最大勾配20%の激坂「サンルーカ」を5度登る伊ワンデーレースで、エンリク・マス(スペイン、モビスター)がタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)を引き離して独走勝利。1週間後のロンバルディアに向けて弾みをつけた。



現役ラストシーズンでありながらも、好調をキープするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)現役ラストシーズンでありながらも、好調をキープするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
2022年シーズンも佳境に入り、イル・ロンバルディアを1週間後に控えたイタリアではジロ・デッレミリア(UCI.Pro)が行われた。1909年に初開催されたワンデーレースはジロ・デ・イタリアと肩を並べる歴史を誇り、今回で105回目を迎える。

舞台となるのはイタリア中部のエミリア=ロマーニャ州ボローニャ近郊。レースの見どころは2019年ジロ・デ・イタリアの開幕初日のTTコースにも組み込まれたサンルーカの激坂で、初山翔らが駆け上がったサンルーカ聖母教会を目指す登りは登坂距離2kmで平均勾配10%オーバー。最大勾配20%に達するこの激坂を5回登坂する。

昨年はプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が2度目の栄冠に輝くなど、歴代優勝者には登坂力に長けるクライマーやパンチャーたちの名前が並ぶこのレース。今年も1週間後に控えたイル・ロンバルディアを見据え、2020年覇者アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)やタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)など豪華メンバーが集った。

序盤から逃げたユンボ・ヴィスマの下部チームに所属するリック・プルイマース(オランダ)序盤から逃げたユンボ・ヴィスマの下部チームに所属するリック・プルイマース(オランダ) photo:CorVos
獲得標高差が3,000mを超える2022年ジロ・デッレミリア 獲得標高差が3,000mを超える2022年ジロ・デッレミリア photo:CorVos
カルピの街をスタート後10kmで逃げグループを形成したのはジョフレ・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン)など5名の選手たち。プロトンはアダム・イェーツ(イギリス)をエースに据えるイネオス・グレナディアーズやポガチャル擁するUAEチームエミレーツがペースメイクを担い、2分差のままサンルーカの周回コースに突入した。

逃げ集団から最後まで粘るコービー・ホーセンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)にプロトンから飛び出したテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が追いつき、ここにアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)とピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)が合流。この4名は一時15秒のリードを得たものの、3度目の「サンルーカ」でメイン集団に引き戻された。

振り出しに戻ったレースのコントロールを担ったのは、ディエゴ・ウリッシとダヴィデ・フォルモロのUAEチームエミレーツのイタリアコンビ。過去優勝者の2人によるハイペース牽引は一気にプロトンの人数を絞り、最後から2つ目のサンルーカでロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、エオーロ・コメタ)が加速。ここから有力選手たちによる登坂バトルが幕を開けた。

ポガチャルと共に飛び出したエンリク・マス(スペイン、モビスター)ポガチャルと共に飛び出したエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos
ポガチャルとマスを追うドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)ポガチャルとマスを追うドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
ポガチャルらを引き離し単独になったエンリク・マス(スペイン、モビスター)ポガチャルらを引き離し単独になったエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos
急勾配区間でアタックしたポガチャルに唯一エンリク・マス(スペイン、モビスター)が追従し、2人はローテーションを組みながらダウンヒルでリードを拡げにかかる。しかしここにドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)やリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が平坦区間で合流。この日最後のサンルーカに突入し、バルベルデの牽引からマスが飛び出した。

マスの登坂スピードに対し、ポガチャルやポッツォヴィーヴォもついていけない。最大勾配20%区間も一定のリズムで踏み続けたマスが、意外にも今シーズン初となる勝利を掴み取った。

今季初勝利を挙げたエンリク・マス(スペイン、モビスター)今季初勝利を挙げたエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos
ジロ・デッレミリアを初制覇したエンリク・マス(スペイン、モビスター)ジロ・デッレミリアを初制覇したエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos
「ブエルタ・ア・エスパーニャの後、良いトレーニングを積むことができた。だからこのレースに良いコンディションで臨むことができたんだ。この勝利は最終盤まで先頭集団にいてくれたアレハンドロ(バルベルデ)のおかげ。みんなポガチャルがどんな選手か知っている。その彼をアタックで負かすことができて本当に嬉しいよ」とマスはコメントする。

「今年は難しいシーズンになり、序盤戦で落車が続いたことによりチームからの信頼を失ってしまったんだ。だがツール・ド・フランスの後に良い休養を得て、いまはとても良い調子だよ」とブエルタで総合2位に入り、1週間後のイル・ロンバルディアに向けて弾みをつけたマスは語っている。

2位には11秒遅れでフィニッシュしたポガチャルが入り、今年のはじめは所属チームが見つからず引退の危機にも瀕したポッツォヴィーヴォは地元イタリアで嬉しい表彰台に上がっている。
ジロ・デッレミリア2022結果
1位エンリク・マス(スペイン、モビスター)4:55:31
2位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)0:11
3位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)0:14
4位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)0:26
5位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)0:31
6位ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、エオーロ・コメタ)0:37
7位ルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)0:46
8位ルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ)0:53
9位ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)1:12
10位マイケル・ストーラー(オーストラリア、グルパマ・エフデジ)1:13
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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