「2日前の勝利で肩の荷が下り、自然体な走りができた」とジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が区間2勝目の勝因を語った。積極的な走りでマイヨロホを守ったエヴェネプールなど、ブエルタ8日目を選手の言葉で振り返ります。



区間優勝&山岳賞 ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)

今大会2勝目を挙げたジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)今大会2勝目を挙げたジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
最初の山岳では逃げ切れるか分からず、メイン集団は高い強度で追走してくると思っていた。そのため僕の目標は前半のKOM(山岳ポイント)を取ることだった。その後下りでFDJの3名が合流し、プロトンはクイックステップがコントロールに入ったので「力を極力使わずKOMをトップ通過できればステージ優勝も可能」だと思った。

最後はルツェンコがます仕掛け、僕はその背後について追随した。その後彼が2度目のアタックをする素振りを見せなかったので、「ここから頂上まで25分程度の登り」と思い踏み込んだ。何より2日前に勝利した登りと同じような時間だったからね。

プロ2勝目に加え、山岳賞ジャージを手に入れたジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)プロ2勝目に加え、山岳賞ジャージを手に入れたジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
踏み始めて1分半ほど経ってから後ろを振り返ったら誰もいなかった。その次にやってきたヘアピンで再度後ろを確認したけど誰の姿もなかった。だからそのまま踏み続けた。

2勝目は本当に素晴らしい。最初の勝利で自信をつけ、肩の荷が下りたので自然体で走ることができた。逃げ集団の中でもプレッシャーを感じることはなく、今日は勝利ができなくても山岳賞ジャージがあるということもリラックスできた理由だろう。とにかく今日は楽しんで走ることができた。本当に楽しい日だったよ。

区間2位 マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)

ペース走法で区間2位に入ったマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツペース走法で区間2位に入ったマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ photo:CorVos
挑み掴んだ2位という結果に満足している。最後の登坂は自分のペースで行こうと決め、これ以上は出来ないぐらいに自分のベストを尽くした。毎日僕は全力で、チームの力になるよう走っている。今日のような日にこそ、先手を打ってレース展開を作ろうと思ったんだ。

区間3位 レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

ヴァインの加速に遅れを取るレイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)と	ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)ヴァインの加速に遅れを取るレイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)と ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) photo:CorVos
今日は選手人生で最良と言ってもいいほど調子が良かった。力を尽くし、自信もあった。若い選手たちが登坂の途中で力を使い果たすと思っていたが、ジェイ・ヴァインの走りは素直に素晴らしいと呼べるものだった。

区間4位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)

ヴァインのアタックについていこうとしたが、彼は強さを発揮した。僕にできることはなく、自分のペースで登るよりもとにかく食らいつきたかった。一度遅れれば2度と追いつかないと思うほど彼は強かったからね。僕に向いたステージだったので勝てなくて本当に残念だよ。

区間5位&マイヨロホ レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)

安定感ある走りでマイヨロホを保持したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)安定感ある走りでマイヨロホを保持したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:Unipublic
今日の目標は総合タイムを失わず、チャンスがあれば逆に奪いにいくことだった。最も重要なプリモシュ(ログリッチ)とエンリク(マス)の2人以外からはタイムを稼ぐことができた。また今日はプリモシュが強さを見せたね。それは嬉しいことだし、その方がレースが盛り上がるよね。

今日の僕はベストを尽くし、チームはスタートから素晴らしい働きを見せてくれた。決して簡単なことではないし、僕をこの結果に導いてくれた彼らを祝福したい。

誰が集団から遅れたのかをチームカーが無線で伝えてきたのだがよく聴こえず、40人ほどいた集団が気づいたら3〜5人まで減っていた。何が起きたのかよく把握していないものの、フィニッシュ後にスタッフに聞いたら(僕の後ろにいたのは)プリモシュとエンリクだけだと伝えられた。完璧な日となった。

今日の脚の感触はよく、この後は回復に努めて明日はスーパーフレッシュな状態で臨みたい。過去の大会と比べても決して大きなタイム差とは言えないが、自信を持って走りたい。明日もジャージを守るべく全力を尽くすし、もちろん勝利も狙っていきたい。

区間7位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

マスと共にエヴェネプールを追従したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)マスと共にエヴェネプールを追従したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
数日前よりも確実に脚の状態はいい。このブエルタのレベルは高く、ペースもとても速い。だが僕のコンディションは良く、強豪選手たちの中で走ることができた。今日のレース展開に興奮しているし、僕たちは正しい方向に向かっている。日に日に体調は上向いているものの、次の2週間は何が起きてもおかしくない。

逃げに乗りポイント賞ジャージを掴んだマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)

山岳に耐えポイント賞で首位に立ったマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)山岳に耐えポイント賞で首位に立ったマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) photo:CorVos
逃げに乗ることは今朝のプランにはなかった。僕みたいな選手にとってスタート直後から登坂が始まるステージは苦痛でしかないのだが、今日は幸運にも脚が良かったんだ。だからなんとか先頭集団で(最初の)山岳を越えることができた。その後の下りで逃げ集団を作ろうという動きがあったので数名と一緒に合流したんだ。

もちろん今日のステージで良い結果を残そうなんてつもりはなく、僕が逃げたのは中間スプリントで20点を掴み、このジャージを獲得することだけ。決して簡単ではなかったものの、何とか目的を達成することができた。本当に嬉しいよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos