ポーランドでツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)が開幕。終盤の大落車をくぐり抜けたスプリンターバトルをオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が制した。チャンピオンジャージ初披露のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)は8位だった。



イギリスチャンピオンジャージを初披露したマーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル)イギリスチャンピオンジャージを初披露したマーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
ツール・ド・ポローニュ2022 第1ステージ コースプロフィールツール・ド・ポローニュ2022 第1ステージ コースプロフィール (c)Tour de Pologne7月30日(土)から8月5日(金)までの一週間、東欧の国ポーランドを巡る同国最大のステージレースが開幕した。舞台となるのはウクライナやスロバキアとの国境に近いポーランド南部。本格山岳はなく平坦や丘陵ステージが多いため、パンチャーや「登れるスプリンター」が多数集結した。

ポーランドの首都ワルシャワから150kmほど南にあるキエルツェのスタートラインには、総合優勝を目指すリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)やペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)、セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)などが揃った。スプリンターでは6月にイギリス選手権を制したマーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル)がチャンピオンジャージを初披露している。

また調整不足のため今年のツール・ド・フランスを欠場したポーランドのスター選手であるミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ)は約2週間前のトレーニング中に落車。骨折こそなかったものの、脳震盪のため大事を取って出場を回避している。なお、クフィアトコフスキはレース復帰が噂されているエガン・ベルナル(コロンビア)と共に8月19日開幕のブエルタ・ア・エスパーニャに出場予定だ。

序盤から逃げ集団を形成したカミル・マウェツキー(ポーランド、ロット・スーダル)ら5名序盤から逃げ集団を形成したカミル・マウェツキー(ポーランド、ロット・スーダル)ら5名 photo:CorVos
多くの観客がポーランド国旗を手に沿道で応援する多くの観客がポーランド国旗を手に沿道で応援する photo:CorVos
今季ロードレース2戦目の出場となったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)の兄ダヴィド今季ロードレース2戦目の出場となったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)の兄ダヴィド photo:CorVos
初日はキエルツェからルブリンを目指す218.8kmで争われた。平坦基調のコース終盤に2つの4級山岳が設定されているものの、緩勾配のため集団スプリントが予想されるステージ。レースは序盤から母国での活躍を目指すカミル・マウェツキー(ロット・スーダル)を中心に5名の選手が逃げ、それをユンボ・ヴィスマやグルパマ・エフデジが追う展開で進行した。

この日2つある4級山岳をヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)がトップ通過して山岳賞ジャージの獲得に成功すると、集団スプリントに持ち込むべくクイックステップ・アルファヴィニルやバーレーン・ヴィクトリアスがプロトンの牽引に加わった。逃げでは最後までマウェツキーが1人粘ったものの、残り8km地点で吸収。ルブリンの市街地に入った選手たちは、広い道幅から狭いコーナーを繰り返すコースでの位置取りに苦労しながら勝負は集団スプリントへ。

フィニッシュ地点のあるルブリンの市街地に突入した選手たちフィニッシュ地点のあるルブリンの市街地に突入した選手たち photo:CorVos
ハンドルを投げ勝利したオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)ハンドルを投げ勝利したオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
スプリントを制したオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と後ろで喜ぶマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)スプリントを制したオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と後ろで喜ぶマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトアス)のために38歳のベテラン、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア)を先頭にフラムルージュ(残り1km地点)を通過。直後に集団後方で大落車が発生したものの大勢には影響なく、そこから3度の直角コーナーを経て今度はユンボ・ヴィスマを先頭に最終ストレートに突入する。連続するコーナーに一列棒状になった集団から、バウハウスとオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)による一騎打ちスプリントに持ち込まれ、その勝負をハンドルを投げた20歳のコーイが制した。

「いつだって先頭でフィニッシュラインを越えるのは気持ちがいい。昨年この大会ではあと少しの所で勝利を逃していた。これがワールドツアー初勝利。そしてリーダージャージというボーナス付きだ。この大会での目標は最低でも1勝を挙げることだったので、開幕戦で早くも達成することができて嬉しいよ」と、今季7勝目を挙げたコーイは喜んだ。

3位にはジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)が入り、ナショナル選手権から約1ヶ月振りのレースとなったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)は8位でレースを終えている。

早くも今シーズン7勝目を挙げたオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)早くも今シーズン7勝目を挙げたオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ツール・ド・ポローニュ2022第1ステージ結果
1位 オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 5:18:01
2位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトアス)
3位 ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
5位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
6位 マックス・カンター(ドイツ、モビスター)
7位 カーデン・グローブス(オーストラリア、 バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
8位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)
9位 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
10位 トビアス・バイヤー(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
個人総合成績
1位 オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 5:17:51
2位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトアス) +0:04
3位 ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
4位 ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) +0:06
5位 サム・ブランド(イギリス、ノボ ノルディスク) +0:09
6位 マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +0:10
7位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
8位 マックス・カンター(ドイツ、モビスター)
9位 カーデン・グローブス(オーストラリア、 バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
10位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)
その他の特別賞
山岳賞 ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
ポイント賞 オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
チーム総合成績 AG2Rシトロエン
text:Sotaro Arakawa
photo:CorVos