「総合からステージ優勝へと目標を切り替え、掴んだ2勝の価値は大きい」と、ブエルタ14日目を制したリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)は語った。タイムロスを最小限に留めたエヴェネプールや、復調を見せたログリッチなど選手の言葉を紹介します。



区間優勝 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)

独走に持ち込んだリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)独走に持ち込んだリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:Unipublic
今日は第12ステージの再現ができる、とても重要なステージだと分かっていた。逃げ集団が形成されるまで長い時間が必要だったものの、良いタイミングで動きに乗ることができた。

共に逃げた選手たちとは良い協調体制を築くことができ、4分差を保ちながらフィニッシュを目指した。最後の登りはとてもよく知っているコースだったので、自分のペースを守りながら登った。厳しい戦いになるとは分かっていたので、決して希望を捨てずに踏み続けた。

今大会ステージ2勝目を喜ぶリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)今大会ステージ2勝目を喜ぶリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
僕はこの大会に総合順位を目指すべくやってきた。けれど、いまはステージ優勝を狙い、総合争いではチームメイトがその強さを発揮している。目標を変更すべきであることはアストゥリアス(第1週目)の時点で明らかだった。

チームとして僕のステージ優勝はとても重要な意味を持ち、だからこそチームも僕を全力でサポートしてくれた。大事なのはその目標を達成できたこと。このブエルタ・ア・エスパーニャでステージ2勝はとても美しく、大きな達成と言える。この勝利は僕やチーム、そして未来の僕にとって素晴らしい結果だ。

区間2位総合6位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン)

フィニッシュ手前でログリッチをかわしたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン)フィニッシュ手前でログリッチをかわしたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン) photo:CorVos
ラスト1kmで彼(カラパス)の姿が見え、プロモシュ(ログリッチ)と共に全力で追走したものの差を縮めることができなかった。2017年と同じようにラスト1kmから急な下り坂が現れ、最後の300mは再びフィニッシュラインまで登りが続いていった。

最も重要なことは、自分の調子が良いこと。日に日にコンディションが良くなってきているんだ。このまま脚の状態が上向きであることを願っている。

区間3位&総合2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

エヴェネプールを引き離したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)とミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン)がフィニッシュを目指すエヴェネプールを引き離したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)とミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン)がフィニッシュを目指す photo:Unipublic
今日は僕らにとって素晴らしい日となった。タイムを失うことがあれば、逆に奪う日もある。今日は僕が奪い取る番だった。コンディションが徐々に上がっているので、この走りを続けることができれば最高だね。

また今日はチームメイトに感謝しなければならない。このチームの一員として走ることができて嬉しいよ。マドリードまで先は長いものの、僕たちはこの調子で戦い続ける。

区間4位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

今日はスタートからフィニッシュまでフルガスの戦いで、特に集団が分かれた序盤はチームが一つになって乗り越えることができた。最終盤での脚は良く、良い結果が得られた。残念ながらフアン(アユソ)がパンクに見舞われたものの、彼は自らでその危機を打開した。明日は大会の鍵となるステージ。今年はシエラネバダで何度もトレーニングを重ねてきたのでコースは熟知しているし、また同時にどれだけ厳しいかも知っているよ。

区間6位&総合3位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

ログリッチからは遅れながらもエヴェネプールから総合タイムを奪ったエンリク・マス(スペイン、モビスター)ログリッチからは遅れながらもエヴェネプールから総合タイムを奪ったエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos
ログリッチとの差を詰めたら力を使い果たしてしまった。きっと出力値が高すぎたのだろう。こういった過ちから学ぶことは多い。レムコ(エヴェネプール)からタイムを奪えたことは嬉しいし、明日はクイーンステージだ。とても厳しい戦いとなるだろう。ログリッチは徐々に調子を上げており、マークしなければならない存在だ。大会の最初から言い続けているように、楽しみながら走り、自分の走りでアドバンテージを稼ぎたい。

区間8位&マイヨロホ&ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)

遅れつつもマイペースでフィニッシュを目指すレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)遅れつつもマイペースでフィニッシュを目指すレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:Unipublic
急勾配の山岳フィニッシュ(第9ステージ)で(今日失ったよりも)総合タイムを稼いでいたから大丈夫。今日の調子はベストではなかったし、ログリッチの加速についていくことができなかった。でもリードがまだ1分50秒ほどあるのでパニックに陥るような状況ではないよ。この後は回復に努め、明日もまたサバイブしたいね。

(落車による怪我の影響は)今日はなかったが、明日かその後に待つ休息日で現れるかもしれない。でもこの怪我を言い訳にはしたくないし、今日は最良のコンディションになかっただけ。今日がこの3週間で最も悪い日であることを願っている。

ラスト3kmの登りはとても急勾配で、風の影響もあり選手の背後につくことができなかった。だがそんな中でも落ち着いて戦い続けることができた。(タイムを失って)不安がないと言えば嘘になるが、これがグランツールだ。そんな中でも僕の自信は揺るがず、休息日を翌日に控える明日の山岳の準備はできている。

最終盤で牽引したクリス・ハーパー(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)

プリモシュ(ログリッチ)から「最終盤をタフな展開にしてくれ」と言われたので、ハイペースを刻んだ。プリモシュの強さが戻ってきている事実がチーム全員を鼓舞してくれる。なぜならチーム全員が彼のことを信じているからさ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos