「日本初の自転車ロードレースのプロリーグ」として2年目のシーズンを迎えたJCL(ジャパンサイクルリーグ)プロロードレースツアー。その開幕戦となる第1戦カンセキ真岡芳賀ロードレースが4月16日、栃木県真岡市と芳賀町にまたがる公道特設周回コースで開催され、終盤に形成された精鋭集団から抜け出した三つ巴のゴールスプリントを制した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が優勝。2位にはチームメイトの増田成幸が入り、地元開幕戦で宇都宮ブリッツェンが2年連続のワンツーフィニッシュを飾った。


オープニング前のステージでは優勝予想プレゼント企画などが行われたオープニング前のステージでは優勝予想プレゼント企画などが行われた photo:Nobumichi Komori荒天の中での有観客開催とあり、会場には多くのファンが訪れる荒天の中での有観客開催とあり、会場には多くのファンが訪れる photo:Nobumichi Komori


地元チームの一角として好結果を残したい那須ブラーゼンがステージに登壇する地元チームの一角として好結果を残したい那須ブラーゼンがステージに登壇する photo:Nobumichi Komori今シーズンからJCLプロロードレースツアーにも参戦するマトリックスパワータグはJBCFのレースと日程が重なってしまったため2選手が出場今シーズンからJCLプロロードレースツアーにも参戦するマトリックスパワータグはJBCFのレースと日程が重なってしまったため2選手が出場 photo:Nobumichi Komori



2年目の「三菱地所JCLプロロードレースツアー」も栃木県で開幕

宇都宮ブリッツェンと那須ブラーゼン、地元の2チームを先頭に選手たちが整列する宇都宮ブリッツェンと那須ブラーゼン、地元の2チームを先頭に選手たちが整列する photo:Nobumichi Komori
今年から導入されたテーマソングをYuitoさんが歌い上げる今年から導入されたテーマソングをYuitoさんが歌い上げる photo:Nobumichi KomoriスタートセレモニーではバスケットボールBリーグの地元チーム、宇都宮ブレックス専属チアリーダー「ブレクシー」のパフォーマンスも披露されたスタートセレモニーではバスケットボールBリーグの地元チーム、宇都宮ブレックス専属チアリーダー「ブレクシー」のパフォーマンスも披露された photo:Nobumichi Komori


3月に行われたプレゼンテーションで「Most Innovative League」を目指すことを発表したJCLプロロードレースツアー。2年目を迎えた今年も「街がスタジアム」をキーワードに、レースでの集客を通じて地元経済に還元するチャレンジを続けていく。開幕戦の舞台は、昨年に引き続き栃木県真岡市と芳賀町を舞台としたカンセキ真岡芳賀ロードレース。真岡市の井頭公園をスタート・フィニッシュ地点とした1周7.2kmのコースを18周する129.6kmでレースは争われた。

バトムンク・マラルエルデン(モンゴル、レバンテフジ静岡)が積極的にアタックを繰り返すバトムンク・マラルエルデン(モンゴル、レバンテフジ静岡)が積極的にアタックを繰り返す photo:Nobumichi Komori4名の逃げ集団の後方に追走集団が迫る4名の逃げ集団の後方に追走集団が迫る photo:Nobumichi Komori


戦力補強したチーム勢による序盤のアタック合戦

追走が合流し、逃げ集団は8名に追走が合流し、逃げ集団は8名に photo:Nobumichi Komori
レースはスタート直後から各チームが積極的にアタックを仕掛け合う激しい展開に。バトムンク・マラルエルデン(モンゴル、レバンテフジ静岡)ら今季加入の新戦力も積極的にアタック合戦に参戦する中、4周目に入るタイミンングでバトムンクの動きに谷順成(那須ブラーゼン)と小石佑馬(チーム右京相模原)が反応して3名が先行すると、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が合流して4名の逃げが形成される。

逃げ集団を容認したメイン集団が里山を進む逃げ集団を容認したメイン集団が里山を進む photo:Nobumichi Komori
その後方では、新城雄大とトマ・ルバ(共にキナンレーシングチーム))、宇賀隆貴(チーム右京相模原)、ライアン・カバナ(ヴィクトワール広島)、西尾憲人(那須ブラーゼン)、中島雅人(VC福岡)、孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)、海野晋作(レバンテフジ静岡)という8名の追走、メイン集団は宇都宮ブリッツェンとキナンレーシングチームがコントロールする展開になった。

しばらく4名の逃げ集団、8名の追走集団、そしてメイン集団という展開でレースは進んだが、7周目に入ると追走集団がふたつに割れ、追走は新城、宇賀、西尾、カバナ4名に。8周目には追走の4名が逃げ集団に追いつき、逃げ集団は8名になった。

