2017年ツアー・オブ・ジャパンやジャパンカップで優勝し、日本人に強烈な印象を残したマルコ・カノラ(イタリア)が現役引退を発表。現役続行を希望していたものの、33歳のカノラに移籍オファーが届くことはなかった。



現役引退を決断したマルコ・カノラ(イタリア)現役引退を決断したマルコ・カノラ(イタリア) photo:CorVos
「獲得オファーを願い、またプロ選手であり続けることを願っていた。しかし残念ながら実現することはなく、いま(選手とは)違う道について考えなければならない。(引退は)迫られた選択であり、まだプロフェッショナルとして発揮できるものはあった。それはレース結果ではなくチームメイトを支え経験を伝えることだった。だがこの現実を受け入れなければならない」。現役引退を決断したマルコ・カノラ(イタリア)はイタリアメディアに対しそう答えた。

カノラは2012年にコルナゴ・CFSバルディアーニ(現バルディアーニCSFファイザネ)でプロデビューを果たした33歳。2014年のジロ・デ・イタリア第13ステージで区間優勝し、NIPPO・ヴィーニファンティーニに移籍した1年目のツアー・オブ・ジャパンで区間3勝を挙げ、同年のジャパンカップではクリテリウムと合わせ2冠を達成した。

2017年は前日のクリテリウムに続きジャパンカップでも優勝したマルコ・カノラ(イタリア、当時NIPPOヴィーニファンティーニ)2017年は前日のクリテリウムに続きジャパンカップでも優勝したマルコ・カノラ(イタリア、当時NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
悪天候のレースを得意としたマルコ・カノラ(イタリア)悪天候のレースを得意としたマルコ・カノラ(イタリア) photo:Satoru Katoジャパンカップクリテリウムを制したマルコ・カノラ(イタリア、当時NIPPOヴィーニファンティーニ)ジャパンカップクリテリウムを制したマルコ・カノラ(イタリア、当時NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji

その後2020年にガスプロム・ルスヴェロへ移籍したカノラだったが、今年2月にロシアがウクライナへ軍事侵攻したことでUCI(国際自転車競技連合)がロシアとベラルーシ籍チームのUCIレースへの参加を禁止。個人として6月のイタリアナショナル選手権に出場したものの、その後は所属先を見つけられずにいた。

同じインタビューにてカノラは「UCIによる決断は重く、まるで独裁体制のような振る舞いだ。そのせいで何人もの選手が見捨てられてしまった。国際組織として正しい姿勢にはない」とガスプロムからレース参加資格を剥奪したUCIを痛烈に批判。同時に「僕はこのスポーツが健全かつクリーンであることを伝えるべく、11年のプロ生活を通して布教に尽力してきた。そんな僕がこのような形で(自転車界から)見放されるのは気持ちのよいものではなかった」と心の内を素直に語った。

「それがプロの世界であろうと、はたまた自転車ツアーであろうと今後も自転車界と関わっていきたい。いま現在は監督になる準備を進めており、更に自分のビジネスを立ち上げる考えもある。何が動きがあればお知らせするよ!」と、カノラは今後の予定と共に引退インタビューを締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa