サーヴェロから新たな位置づけのレーシングバイクが登場。稀代の名車"SOLOIST"の名を現代に蘇らせ、最新世代のレースバイクへ与えた。新生SOLOISTが目指したのは、S5より軽く、R5よりエアロ、Caledoniaよりアグレッシブな一台だ。



サーヴェロ SOLOISTが復活サーヴェロ SOLOISTが復活 (c)東商会
2000年代初頭、ファビアン・カンチェラーラやカルロス・サストレといったビッグネームが揃ったチームCSC。名将ビャルヌ・リース率いる常勝軍団を支えていたのがカナダのレーシングブランドであるサーヴェロだ。

今ではレーシングバイクを名乗るためには欠かせない要素となったエアロダイナミクスにいち早く注目したサーヴェロは、翼断面形状のチュービングを採用した"SOLOIST"を2006年にカーボン化しレースシーンへと投入。エアロでありながら軽量かつ高剛性なレースバイクとして、平坦ステージを中心にCSCの選手らに愛用されてきた。

その後、エアロロードというカテゴリーが普遍化し、各社がカタログにエアロロードを掲載し始めたのは、SOLOISTを駆るCSCの選手らの活躍による影響は否定できないだろう。そのように、レーシングバイクの歴史に名を残す名車として語り継がれているのがSOLOISTであり、サーヴェロというブランドを語る上で外すことはできない存在だ。

エアロなダウンチューブ、ほぼホリゾンタルのトップチューブ、ドロップドシートステーなど最新スペックを網羅したエアロレーサーとして新たな息吹を吹き込まれたSOLOISTエアロなダウンチューブ、ほぼホリゾンタルのトップチューブ、ドロップドシートステーなど最新スペックを網羅したエアロレーサーとして新たな息吹を吹き込まれたSOLOIST (c)東商会
そして2022年、13年ぶりにSOLOISTが帰還する。ホリゾンタルなトップチューブにドロップドシートステーを採用しつつ、シャープなフロントフォークデザインとエアロシートポストを組み合わせることで、現代のエアロロードとして違和感のないスペックを完備している。

エアロロードの代名詞として知られたSOLOISTだが、今モデルでは少しその立ち位置を異にする。ピュアなエアロロードとしてのS5と、クライミングバイクのR5の中間のような位置づけの一台だ。ルックスとしては、サーヴェロが現在「モダンロード」としてラインアップするCaledoniaに近しいフォルムを持ちつつも、よりレーシーでアグレッシブなモデルとして開発されている。

R5のエッセンスを纏ったシャープなヘッドチューブデザインR5のエッセンスを纏ったシャープなヘッドチューブデザイン (c)東商会
具体的な数値としてはR5より12Wの空気抵抗低減を実現しつつ、S5よりもフレームセットで250g軽く仕上げられている。R5譲りのジオメトリで、クイックでありながら扱いやすい範疇のハンドリングを実現しているという。

実際のところ、パヴェステージでユンボ・ヴィスマに用いられていたCaledonia5と比べても、BBハイトが2mm高く、ヘッドチューブは1°起こされ、チェーンステーを5mm、ホイールベースを19mm短縮。トレイルも1.5mm短くなっているなど、レーシングロードらしいジオメトリーとされている。

SOLOISTのために開発されたセミ内装システム。D型形状のコラムを採用し、2重のトップキャップを経由してフレーム内部へケーブルを導くSOLOISTのために開発されたセミ内装システム。D型形状のコラムを採用し、2重のトップキャップを経由してフレーム内部へケーブルを導く (c)東商会
S5では二股形状の専用コックピットを採用したサーヴェロだが、SOLOISTではより扱いやすく調整しやすいシステムとしてセミ内装システムを新たに採用する。

上側のベアリングキャップを上下2つに分割し、スマートなケーブルルーティングを可能に。ケーブル自体はハンドル下側からステム下部を通り、ヘッドセットへと誘導される。ステム下側にはクリッピークリップと名付けられたパーツをねじ止め可能で、ケーブルを美しくまとめて配線できるような工夫もされている。

カムテール形状のシートピラーを採用。クランプ部にはエアロなカバーが設置されるカムテール形状のシートピラーを採用。クランプ部にはエアロなカバーが設置される (c)東商会
シートポストのデザインもR5とS5の中間を行く設計とされている。R5のD型断面よりもエアロ効果が高く、S5の翼断面よりも軽量なカムテールデザインの新型ポストは、まさにSOLOISTの性格を表しているパーツだとも言えよう。

BB規格にはT47 BBrightを採用する。メンテナンス性と耐久性に優れるスレッド式でありながら、大口径かつプレスフィットBBに迫るBB幅を実現する規格だ。高度なツールと技術を持つメカニックで無くとも、一般ライダーのメカニックスペースに用意している工具で交換作業を行える規格として、サーヴェロはSOLOISTにこのBBを与えたという。

サーヴェロ SOLOIST(GOLD DUST、スラム Rival AXS完成車)サーヴェロ SOLOIST(GOLD DUST、スラム Rival AXS完成車) (c)東商会
サーヴェロ SOLOIST(EMBER、シマノ ULTEGRA R8170)サーヴェロ SOLOIST(EMBER、シマノ ULTEGRA R8170) (c)東商会サーヴェロ SOLOIST(ALPENGLOW、シマノ105 R7020 完成車)サーヴェロ SOLOIST(ALPENGLOW、シマノ105 R7020 完成車) (c)東商会


タイヤクリアランスは34mmと幅広く、ちょっとしたグラベル程度ならものともしないキャパシティを与えられている。電動、機械式、両方のコンポーネントに対応しており、様々なアセンブルで組み上げられるのもSOLOISTの美点だ。

サーヴェロが現在ラインアップするS5、R5、Caledoniaの長所を保ちつつ欠点を補うレーシングバイクとして新たな息吹を吹き込まれたSOLOIST。1台でどんなコースでも、どんなシチュエーションにも対応し、セルフメンテナンスをも可能とするこのバイクは、トレーニングを重ねるシリアスライダーにとって日々のライドで最も選びやすい一台だろう。

SOLOISTはファスト・ロングライドでライダーの相棒となってくれるだろうSOLOISTはファスト・ロングライドでライダーの相棒となってくれるだろう (c)東商会
そんなSOLOISTは、コンポーネントの異なる6種類の完成車とフレームセットでの展開となる。カラーはGOLD DUST、ALPENGLOW、EMBERの3色が用意されるが、完成車グレードによって用意されるカラーは異なっている。価格は最上位のR8170 ULTEGRA DI2 完成車およびスラム Force eTap AXS 完成車が1,188,000円。最も手に取りやすい機械式のR7020 105 完成車が594,000円。フレームセットは484,000円(全て税込)となっている。



サーヴェロ SOLOIST ラインアップ
シマノ ULTEGRA DI2 R8170完成車
カラー:Embers、Gold Dust
価格:1,188,000円(税込)

スラム Force eTap AXS完成車
カラー:Embers、Gold Dust
価格:1,188,000円(税込)

シマノ 105 DI2 R7170完成車
カラー:Embers、Gold Dust
価格:858,000円(税込)

スラム RIVAL eTap AXS完成車
カラー:Embers、Gold Dust
価格:880,000円(税込)

シマノ ULTEGRA R8020完成車
カラー:Embers、Gold Dust
価格:748,000円(税込)

シマノ 105 R7020完成車
カラー:Alpenglow、Embers、Gold Dust
価格:594,000円(税込)

フレームセット
カラー:Alpenglow、Embers、Gold Dust
価格:484,000円(税込)

SOLOISTの詳しい販売ラインナップは東商会のホームページから確認のこと。
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