ツール出場が不透明のカヴェンディッシュ　メルリール加入で今季末退団が既定路線か

今年のツール不選出と、クイックステップ・アルファヴィニルからの退団が確実と見られているマーク・カヴェンディッシュ（イギリス）。チームが来季よりスポンサーに迎えるスーダル社やそれに伴うメルリール加入など、複雑に絡み合う現状をまとめた。

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今年のジロ・デ・イタリアで9年振りに区間優勝を挙げたマーク・カヴェンディッシュ（イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル） photo:RCS Sport
今年のツール・ド・フランスで最多区間勝の記録更新はなさそうだ。

2021年大会で区間4勝と共にマイヨヴェールを獲得し、エディ・メルクスの最多ステージ優勝記録に並んだマーク・カヴェンディッシュ（イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル）。だがそんな十分過ぎる実績を持ってしても、今年クイックステップはエーススプリンターにファビオ・ヤコブセン（オランダ）を据えると目されている。

カヴェンディッシュがツール選考外となる要因、契約が2022年末で満了すること、そしてファビオ・ヤコブセン（オランダ）が台頭していること。加えてチームはベルギーのシーリングとコーキング材メーカーであるスーダル社をタイトルスポンサーとして迎える予定であり、それもあってベルギー人スプリンターのティム・メルリール（アルペシン・フェニックス）の加入が決定的とされている（正式発表は情報解禁日は8月1日以降）。

2023年末まで契約を残し、今季すでに8勝を挙げているヤコブセンに加え、メルリールが加わるチームにカヴェンディッシュの居場所はないに等しい。また自転車界にはその年限りで退団する選手をツールなどスポンサーへの露出が多いレースには選出しない慣習がある。

昨年のツール・ド・フランスでエディ・メルクスにステージ通算34勝で並んだマーク・カヴェンディッシュ（イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル） (c)CorVos
カヴェンディッシュはジロ・デ・イタリア期間中のインタビューにて「最低でもあと2年は現役を続けたい。ただ自転車に乗っていたいわけではなく、あと2年は勝利を争うことができると確信している」とコメント。今季末での退団をほぼ前提としながらも、「正直（ツールで）もう1勝したい。それが10勝であればなお良し。だが正直数字なんてどうでもいい。ただ（ツールで）走りたいんだ」とツールに対する心境を吐露している。

ツール最多区間勝記録の更新が、事実上、来年以降に持ち越しとなったカヴェンディッシュ。一部報道によると移籍先には来年のワールドチーム入りを目指すアルケア・サムシックやアルペシン・フェニックス、またAG2Rシトロエンなどの名前が挙がっている。

text:Sotaro.Arakawa