11月13日(日)、愛媛県松山市の県庁前にあるANAクラウンプラザホテル松山において、「第2回自転車甲子園」が行われた。愛媛県内の13校が参加し、自転車の知識や実技、そしてより良い自転車環境を実現するための討論を行った。



会場は県庁前にあるANAクラウンプラザホテル松山。高校生たちは緊張の様子。会場は県庁前にあるANAクラウンプラザホテル松山。高校生たちは緊張の様子。
自転車甲子園とは、『高校生がサイクリングに関する正しい知識や技術を身に着けるとともに、地域の自然環境や文化への理解を深め、サイクリングを通じて、地域の魅力を発見・発信できる人材として活躍することを応援します。また、地域課題に向き合う活動により、学生・学校が社会的に影響の高い活動をしていることをお互いに認識しあい、県内外へ示していくことを目的とします。』(自転車甲子園公式ページより引用)。

愛媛県副知事の八矢拓氏(審査委員長)、国土交通省 自転車活用推進本部 事務局次長 金籠史彦氏(特別審査員)は共にサイクリスト、審査員にも要人が迎えられ、注目度の高さがうかがえる。

参加したのは愛媛県内13校から各校代表の3名の生徒たち。クイズ、実技、スピーチの3種目で競い、総合点の高い4チームが決勝へ進み、討論バトルによって優勝校が決められる。

実技【ヘルメットの装着】で、お互いのヘルメットをチェックし合う生徒たち実技【ヘルメットの装着】で、お互いのヘルメットをチェックし合う生徒たち
全10問で行われる【クイズ】は道路交通法やマナーに関するもの。例えば「歩道走行が認められている普通自転車のサイズは?(答え:幅60cm/長さ190cm)」など、勉強していないと答えられない問題ばかりだった。

第2種目の実技【ヘルメットの装着】では、被りの深さやあごひもの長さ、スライダーの位置が正しく調整されているかを、オージーケーカブトの社員が細かくチェックし採点を行った。実技のもうひとつ【パンク修理】には多くのチェック項目があり、時間制限があるからかパンクの原因をチェックすることを忘れてしまい減点となる学校が多くあった。

パンク修理の実技では、協力して作業を行う。パンク修理の実技では、協力して作業を行う。 【地域活動に関するスピーチ】の様子。八幡浜工業高等学校はMTBコースを実走して紹介。【地域活動に関するスピーチ】の様子。八幡浜工業高等学校はMTBコースを実走して紹介。
第3種目の【地域活動に関するスピーチ】では、交通安全活動や、地域でのサイクリングに関するスピーチに自転車への関心、意識の高さを感じた。また、八幡浜工業高等学校は八幡浜にあるMTBコースを紹介し、弓削高等学校は上島町4島(ゆめしま海道)のサイクリングを行うだけでなく、高校生がビジネスとして成立させるという内容のスピーチを行った。愛媛県にはしまなみ海道だけではない、多くのサイクリング環境があることを改めて知らされた。

第4種目の【討論バトル」に選ばれたのは、新居浜東高校、今治明徳高校、弓削高校、松山北高校の4校。「自転車の交通事故を激減させるための方法は?」というテーマに各校の見解が示された。

なかでも感心させられたのが弓削高校の「自転車が歩道を走行するのを禁止し、自転車が安全に走行できる道路を新設する」というもの。コペンハーゲンにあるそれを知識として知ってはいるものの、僕は自信を持って、それを日本で!と言えるだろうか。新しい力。日本の自転車をとりまく環境は変化していくのだろうという希望を感じた。

優勝を手にした弓削高校の生徒たち。「上島町にいろんな人を巻き込んでいきたい」優勝を手にした弓削高校の生徒たち。「上島町にいろんな人を巻き込んでいきたい」
審査委員長の八矢氏はスピーチをした高校生たちに多くの質問を投げかけていた。審査委員長の八矢氏はスピーチをした高校生たちに多くの質問を投げかけていた。 特別審査員の金籠氏、「若い世代に刺激を受けました」特別審査員の金籠氏、「若い世代に刺激を受けました」


全員で記念撮影。学校どうしの交流も生まれる全員で記念撮影。学校どうしの交流も生まれる
集計の結果、第2回自転車甲子園の優勝校に選ばれたのは弓削高校。「優勝したことがゆめしま海道のある上島町のアピールになるし、今後、上島町にいろんな人を巻き込んでいきたいと思っています」と語った。

特別審査員の金籠氏は「国としても自転車の活用をいろいろな分野で進めていこうと思っています。それを高校生という若い世代がしっかりとやっているということに刺激を受けましたし、こういった動きが愛媛から全国に広がっていくといいなということを感じました」。

若い世代が、自転車に対して真摯に向き合った自転車甲子園。彼らが大人になり、親となった時、自身の子どもたちに自転車の活用法やルール、走り方を教えることで、自転車への愛に満ちた世代を再生産していくことになるだろう。そんな時代が来たら、きっと日本の自転車を取り巻く環境は良くなっていくことは間違いない。そして、自転車甲子園が全国に広がれば、その効果は格段に大きくなるはずだ。

自転車甲子園は来年も開催予定となっている。この取り組みが継続し、更に日本中に拡大していくことに期待が膨らむ。
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