ブエルタ・ア・ブルゴス2日目に、残り500mで大落車が発生。落車を免れたティモ・ローセン(オランダ)を先頭にユンボ・ヴィスマが先着したものの、負傷者続出の状況がレースに影を落とした。



リーダージャージを着るサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)リーダージャージを着るサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:VueltaBurgos
カスティーリャ・イ・レオン州のブルゴス県を舞台とするブエルタ前哨戦、ブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)2日目のコースは標高800~1,000m級の台地を駆け抜けるスプリンターステージ。山岳の割合が多く、加速力を武器にする選手たちにとっては勝ち星を狙う貴重なチャンスだ。

この日はヘスス・エスケラ(スペイン、ブルゴスBH)を含む、前日と全く同じ3名がデジャブのようにエスケープ。サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)をステージ優勝と総合首位に導いたバーレーン・ヴィクトリアスがメイン集団をコントロールし、全日本チャンピオンジャージに袖を通す新城幸也もハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア)と共に長時間集団牽引に尽力した。

昨日と全く同じ3名が逃げを決める昨日と全く同じ3名が逃げを決める photo:VueltaBurgos
終盤の丘をきっかけにアタック合戦が勃発したが、抜け出しは決まらず終盤の丘をきっかけにアタック合戦が勃発したが、抜け出しは決まらず photo:VueltaBurgos
先頭グループではシャビエル・アスパレン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が独走に持ち込み、置き去りにしたパブロ・セビーリャ(スペイン、エオーロ・コメタ)から山岳賞ジャージを奪うことに成功する。そんなアスパレンは距離を残して吸収され、バーレーンに代わってスプリンターチームや、残り10kmを切って現れるノンカテゴリーの丘で動きを作りたいチームが集団先頭を固めた。

緊張感を高めて突入した登坂ではテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がアタックを繰り出し、その後方ではバーレーンの総合エースを務めるミケル・ランダ(スペイン)が力なく脱落してしまう。この報を受けてヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)が加速する場面も見られたが、トレック・セガフレードやUAEチームエミレーツなどスプリンターを残したチームの牽引によって引き戻される。残り1kmを切って一気に加速したユンボ・ヴィスマを先頭に、そのままスプリント勝負になだれ込む、はずだった。

ユンボトレインの3番目につけていたダヴィド・デッケル(オランダ)が、道路上のスピードバンプ(車の速度を抑える起伏)にハンドルを取られて前転落車。その後ろを一列棒状で走っていた選手が次々と突っ込み、左右のフェンスを薙ぎ倒しながら路面に転がり大落車へと発展してしまう。結果的に落車を免れたユンボ3名がそのままフィニッシュラインまで駆け抜け、ティモ・ローセン(オランダ)を先頭に1-2-3フィニッシュしたものの、落車を知ったローセンがその後勝利を喜ぶことはなかった。

先着したティモ・ローセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)先着したティモ・ローセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:VueltaBurgos
優勝したティモ・ローセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)に笑顔はなし優勝したティモ・ローセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)に笑顔はなし photo:VueltaBurgos
デッケルの単独落車を引き金にしたアクシデントだったため、ユンボ・ヴィスマ勢の降格などはなし。ただし勝利したローセンは「僕の後ろで何が起こったのか分からなかったんだ。何か音が聞こえて少し振り返ったけれど、そんなに大きな落車が起こっているとは思わなかった。後ろにいるのがダヴィドだと思っていたし、フィニッシュまでは全力で走った。もし状況が分かっていればフィニッシュラインで勝利を喜ぶことはしなかった」と落車を振り返っている。

下り区間を経て、最高速度まで上がった状態での集団落車で各チームが多数の負傷者を出した。クイックステップ・アルファヴィニルのダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)とヤニック・シュタイムレ(ドイツ)は路面に叩きつけられ、シュタイムレは右鎖骨骨折、AG2Rシトロエンはダミアン・トゥゼ(フランス)が頭部外傷と脳震盪、クレマン・ベルテ(フランス)は指の骨折など重症者が続出している。

総合リーダーのブイトラゴは目の前で起きた落車をなんとか避けて怪我なくフィニッシュ。集団後方にいた新城は安全に停止し怪我はなかった。
ブエルタ・ア・ブルゴス2022第2ステージ結果
1位 ティモ・ローセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 3:48:43
2位 エドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ)
3位 クリス・ハーパー(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)
4位 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、トレック・セガフレード)
5位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)
個人総合成績
1位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
2位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト)
3位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
その他の特別賞
山岳賞 シャビエル・アスパレン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
ポイント賞 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト)
ヤングライダー賞 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