シマノが展開する総合パーツブランド、"PRO"がリリースしたフル内装ステム一体型ハンドル"VIBE EVO CARBON"をインプレッション。高い剛性と快適性、そして一体感を兼ね備えた注目のレーシングエアロハンドルだ。



PRO VIBE EVO CARBONPRO VIBE EVO CARBON
シマノが展開し、ハンドルやステム、サドルなど、バイクを構成する多くのパーツを手がけている総合パーツブランドが"PRO"だ。UCIワールドチームのボーラ・ハンスグローエとスーダル・クイックステップ、チームDSMの3チームの走りを支え、デュラエースなどと同様にトップシーンからの厳しいフィードバックを得て製品開発に取り組んでいる。

ハンドルやステムといったコックピット周辺パーツは、そんなPROの主力製品。フル内装化が進んでいるトレンドにのっとり、PROは新型のステム一体型ハンドル"PRO VIBE EVO CARBON"をラインアップに加えた。

エアロ性能を追求したデザインエアロ性能を追求したデザイン
ハンドル形状はコンパクトハンドル形状はコンパクト
バートップも握りやすいようにグリップを搭載バートップも握りやすいようにグリップを搭載 バートップにサテライトスイッチを内装できるバートップにサテライトスイッチを内装できる

VIBE EVO CARBONはフルインターナル(フル内装)、セミインターナル(ステム下側に沿わせるもの)、従来型の外出しと3タイプのケーブルルーティングに対応し、ほぼ全てのバイクにセットアップできることが特徴だ。

VIBE EVO CARBONハンドルには軽量かつ高い強度を誇るT700カーボンが採用され、トップスプリンターのパワフルなスプリントでも力を逃さない剛性と強度を獲得。重量は390g~となっており、ステム一体型ハンドルとしては軽量な仕上がりといえる。

ケーブルを通す穴は大きめに設計されているケーブルを通す穴は大きめに設計されている
ハンドル裏にはケーブルを通す穴やフロントマウント取り付け用の台座を配置ハンドル裏にはケーブルを通す穴やフロントマウント取り付け用の台座を配置
ハンドルの上部からケーブルルーティングが可能ハンドルの上部からケーブルルーティングが可能
ハンドルはリーチが80mm、ドロップが132mm、フレア角は5度というコンパクト形状。ドロップ部を握った時に自然な場所にハンドルが位置し、長時間でも握りやすく疲れにくいことが特徴だ。

上面はステムクランプ部にかけてフラットでエアロ性能に優れたデザインになっている。また、バートップ部分はシリコングリップが搭載され手が滑りにくいよう配慮されている(バーテープを巻く部分はドロップ部のみ)。さらに、VIBE EVO CARBONハンドル専用の"エルゴドロップバーグリップ"が用意され、バーテープを一切巻かないセッティングも可能になっている。

フロントマウントを取り付けられるフロントマウントを取り付けられる
ハンドル幅400mm、ステム長115mm、実測値:412gハンドル幅400mm、ステム長115mm、実測値:412g
サテライトスイッチとスプリンタースイッチをスマートに装着できることは"VIBE EVO CARBONハンドル"の大きな魅力だ。バートップにはサテライトスイッチ、ドロップ部にはスプリンタースイッチを搭載する専用ホールが用意され、一体感がある取付けが可能。ハンドルと一体となるため、握り心地に影響しないのは嬉しい。

エルゴドロップバーグリップとVIBE EVO専用コンピューターマウントなどオプションパーツが充実していることも総合ブランドPROの強み。また、エルゴドロップバーグリップを装着すれば、スプリンタースイッチをグリップ内部に収納できるため、ハンドル周りを綺麗にセットアップできる。

ハンドル幅は380、400、420mmの3種類、ステム長は105、115、125mmの3種類が展開されている。ステムの角度を±2度調整できるシムを付属しているため、セッティングの幅も広がるはずだ。価格は93,500円(税込)。



―編集部インプレッション

PRO VIBE EVO CARBONPRO VIBE EVO CARBON
今回インプレッションを担当するのは、これまで多くのPROハンドルを使用してきた編集部員の高木。ロードレースとシクロクロスではアルミ製の"VIBE 7S"のステムに、ハンドルはラウンド形状400mm、トラック競技のチームパーシュートやロードの個人タイムトライアルではMISSILE EVOのTTハンドルなど、10年以上に渡ってPROのハンドルを愛用してきている。

VIBE EVO CARBONの芯-芯のサイズを実測してみると、ハンドルの上面では400mm、エンドでは425mmと広めのフレア具合。380mmのハンドル幅が展開されているのは、エアロダイナミクスに配慮してコンパクトなポジションを取り入れたいという考えを反映させやすい。もちろん小柄な方でもこのサイズを選べるのは有り難い。

これまで多くのPROハンドルを使用してきた編集部員の高木がインプレッションこれまで多くのPROハンドルを使用してきた編集部員の高木がインプレッション
今回はVIBE EVO CARBONハンドル専用の"エルゴドロップバーグリップ"を装着したテストバイクでインプレッションを行った。エルゴドロップバーグリップ装着時のハンドルの太さは凄いものがあるものの、実際握ってみると横方向は比較的薄い。若干エアロを意識してか、進行方向に向かってすぼまっているような形状だ。

エルゴドロップバーグリップは指の第二関節にピッタリとフィットし、しっかりと握り込むことができるのでスプリントでパワーをかけやすい。もちろんバーテープよりもグリップ力に優れており、雨などのコンデイションでも安心して操作することが可能と思われる。厚さと素材特性によるものだろう、クッション性にも非常に優れている。

エルゴドロップバーグリップがあるとハンドルと手の隙間がなく、しっかりと握ることができるエルゴドロップバーグリップがあるとハンドルと手の隙間がなく、しっかりと握ることができる
ハンドルバー自体はルックスからいかにも硬そうだが、実際に乗ってみると程よい剛性感に仕上げられていて意外だった。硬いか柔らかいかと問われれば硬めの範疇だが、力をかけたときにわずかなしなりを感じる。ゴールスプリントをイメージして、力強くバイクを振りながらスプリントをしてみたが、一体型ハンドルに感じがちなブレがなくバイクの反応性が高くなる。

エアロダイナミクスに注力したデザインは、実際に走っていても、コックピット周りの空気の抜け感は良く、優れた剛性バランスと相まって懐の深いハンドルに仕上がっているような印象がある。

トップキャップは専用品が付属トップキャップは専用品が付属
エルゴドロップバーグリップ装着時エルゴドロップバーグリップ装着時
バートップ部分のシリコングリッパーや、ブラケットのレバーを握り込む位置やブラケットの上部、下ハンドルのスプリンタースイッチ周辺など、あらゆる部分が握りやすいのも魅力的。長距離レースやライドを想定すると、ストレスなく握る場所を変えて疲れを分散させることができるはずだ。

さらに、ステム一体型ハンドルならではの振動吸収性に優れている感覚があり、先述したように適度なしなりによって衝撃を受けた時も手が弾かれてしまうこともない。

スプリントでもパワーを受け止めてくれるスプリントでもパワーを受け止めてくれる
ブラケット上部を握るエアロポジションもとりやすいブラケット上部を握るエアロポジションもとりやすい
フロントマウントはガーミンやワフー、ブライトンに対応しているため、多くのユーザーが使いやすいだろう。また、ライトやアクションカメラを取り付けるアクセサリーなども充実している。私自身もレースやトレーニング、カフェライドなどでGoProを取り付けたり、早朝や夜間ライドすることがあり、ライトを取り付けるシーンがあるため、拡張性があるのは嬉しい点だ。

PRO VIBE EVO CARBONハンドルはフル内装に対応しエアロ性能に優れ、スプリント時のダンシングでもバイクとの一体感が高く、フラッグシップモデルであることを感じさせてくれるステム一体型ハンドルだった。また、振動吸収性やコントロール性能の高さも魅力的な一本だ。

ハンドルトップが扁平し、エアロダイナミクス向上に貢献するハンドルトップが扁平し、エアロダイナミクス向上に貢献する


PRO VIBE EVO CARBON
素材:T700
サイズ:380mm、400mm、420mm
ステム長:105mm、115mm、125mm
重量:390g~
価格:93,500円(税込)

text:Michinari TAKAGI
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