2017年ツアー・オブ・ジャパンで区間3勝を挙げ、同年にジャパンカップを制したマルコ・カノラ(イタリア)が、いま引退の危機に瀕している。今年3月のガスプロム消滅後、元ジロ区間優勝者が移籍先を探し続けている。



今年3月に所属チームが消滅し、無所属となったマルコ・カノラ(イタリア)今年3月に所属チームが消滅し、無所属となったマルコ・カノラ(イタリア) photo:Kei Tsuji
「いくつかのチームから契約の話は浮上したが、どことも契約には至っていない。メンター(助言者)として僕が貢献できるチームはあると思っている。是非とも若い選手たちにチームで走りレースする方法を教えたい」と語ったのはマルコ・カノラ(イタリア)。11月29日現在においてもカノラの所属先は決まっていない。

カノラは「既にこれまでの選手キャリアには満足しており、いまはボーナスのように感じている」とコメント。「(チーム探しが)うまく行かなければ自転車競技に別れを告げることになる」と現役引退の覚悟をしながらも選手続行への未練を語った。

カノラは1988年生まれで現在33歳のクライマー。2012年にイタリアの名門チームであるコルナゴ・CFSバルディアーニ(現バルディアーニCSFファイザネ)でプロデビューを果たし、2014年のジロ・デ・イタリア第13ステージでは逃げ切りから区間優勝した。

2017年ジャパンカップで優勝したマルコ・カノラ(イタリア、当時NIPPOヴィーニファンティーニ)2017年ジャパンカップで優勝したマルコ・カノラ(イタリア、当時NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
日本でカノラの名が知れ渡ることとなったのはNIPPOヴィーニファンティーニに加入した2017年。ツアー・オブ・ジャパンで区間3勝を挙げたカノラは、同年のジャパンカップも(前日のクリテリウムと続けて)制して日本人ファンに強烈な印象を残した。

その後カノラは2020年にロシア籍プロチームのガスプロム・ルスヴェロへ移籍。しかし今年2月にロシアがウクライナへ軍事侵攻したことでUCI(国際自転車競技連合)がロシアとベラルーシ籍チームのUCIレース参加禁止。そのためチームは事実上活動休止状態に陥り、EFエデュケーション・イージーポストに加入したアンドレア・ピッコロ(イタリア)など例外はいるものの、カノラを含む大半の選手が移籍先を見つけられずにいる。

text:Sotaro.Arakawa