日本最大のヒルクライムイベント「Mt.富士ヒルクライム」。その中から、主催者によって選ばれたクライマーたちが出走した「主催者選抜クラス」の上位陣の愛車を紹介する企画の女性編をお届けします。(※男子入賞者バイクはこちらから



女子1位 佐野歩 (Infinity Style) アンカー RL8

女子1位 佐野歩 (Infinity Style) アンカー RL8女子1位 佐野歩 (Infinity Style) アンカー RL8
RED eTapにカーボンドライジャパンのビッグプーリーを組み合わせるRED eTapにカーボンドライジャパンのビッグプーリーを組み合わせる クランクはパイオニア仕様のアルテグラクランクはパイオニア仕様のアルテグラ


富士ヒルクライム、そして乗鞍など多くのレースで好成績を残してきた佐野歩。昨年3位に入った強豪女子クライマーがついに悲願のビッグタイトルを掴んだ。ラスト、2位に入ったテイヨウフウを差し切ったフィニッシュについて「諦めてたら絶対に後悔すると思って、踏み続けました。とにかく出し切ろうって」と、振り返った。

そんな意地の走りを見せた佐野の走りを支えたのがアンカーのRL8。現在はディスクロードも保有する佐野だが、ヒルクライムレースということで軽量なこのバイクをチョイス。「とにかく軽さで選んだバイクです。あんまり硬さとかはこだわりも無く(笑)」と愛車について語った。

サドルとシートポストは軽量パーツブランドのMcfkで揃えるサドルとシートポストは軽量パーツブランドのMcfkで揃える ハンドル周りはボーマで統一ハンドル周りはボーマで統一


ボトルケージレスかつ、ねじも装着しない。雨対策のテープを貼るボトルケージレスかつ、ねじも装着しない。雨対策のテープを貼る 究極の回転体と呼び声高いライトウェイトを使用究極の回転体と呼び声高いライトウェイトを使用


フレームだけではなく、パーツ類の軽量化にも余念は無い。サドルとシートポストはMcfkとマニアックなセレクトで、ボトルケージも省くという念の入れよう。そしてホイールは師と仰ぐ兼松大和(2017富士ヒル王者)から譲りうけたというライトウェイトだ。

一方、コンポーネントはリムブレーキモデルのスラム RED eTap、クランクはペダリングモニター付きのアルテグラで、リアディレイラーにはカーボンドライジャパンのビッグプーリーを採用。さらにBBにはセラミックベアリングを使用するなど、駆動ロスの低減にも熱心だ。次戦の乗鞍でも、更なる活躍を期待できそうだ。



女子2位 テイヨウフウ ラピエール Xelius SL FDJ

女子2位 テイヨウフウ ラピエール Xelius SL FDJ女子2位 テイヨウフウ ラピエール Xelius SL FDJ
「山は性癖」のブログタイトルにふさわしい自転車の楽しみ方を発信することで、多くのフォロワーを抱えるヒルクライマー、"篠"ことテイヨウフウ。昨年大会では、年代別の出場ながら女子全体のトップタイムをマークしていたこともあり、女子選抜初出場でありながら、注目を集めていた。

「最後、絶対に後ろから来てるという確信はあったんです。でも、振り向いたら絶対にダメだと思って、最後まで前だけみて踏み切りました。全力を出した上で、力負けでした」と、佐野との勝負を語った。

特徴的なブルーカモのグラフィック特徴的なブルーカモのグラフィック 着物生地を使用した自作のバーテープ着物生地を使用した自作のバーテープ


ホイールはルン HYPER、タイヤはコンチネンタルのGP5000TLホイールはルン HYPER、タイヤはコンチネンタルのGP5000TL ドライブトレインはシマノで統一するドライブトレインはシマノで統一する


テイの愛車はラピエールのオールラウンドレーサーである Xelius SL。数えきれないほどの峠をともに走り、"篠"さん=ラピエール、というほどのイメージがついた一台だ。とはいえ、過度な軽量化はされておらず、登りも下りも安心して走れるオールラウンドなセットアップが行われていた。

コンポーネントはR9100 DURA-ACE DI2で、クランクも52-36TのDURA-ACEパワーメーターを採用。ペダルもシマノを採用し、パワートレイン周りは堅実な仕様。ホイールはカーボンリム&スポークを採用するルン HYPERにコンチネンタルのGP5000 TLを組み合わせる。

ハンドル、ステム、シートポストはワンバイエスで固め、ブラケットフードにはSHAKESを使用。バーテープには和柄の着物素材を使った自作モデルを使用。上ハンドルから巻くことで、更に美しい仕上がりとなっていた。



女子3位 望月美和子 (TEAM ORCA) Liv LANGMA ADVANCED PRO

女子3位 望月美和子 (TEAM ORCA) Liv LANGMA ADVANCED PRO女子3位 望月美和子 (TEAM ORCA) Liv LANGMA ADVANCED PRO
女子選抜クラス初代女王として出場した望月。「普段であれば、女子のレースってばらばらになりがちなんですが、今年は4人でまとまって走る展開になって。自分としてはちょっと守りの走りになってしまったんですが、珍しい展開で楽しんで走れました」とレースを振り返る。

Livのアンバサダーも務める望月が今年駆ったのは、同ブランドの最新モデルである"LANGMA DISC"のセカンドグレードであるLANGMA ADVANCED PROだ。昨年はリムブレーキモデルで戦った望月だが、1年乗り込んで完全に馴染んだようだ。

ホイールはカデックス 42、タイヤもカデックスで揃えているホイールはカデックス 42、タイヤもカデックスで揃えている バーテープはリザードスキンズだバーテープはリザードスキンズだ


新型のULTEGRAをさっそく使用していた新型のULTEGRAをさっそく使用していた クランクのみFC-R9100-Pを使用クランクのみFC-R9100-Pを使用


コンポーネントは新型のR8100 ULTEGLA DI2。一方で、クランクのみ1世代前のDURA-ACEのパワーメーターモデルを使用する。そして、ホイールはカーボンスポークが特徴のカデックス 42。「以前のホイールよりハイトも高くなったんですが、全然重さは感じないですね。むしろどんどん加速していく感覚があって、本当に速いホイールだと感じますね」という。

タイヤもカデックスのチューブレスタイヤを組み合わせる間違いのないアセンブル。そして、シューズは2022年モデルで一新され、より高いペダリング効率と快適性を実現したLivのフラッグシップモデル"MACHA PRO"を着用していた。

Livの新型フラッグシップモデルLivの新型フラッグシップモデル"MACHA PRO"

text:Naoki Yasuoka
photo:So Isobe,Naoki Yasuoka