イギリスTT王者に6度輝き、イスラエル・プレミアテックに初のグランツール区間優勝をもたらしたアレックス・ドーセット(イギリス)が現役を引退。早くからYoutubeを通して情報発信するなど、競技外でも精力的だったドーセットの引退に際するコメントを紹介する。



今季限りで現役引退するアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・プレミアテック)今季限りで現役引退するアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos
「ワールドツアーから離れ、同時にプロ自転車競技からも引退する」と自身のYoutubeチャンネルで発表したのは元イギリスTT王者のアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・プレミアテック)。その2ヶ月前の「あと2年はプロとして走りたい」という訴えから一転、12年に及ぶプロ生活に別れを告げた。

引退を決めた理由を「今年に入って変わったこととして『過去の勝利より大きな勝利が欲しい』や『より大きなことを成し遂げたい』という気持ちが揺らいだため」と語ったドーセット。10月21日にフランスで開催されたクロノ・デ・ナシオン(UCI.1.1)が現役最終レースとなった。

ドーセットは2011年にスカイプロサイクリング(現イネオス・グレナディアーズ)でプロデビューした34歳。同年にイギリスナショナル選手権個人タイムトライアルを制して以降、6度の優勝(2011〜13、15〜16、19年)を飾り、モビスターに移籍した2013年のジロ・デ・イタリア第7ステージではブラドレー・ウィギンス(イギリス)を破り、自身初となるグランツール区間優勝に輝いた。

2020年ジロ・デ・イタリア第8ステージで2度目の区間優勝を挙げたアレックス・ドーセット(イギリス、当時イスラエル・スタートアップネイション)2020年ジロ・デ・イタリア第8ステージで2度目の区間優勝を挙げたアレックス・ドーセット(イギリス、当時イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
2015年に52.937kmのアワーレコード世界新記録を樹立したアレックス・ドーセット(イギリス、当時モビスター)2015年に52.937kmのアワーレコード世界新記録を樹立したアレックス・ドーセット(イギリス、当時モビスター) (c)movistarteam.comイギリスTT王者に計6度輝いたアレックス・ドーセット(イギリス)イギリスTT王者に計6度輝いたアレックス・ドーセット(イギリス) photo:Kei Tsuji

しかしドーセットの名が広く知れ渡ったのはレースではなく、2015年に52.937kmという新記録を樹立したアワーレコードだった。そして昨年2021年に再挑戦したドーセットは記録更新は叶わなかったものの、自身の記録を上回る54.555kmで当時の歴代2位の記録を叩き出した。

カチューシャ・アルペシンを経て2020年にイスラエル・スタートアップネイション(当時)に活躍の場を求めたドーセットは、同年のジロでチームとして初となるワールドツアーかつグランツールの区間優勝を挙げた。また自身も患う血友病の基金を立ち上げ、2017年からYoutubeチャンネルで発信するなどレース外での活動も活発に行っていた。

「引退後も二輪(自転車)の世界に居続けるつもり。多くの人をより速くする手助けがしたい」と語ったドーセットは「Thighs Club」という空力性能に特化した自転車のアパレルブランドを設立。引退を伝える動画を「(引退選手の多くが転身する)グラベルレーサーになる!なんてことは言わない。なぜならグラベルレースなんて出場したこともないのだからね」とジョークで締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa

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