強豪クライマーたちを引き離しての優勝。ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)は「夢のようでいまだ勝利が信じられない」と喜んだ。マイヨロホを掴んだエヴェネプールなど、選手たちの言葉でブエルタ6日目を振り返ります。



区間優勝 ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)

大金星を挙げたジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)大金星を挙げたジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
レース直後インタビュー

信じられないことが起こった。スタートして僅か5kmでパンクに見舞われ、序盤の逃げに入ることが叶わなかった。それでもチームのプランは逃げ集団を捉えたら僕が最終山岳で勝負することだった。総合勢のいるメイン集団から飛び出し、勝利を掴めただなんて本当に信じられない。素晴らしい。

昨年のブエルタで勝利を逃してから、このためにずっと準備を進めてきた。それを遂に実現することができ、夢が叶った気持ちだよ。

先頭にパデュンがいることは把握しており、彼に追いつくには長い距離が必要だった。ラッキーと言えることは僕が総合で13分遅れていたこと。僕が勝利しても誰も気にしないからね。その後は自分の力を制御し、登り続けることだけだった。それが上手くいったよ。

フィニッシュまでの数メートルは妻のことを考えていた。彼女はこの3、4年に渡り僕をここまで導いてくれたからね。それと「そろそろコルベット(スポーツカー)でも買おうかな」と考えていたよ。(笑)

念願のプロ初勝利を掴み取ったジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)念願のプロ初勝利を掴み取ったジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
表彰式後インタビュー

(ズイフトアカデミー出身の僕は)いまだズイフトはレースの準備に活用しているよ。それに僕は軟弱だから、今日のような天気の時は外に出て練習したくないからね(笑)。そもそも(いま住んでいる)アンドラは常に天候が良いので、トレーニングの多くは外で行っているよ。

区間2位&マイヨロホ レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)

マイヨロホに袖を通したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)マイヨロホに袖を通したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:Unipublic
レース直後インタビュー

とても嬉しいし、リーダージャージを着用できて光栄に思う。夢が叶ったし、このために僕は長く努力を続けてきた。過去最高の走りができたのじゃないかな。チームのおかげもあり、山頂フィニッシュで良い走りができた。この走りこそが僕たちがチームでブエルタにやってきた理由だし、誇りに思っている。この良い感触を明日以降も持続させられるよう頑張りたい。

表彰式後インタビュー

マスに対し前を牽くようにとは言わなかった。後続との差が拡がっており、もし協力することができれば先頭に追いつくことができると思っていた。しかし重要なことは強力なクライマーたちとの差を拡げること。僕の後ろにただついていたエンリク(マス)に対し腹出しさなど全くないよ。彼も僕と同じく完璧なレースをしたまで。それにとても良い調子でこのブエルタを戦えそうに見えた。

ブエルタはまだまだ続いていく。(第1週目が終わる)あと3日間、このジャージを守るために全力を尽くすよ。その後に何が待っているかはその時次第だ。

区間3位&総合3位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)に食らいつくエンリク・マス(スペイン、モビスター)レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)に食らいつくエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos
レムコ(エヴェネプール)についてきくことはできたのだが…。ひとまずできる限りのことはやった。これはとてもポジティブな結果だ。(初日の)チームタイムトライアルではタイムを失ったものの、オランダを良い感触で去ることができた。そして今日は素晴らしいと言える結果で、ライバルたちにタイム差をつけることができた。

区間4位&総合5位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)

エヴェネプールとマスを追いかけるフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)エヴェネプールとマスを追いかけるフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
雨の影響もあり、とても厳しいステージだった。最後の山岳はジュニア時代に登った経験があり、自分のペースを刻んだことでログリッチのグループに追いつくことができた。そしてそのペースが僕を4位へと導いてくれた。

このスペインで争われた最初の山岳ステージは難しい戦いだったが脚の感触はよく、この結果にも満足している。このブエルタでは日々学ぶことができている。

区間5位&総合4位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

総合タイムを失ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)総合タイムを失ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic
今日は強豪選手たちについていく脚がなかった。だからフィニッシュラインまで全力で、追走に力を使ったのだが追いつくことはできなかった。総合タイムを失ったものの、マドリードはまだ遠い。明日以降のステージでタイムを取り戻せるといいね。戦いは厳しく、そうなるだろうという認識はスタート前に持っていた。感触はよく、戦う準備はできている。僕は前向きだよ。

区間10位&総合9位 サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)

トップから1分37秒遅れでフィニッシュしたサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)トップから1分37秒遅れでフィニッシュしたサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:Team BikeExchange-Jayco
悪くない日だったが予想よりも総合タイムを失ってしまった。だけどそれがレースというものだし、この数日で何が起こるか見てみよう。また脚もさほど悪くはない。僕がこの2ヶ月ほど高地トレーニングを行っていたシエラネバダの砂漠とは全くことなる天候。あっちは40度を超えていた一方で、今日の頂上は15度程度?この後も変わらずフルガスで戦い続けるよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos