今年のロード世界選手権を前に現役を引退したトム・デュムラン(オランダ)がセカンドキャリアについて言及。しばらくは自転車界に携わらないとしながらも、将来的な指導者等への興味を語った。



8月に突然の引退発表をしたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)8月に突然の引退発表をしたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:Team Jumbo-Visma
「自転車界を取り巻く空気は好きなので『ここが僕の居場所』だと思っている。また、やり残したことがまだあると感じている。自転車界を我が家のように思っているし、自転車に対する愛情もある」と地元オランダ紙NRCのインタビューに対し、トム・デュムラン(オランダ)はそう答えた。

2021年に選手活動を一時休止したデュムランは、同年に復帰して東京五輪の個人TTで銀メダルを獲得。今年は3年ぶりにジロ・デ・イタリアに出場したものの、体調不良で途中棄権した。その後6月のロード世界選手権個人タイムトライアルが最終レースだと明かしたデュムランだったが、「世界選に向けた練習が思うように進まなかった」と8月に突如現役引退を発表した。

観戦のためロード世界選手権の舞台であるオーストラリアにやってきたトム・デュムラン観戦のためロード世界選手権の舞台であるオーストラリアにやってきたトム・デュムラン photo:CorVos
今年現役を引退したサムエル・ビューリー(ニュージーランド、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)がイスラエル・プレミアテックで、また2020年に選手キャリアを終えたユルゲン・ルーランツ(ベルギー)がモビスターの監督に就任するなか、当然デュムランにも後進の指導が期待されるところ。セカンドキャリアについて聞かれると「いつかコーチやコンサルタントとして携わりたい気持ちはある」と前向きなコメントを残しながらも「だが、いまはしばらくプロチームから離れたい」のだと言う。

引退後の予定については「人生で初めて全てに意識を向けることができている。僕はいま、完全なる空白のページに身を置いている。今後自分がどこに向かうのか、何も決まっていない」と語ったデュムラン。「空白のまま暫く時を過ごしたい。なぜならとても気持ちが良いのだからね」とインタビューを締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa