ツアー・オブ・ジャパンの第2ステージが、富士スピードウェイ西ゲートからふじあざみラインの78.8kmで行われ、ベンジャミン・ダイボールが優勝。ネイサン・アールが2位に入り、チーム右京が2日連続のワン・ツーフィニッシュを決めた。



雲り空に富士山が霞んで見える1日雲り空に富士山が霞んで見える1日 photo:Satoru Kato
ツアー・オブ・ジャパン2日目は、富士スピードウェイの西ゲートをスタートし、東京五輪のタイムトライアルに使用された1周13kmの公道部分を4周したのち、標高差1160m、平均勾配10%、最大勾配22%の「ふじあざみライン」を登ってフィニッシュする。ツアー・オブ・ジャパンを特徴づけるステージであり、総合優勝の行方に大きく影響するクイーンステージだ。

前日の第1ステージで、ワン・ツーフィニッシュを決めたチーム右京のネイサン・アールとベンジャミン・ダイボールは、レース後の記者会見でこのステージでの優勝に自信を見せていた。ディフェンディングチャンピオンの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が37秒差の3位、トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が41秒差の4位につけ、この上位4名を中心にレースが展開していくことが予想された。

富士スピードウェイ西ゲート前をスタート富士スピードウェイ西ゲート前をスタート ©️TOJ
スタート直後に形成された7名の先頭集団スタート直後に形成された7名の先頭集団 photo:Satoru Kato
雲が広がるも気温高め、遠くに富士山が霞んで見える天候の下レースはスタート。ほどなくして7名の先行が容認され、メイン集団との差は一気に2分まで開く。

メンバーは、山本元喜(キナンレーシングチーム)、渡邉歩(愛三工業レーシングチーム)、安原大貴(マトリックスパワータグ)、久保田悠介(ヴィクトワール広島)、寺田吉騎(日本ナショナルチーム)、孫崎大樹(スパークルおおいた)、小村悠樹(チームユーラシア・iRCタイヤ)。

阿部嵩之を先頭に宇都宮ブリッツェンがメイン集団をコントロール阿部嵩之を先頭に宇都宮ブリッツェンがメイン集団をコントロール photo:Satoru Katoリーダージャージのネイサン・アールはチーム右京のメンバーに護衛されるようにして走るリーダージャージのネイサン・アールはチーム右京のメンバーに護衛されるようにして走る photo:Satoru Kato

メイン集団は宇都宮ブリッツェンがコントロールを開始。「アベタカさん(阿部嵩之)1人でコントロール出来るならそうしようかという流れだった」と、レース後に宮崎泰史が振り返った通り、阿部の先頭固定で周回を重ねていく。リーダーチームのチーム右京は「タイム差が3分以上に広がるようなら動くつもりだった」と、リーダージャージのネイサン・アールが語るように、宇都宮ブリッツェンの後ろに隊列を組む。

ペースを上げて小山町市街を進むメイン集団ペースを上げて小山町市街を進むメイン集団 ©️TOJ
先行する7名とメイン集団の差は最大で3分近くまで広がるものの、4周目に入ると徐々に縮まりはじめ、周回コースを外れると差は1分ほどまで縮まる。ふじあざみラインに入ると、山本元喜の先行をきっかけに先頭集団は崩壊。追うメイン集団はチーム右京やキナンレーシングチームなどが前方に出てペースを上げていき、先行していたメンバーを次々と吸収しながら富士山を登っていく。

ふじあざみラインの中間点「馬返し」に差し掛かるチーム右京の2人ふじあざみラインの中間点「馬返し」に差し掛かるチーム右京の2人 photo:Kensaku Sakai
トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)と増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が追うトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)と増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が追う photo:Kensaku Sakai後方から追い上げる小林海(マトリックスパワータグ)後方から追い上げる小林海(マトリックスパワータグ) photo:Kensaku Sakai

そしてふじあざみラインの中間点となる「馬返し」を前に、ネイサン・アールとベンジャミン・ダイボールのふたりが飛び出す。トマ・ルバ、増田成幸が続くものの、差は徐々に開いていく。アールとダイボールは先頭交代しながらペースを刻み、後続との差を広げていく。最終的に1分近い差をつけた2人は、ダイボールを先頭に並んでフィニッシュ。2日連続のチーム右京ワン・ツーフィニッシュを決めた。

ベンジャミン・ダイボール(左)とネイサン・アール(共にチーム右京)が揃ってフィニッシュベンジャミン・ダイボール(左)とネイサン・アール(共にチーム右京)が揃ってフィニッシュ ©️TOJ
後方から追い上げた小林海(マトリックスパワータグ)が増田成幸(宇都宮ブリッツェン)を抜いて4位後方から追い上げた小林海(マトリックスパワータグ)が増田成幸(宇都宮ブリッツェン)を抜いて4位 photo:Satoru Kato
3位にルバ、4位には後方から追い上げた小林海(マトリックスパワータグ)が入った。増田は2分以上の差をつけられて5位。個人総合のタイム差は2分41秒となり、連覇は厳しくなった。

明日の第3ステージは相模原。個人総合優勝争いの最後のチャンスとなるが、3位以下の順位の入れ替わりが見られる可能性はあるものの、総合首位はトラブルが無い限り変わる可能性は低い。チーム右京の全ステージ制覇もささやかれるが、果たしてどうなるか?
ツアー・オブ・ジャパン2022 第2ステージ 富士山 結果(78.8km)
1位 ベンジャミン・ダイボール (チーム右京、オーストラリア) 2時間33分18秒
2位 ネイサン・アール (チーム右京、オーストラリア) +0秒
3位 トマ・ルバ (キナンレーシングチーム、フランス) +55秒
4位 小林 海(マトリックスパワータグ、日本) 1分35秒
5位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン、日本) +2分4秒
6位 山本大喜(キナンレーシングチーム、日本) +3分22秒
7位 宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン、日本) +3分29秒
8位 石橋 学(チーム右京) +3分42秒
9位 小石祐馬(チーム右京、日本) +4分13秒
10位 フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ、スペイン) +4分51秒
個人総合成績(第2ステージ終了時)
1位 ネイサン・アール (チーム右京、オーストラリア) 5時間37分33秒
2位 ベンジャミン・ダイボール (チーム右京、オーストラリア) +7秒
3位 トマ・ルバ (キナンレーシングチーム、フランス) +1分36秒
4位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン、日本) +2分41秒
5位 小林 海(マトリックスパワータグ、日本) 3分11秒
6位 山本大喜(キナンレーシングチーム、日本) +4分50秒
ポイント賞(第2ステージ終了時)
1位 ネイサン・アール (チーム右京、オーストラリア) 25p
2位 ベンジャミン・ダイボール (チーム右京、オーストラリア) 20p
3位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン、日本) 16p
山岳賞(第2ステージ終了時)
1位 ベンジャミン・ダイボール (チーム右京、オーストラリア) 18p
2位 トマ・ルバ (キナンレーシングチーム、フランス) +1分36秒 15p
3位 ネイサン・アール (チーム右京、オーストラリア) 13p
チーム順位(第2ステージ終了時)
1位 チーム右京 16時間58分12秒
2位 キナンレーシングチーム 17時間7分34秒
3位 マトリックスパワータグ +16分2秒


text:Satoru Kato
photo:Satoru Kato, Kensaku SAKAI, TOJ

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