに幸せを感じている」とアレックス・ハウズ(アメリカ)は、ロード引退を伝えるEFエデュケーション・イージーポストのプレスリリースでそう語った。

2023年1月1日で35歳を迎えるハウズは2007年にスリップストリーム(現EFエデュケーション・イージーポスト)でプロデビュー。途中下部チームに移る期間がありがならも約14年に渡って同一チームで走り続けた。登りを得意としたハウズはジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャという3大グランツールのすべてで完走し、2019年のアメリカナショナル選手権ロードレースでは優勝して星条旗デザインのチャンピオンジャージを手に入れた。

そしてEFが2019年よりスタートさせたグラベルやMTB、エンデュランスレースを走る”オルタナティブカレンダー”の活動に、ハウズは同じく今年7月限りでロードチームを離れたラクラン・モートン(オーストラリア)と共に参加。2021年はアメリカ・コロラド州で開催されたグラベルレース「SBT GRVL」で優勝するなどトップ選手の一人として活躍している。

今年のアンバウンド・グラベルでCWの取材に応えてくれたアレックス・ハウズ(アメリカ)今年のアンバウンド・グラベルでCWの取材に応えてくれたアレックス・ハウズ(アメリカ) photo:Makoto AYANO
2019年アメリカ国内選手権を制したアレックス・ハウズ2019年アメリカ国内選手権を制したアレックス・ハウズ (c)USA CyclingUSAプロチャレンジで区間優勝したアレックス・ハウズ(アメリカ、ガーミン・シャープ)USAプロチャレンジで区間優勝したアレックス・ハウズ(アメリカ、ガーミン・シャープ) photo:Tim de Waele

ハウズの引退に際してジョナサン・ヴォーターズGMは「彼はFTPの数値ではなく、根性と技術、そして努力でワールドツアーまで上り詰めた選手。そういった選手が現れなくなってしまったのは自転車競技の進化であると同時に、悲しいことでもある」とコメント。「彼は私が30年以上携わってきたこの競技の中で最も尊敬する選手の一人。他が諦めるような状況下でも、彼は決して諦めなかった」と、共に歩んできたハウズに対して熱いメッセージを送っている。

「これからはオルタナティブ(代替)カレンダーが僕の本カレンダーになる」と語ったハウズ。今後もグラベルレースシリーズであるLifeTime Grand Prixを中心に活動していく。

text:Sotaro.Arakawa