「モビスターが僕を育て、UAEが走る理由を与えてくれた」とマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)は2年振りの母国勝利を喜んだ。マイヨロホを獲得したモラールやレースコントロールの極意を語るヘーシンクなど、ブエルタ5日目を選手コメントで振り返ります。



区間優勝 マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)

2年振りにプエルタで区間優勝を挙げたマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)2年振りにプエルタで区間優勝を挙げたマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
逃げ集団の中では激しくも素晴らしい戦いが繰り広げられた。最初こそ逃げに入ることができなかったものの、登りであれば先頭に追いつくチャンスがあると監督がアドバイスしてくれた。その指示通りに実行し、最後は勝利を掴みにいった。とても嬉しいよ。

(単独走になってからは)本当に苦しかったがチームカーからの励ましが力になった。残り500mまで自分の勝利を信じておらず、しかしフィニッシュの瞬間は喜びを味わうことができた。この勝利は僕をここまでの選手に育ててくれたモビスターのおかげ。彼らに多大なる感謝を伝えたい。そしてUAEは僕に新しいモチベーションと挑戦を与えてくれた。その恩に勝利で報いることができて嬉しいよ。

最後の登りでアタックし、そのままフィニッシュするという自分のスタイルで勝利を挙げることができた。そして素晴らしい観客たちが、沿道から素晴らしい雰囲気を演出してくれた。

区間2位 ダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)

後続集団で先着するも、区間2位だったダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)後続集団で先着するも、区間2位だったダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック) photo:Unipublic
(第2ステージでの)落車の影響で本調子ではなかった。だが今日は理想的な走りをすることができた。スプリントする脚もタイミングもバッチリだった。ソレルが飛び出してしまい残念な結果にはなってしまったが、勝利した彼を祝福したい。素晴らしい走りだった。

区間3位&ヤングライダー賞 フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)

マイヨロホには届かなかったものの、マイヨブランコを獲得したフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)マイヨロホには届かなかったものの、マイヨブランコを獲得したフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
レースを観ていてくれた僕の母とガールフレンドは、おそらく今日のレースを僕よりもハラハラしながら観ていたことだろう。なぜなら彼女たちは僕と同じぐらい僕の勝利を願ってくれているのだからね。今日は全力を尽くしたものの、下りでソレルを捉えられるだろうと判断を誤ってしまった。今夜はどうすればよかったのかを一晩中考えることなりそうだ。だが自分のコンディションには満足しているし、マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)も勝利を逃した慰めになってくれる。

ツールを良い調子で終え、コモンウェルス・ゲームスでそれを証明する勝利に迫る走りができた。勝利を逃した後悔よりも自分への自信を深めることができた。ブエルタはまだまだ続いていくし、僕の選手キャリアは始まったばかり。頑張って走り続ければきっと報われると信じている。

区間4位&マイヨロホ ルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ)

マイヨロホを受け取ったルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)マイヨロホを受け取ったルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) photo:Unipublic
(4年振りに)またマイヨロホを着用するビッグデーとなったよ。総合タイムもトップとさほど差がなかったため、昨日から逃げに乗ることを考えていた。だからチームメイトに「マイヨロホを掴むことができるかもしれない」とあらかじめ伝えていたんだ。

(共に逃げた)ジェイク(スチュワート)の走りはとても力強く、僕のために集団を牽引してくれた。彼ならば小集団スプリントで勝てると思っていたのだが、終盤はアタックが繰り広げられる混沌とした展開になった。でも結果的にソレルが飛び出し、マイヨロホ獲得には完璧なシナリオとなった。本当に嬉しいよ。

区間5位 ローソン・クラドック(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)

積極的な走りが光ったローソン・クラドック(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)積極的な走りが光ったローソン・クラドック(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:CorVos
自分の手札を使い勝負したが上手く行かなかった。タフなステージで大きな動きをマークすべく逃げに乗ったんだ。この周回コースは僕に向いたレイアウトだったものの、賢い立ち回りができなかった。最後から2つ目の登りで力を使いすぎてしまったようだね。最終周回のためにエネルギーを残しておくべきだった。

ここバスクのファンは素晴らしく、貴重な体験だった。この地域でのレースが本当に大好きだ。忘れられない経験になるだろう。

意図的にマイヨロホを手放したユンボ・ヴィスマのロベルト・ヘーシンク(オランダ)

ユンボ・ヴィスマ率いるメイン集団が5分差でフィニッシュを目指すユンボ・ヴィスマ率いるメイン集団が5分差でフィニッシュを目指す photo:Unipublic
(マイヨロホを手放したのは)多くの責任を伴うから。もちろん着用することは栄誉であるものの、それ自体を楽しむ時間は表彰式やインタビューに奪われてしまう。ブエルタは3週間もあるんだ。重要なのは最終日にマイヨロホを着ていることなのだからね。

我々には逃げを許すべきではない選手のリストがあった。そしてエドアルド・アッフィニとマイク・テウニッセン、ローハン・デニスを中心に上手くレースをコントロールすることができた。もし逃げに乗ってほしくない選手が飛び出したら、すかさずメイン集団を牽引して逃げ集団との距離を詰める。そしてアタックした選手の背後にはチームから誰かがつき、次のアタックを抑制する。これらの動きがスムーズに進むと、これ以上の方法はないほど集団の制御が可能になるんだ。

なぜ我々にこの方法が可能かというと、僕らチームがまるでオイルを差した機械のようだからだ。この制御方法を僕たちはここ数年に渡って学んできたんだ。プロトンを完全に制御することはできず、またそうするべきではない。レースコントロールに必要なのは強力な脚と、何よりもチームワークが大事なんだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos