パンチャーやスプリンターが多数集結したベルギーツアーが開幕。アタックに次ぐアタックで荒れた初日、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が登りスプリントで勝利した。



第91回バロワーズ・ベルギーツアーが開幕第91回バロワーズ・ベルギーツアーが開幕 photo:CorVos
バロワーズ・ベルギーツアー2022第1ステージバロワーズ・ベルギーツアー2022第1ステージ (c)www.sport.beツール・ド・スイス、そしてツアー・オブ・スロベニアと時を同じくして、ベルギーではバロワーズ・ベルギーツアー(UCI2.Pro)が開幕した。1908年、和暦でいえば明治41年に初回開催を迎え、今年で第91回目。ツール・ド・フランスに次ぐ世界で2番目に歴史の深いステージレースとして目の肥えたベルギーファンの人気を集めてきた。

個人タイムトライアルを1回含むものの、それ以外はクラシックレースを彷彿とさせるパヴェや短くも急勾配の登りが登場するパンチャー向けコースが続く。スプリント勝負になることも多く、例年クラシックレーサーやツールに向かうスプリンターたちによる勝負が繰り広げられることが通例だ。

2連覇中のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)は現在スイスに参戦中。代わりにクイックステップはファビオ・ヤコブセン(オランダ)をエースに据え、他チームもサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)やヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)といったスプリンターをラインナップ。丘陵コースではマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)といったパンチャー勢が勝利を見据える。

東フランダース州を駆け巡る第1ステージは、レース中盤にレベルグやベレンドリース、テンボスといったお馴染みの登坂区間を越え、ベルグ・テン・ハウテなど3ヶ所の登坂含む周回コースを4周回する164km。TTを除く全ステージに用意された「ゴールデンKM(ボーナスタイムが懸けられた3連続スプリントポイント)」も大きなタイム差がつきにくいベルギーでは総合優勝を狙う上でキーとなる。

フランドルクラシックでお馴染みの石畳登坂を駆け抜けるフランドルクラシックでお馴染みの石畳登坂を駆け抜ける photo:CorVos
強豪勢をエースに据えた各チームがレースを絞り込む強豪勢をエースに据えた各チームがレースを絞り込む photo:CorVos
この日はレース中盤にしてクイックステップがメイン集団のペースを上げ、メイン集団が引き伸ばされては分裂・合流というワンデークラシックさながらのレース展開が続く。残り50kmを切るとマーク・ドノヴァン(イギリス、チームDSM)が単独逃げを決めたことで一時的に状況が落ち着いたものの、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオなどスプリントに持ち込みたくないチームがアタックを継続したことで残り30kmで吸収。息もつかせないアタック合戦の末、およそ40名程度に絞り込まれたメイン集団が残り8km地点のゴールデンKMに到達した。

3連続スプリントポイントの1つめはピーダスンが先着し、続いて飛び出したマウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)が第2、第3ポイントを連続首位通過する。各チームが争いながら突入した最後のベルグ・テン・ハウテでは、ヤコブセンが遅れフリーで動けるようになったフロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)が仕掛けたものの、ピーダスンやウェレンスのマークを振り払うには至らなかった。

セネシャルのペースアップに耐えた20名が、フィニッシュを目指す緩斜面勾配でスプリント。クイックステップがトレインを組んでセネシャルの勝利を狙ったものの、フィリプセンの加速に対応できず、さらにピーダスンが先頭を奪い取る。得意の小集団/登りスプリントで元世界王者が勝ちきった。

登りスプリントで圧勝したマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)登りスプリントで圧勝したマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) photo:www.sport.be
リーダージャージを着たマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)リーダージャージを着たマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) photo:CorVos
「セネシャルの後ろという絶好のポジションにつけ、その次にヤスパーがロングスプリントで追い抜いていった。彼はリードを築いたものの、最後で失速。僕にとって最高のスプリントだった」とピーダスンは振り返る。「ステージ優勝を目標にしていたがもう叶ってしまった。総合優勝を目指さない理由はない。ただメインは更なるステージ優勝量産だ。TTも含めていい走りをしたい」と、リーダージャージを射止めたピーダスンは加えている。

バロワーズ・ベルギーツアー2022第1ステージ結果
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) 3:49:35
2位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
3位 ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
4位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
5位 ロッペ・ヒス(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)
個人総合成績
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) 3:49:19
2位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) +0:08
3位 マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) +0:10
4位 ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) +0:12
5位 イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) +0:13
その他の特別賞
ポイント賞 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
ヤングライダー賞 ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)

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