アンテルマルシェ勢がベルギーツアー最難関ステージを動かし、クィンティン・ヘルマンス(ベルギー)のステージ優勝をお膳立て。2位マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)がタイム差ゼロの総合首位となり最終日を迎えることとなった。



首位をキープしたいマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)首位をキープしたいマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) photo:CorVos
個人タイムトライアルを終え、バロワーズ・ベルギーツアー(UCI2.Pro)は総合成績を狙う選手にとっては正念場のクイーンステージを迎えた。

ワロン地域の町デュルビュイを発着する周回コース(4周回)に難関山岳は一切無いものの、スタートからフィニッシュまで細かいアップダウンが連続するため獲得標高は3,000mを優に超える。首位マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)と2位イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)の差は僅か10秒で、総合17位までがタイム差1分以内につける僅差ゆえ熾烈なサバイバルレースが繰り広げられた。

元ベルギー王者ドリス・デボント(ベルギー、アルペシン・フェニックス)を含む5名が逃げたものの、フィニッシュラインが頂上に引かれた「ミュール・ド・デュルビュイ(登坂距離1,200m、平均6.2%、最大12.4%)」の2回目ではアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオが一気に集団のペースを引き上げた。

アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ勢が積極的にレースを作ったアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ勢が積極的にレースを作った photo:CorVos
こうしてメイン集団からアンテルマルシェ勢3名やヴィクトール・カンペナールツとティム・ウェレンス(共にベルギー、ロット・スーダル)、マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)を含む小集団が抜け出し、ピーダスンを守るトレック・セガフレード率いる後続グループに対してプレッシャーをかけ続けた。

逃げるアンテルマルシェと追うトレック。人数こそ少ないものの、この追走劇を有利に進めたのは先行グループだった。ピーダスンは追走によってアシストを失い、さらに総合2位ランパールトのマークを受けて窮地に陥ってしまう。タイム差は残り20km地点で1分半に到達し、残り10km地点では1分50秒に。逃げ切りを確定させた先頭グループ内でもアタック合戦が熾烈を極め、「ゴールデンkm(3連続の中間ボーナスポイント)」ではクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が合計-9秒を獲得している。

アタックの撃ち合いの中で差し掛かった最後の「ミュール・ド・デュルビュイ」。ウェレンスのアタックに反応したヘルマンスが抜群の伸びを見せて逃げ切り、食らいついたシュミットがウェレンスを4秒引き離して2位に。この結果によってシュミットがウェレンスと同タイムながら首位浮上に成功した。

登坂スプリントを制したクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)登坂スプリントを制したクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
現チーム加入後初勝利を挙げたクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)現チーム加入後初勝利を挙げたクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
総合首位に立ったマウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)総合首位に立ったマウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
シクロクロスのトップ選手としても活躍するヘルマンスにとっては、2018年のツール・ド・ワロニーに続く嬉しいロードキャリア2勝目。ツール・ド・フランス初出場を見据える登り調子の26歳は「最後は踏み込むタイミングをよく注意していたよ。僕の戦績にこのレースを加えることができて本当に嬉しいし、誇りに思う」と喜んでいる。

また「僅差の戦いになると分かっていたし、グループがバラけないならゴールデンkmのボーナスタイムが重要だと思っていた。ウェレンスが最後の坂で遅れたのを見て、最後の一滴までエネルギーを搾り尽くして踏み込んだんだ」と、ウェレンスと0秒差の総合首位となったシュミットは言う。「明日はファビオの優勝を狙う平坦ステージだが、リーダージャージを守り抜くためにも頑張りたい」と話している。
バロワーズ・ベルギーツアー2022第4ステージ結果
1位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 4:19:39
2位 マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)
3位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) +0:04
4位 ロレンツォ・ロータ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) +0:06
5位 ドリス・デボント(ベルギー、アルペシン・フェニックス) +0:29
個人総合成績
1位 マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) 12:11:41
2位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
3位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) +0:08
4位 ロレンツォ・ロータ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) +0:41
5位 ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) +1:05
その他の特別賞
ポイント賞 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
ヤングライダー賞 ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・サムシック)
text:So Isobe
photo:CorVos

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