メイン集団は宇都宮ブリッツェン、キナンレーシングチーム、スパークルおおいたレーシングチームを中心にコントロールメイン集団は宇都宮ブリッツェン、キナンレーシングチーム、スパークルおおいたレーシングチームを中心にコントロール photo:Nobumichi Komori
一方のメイン集団は宇都宮ブリッツェン、キナンレーシングチーム、スパークルおおいたレーシングチームを中心にタイム差を2分程度に保ってコントロールを続けていたが、残り5周を切るとペースアップを開始。着実に逃げ集団とのタイム差を縮めていく一方で、逃げ集団では選手1人、また1人とドロップしていき小石、谷、阿部、カバナの4名にまで人数を減らす展開に。

4名に絞られた逃げ集団が最終周に入る4名に絞られた逃げ集団が最終周に入る photo:Nobumichi Komori
人数を減らしながらもタイム差を詰めるメイン集団が逃げ集団に迫る人数を減らしながらもタイム差を詰めるメイン集団が逃げ集団に迫る photo:Nobumichi Komori
最終周に入ると人数を減らしながらも追走の脚を緩めないメイン集団が逃げ集団を吸収し、レースは最終局面を迎えることになった。

有力選手の三つ巴スプリントを制した小野寺がロードレース初優勝

勝負は三つ巴のゴールスプリントに勝負は三つ巴のゴールスプリントに photo:Nobumichi Komori
最終周で振り出しに戻った集団では各チームが勝利に向けて互いにアタックを仕掛け合う状況が続く。その中から小石のアタックに増田が反応し2名が先行。後方では畑中勇介(キナンレーシングチーム)の追走のアタックに小野寺が反応して先頭は4名に。さらに渡邊諒馬(VC福岡)が単独で追いつき5名になると、残り600mほどで増田がアタック。畑中と小野寺が何とか食らいついてスプリントを開始すると、畑中の後方からスプリントを開始した小野寺がフィニッシュでチームメイトの増田を差し切り、見事にロードレースでの初優勝を飾った。

ゴールで差し切った小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)がロードレースで初優勝を飾ったゴールで差し切った小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)がロードレースで初優勝を飾った photo:Nobumichi Komori
優勝した小野寺は「ここ3年ぐらいずっと言い続けていたロードレースでの勝利をホームレースという素晴らしい場所で達成できてうれしいです」と喜ぶ。

そして小野寺は今日の戦いを次のように振り返った。「チームとしては増田、宮崎、そして自分の3名が最後の勝負に絡み、それまでは残りの選手たちがレースを作るというプランでした。序盤から阿部選手が逃げに入ってくれましたが、仕上がりに自信が持てないという状況だったのでそのままでは良くないということで集団も追いかけ始めました。堀選手と及川選手に仕事をしてもらって、他のチームに協力してもらってもなかなかタイム差が縮まらなかったので、増田選手と宮崎選手にも加わってもらいました。その時に増田選手から最後のスプリントに向けて準備しておいてくれと言われたので、自分は任せて温存して展開を見ながら備えていました。

長年目標にしていたロードレースでの勝利に渾身のオノデライダーポーズを見せる小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)長年目標にしていたロードレースでの勝利に渾身のオノデライダーポーズを見せる小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) photo:Nobumichi Komori
最後は宮崎選手が良いブリッジで増田選手を送り出してくれて、自分も畑中選手のアタックに反応していったら後ろが切れてくれて、数的有利の状況を作り出せました。最後の上りで増田選手が飛び出して他の選手が追う状況を作り出してくれたので、自分はしっかりついていってスプリントに備えることができました。最後は増田選手に迫る畑中選手の後方にいて、勝ちは問題ないだろうと思ってはいたのですが、不安もあったのでもがいておこう、悩んで獲られるよりはもがき切っておこうと思ってもがいたら、増田選手を差し切る形でゴールしてしまいました」とレースを振り返った。

表彰式 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)はロードレース初勝利だ表彰式 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)はロードレース初勝利だ photo:Nobumichi Komori
翌日の第2戦宇都宮清原クリテリウムは、自身5連覇がかかるレース。それに対しては「皆さん的には明日の方の期待が高かったかなと思うので、今日の結果に満足せずに明日も狙っていきたいと思います」と決意を口にした。

ベストアシストライダー賞は宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)が獲得ベストアシストライダー賞は宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)が獲得 photo:Nobumichi Komoriベストアグレッシブライダー賞を獲得した小石佑馬(チーム右京相模原)ベストアグレッシブライダー賞を獲得した小石佑馬(チーム右京相模原) photo:Nobumichi Komori


5位に入った渡邊諒馬(VC福岡)がベストホープフルライダー賞を獲得5位に入った渡邊諒馬(VC福岡)がベストホープフルライダー賞を獲得 photo:Nobumichi Komori優勝した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)は栃木県民賞も獲得した優勝した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)は栃木県民賞も獲得した photo:Nobumichi Komori


小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)がイエロージャージとブルージャージ、渡邊諒馬(VC福岡)がホワイトジャージの今シーズン最初の着用者になった小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)がイエロージャージとブルージャージ、渡邊諒馬(VC福岡)がホワイトジャージの今シーズン最初の着用者になった photo:Nobumichi Komori
JCLプロロードレースツアー2022 カンセキ真岡芳賀ロードレース 129.6km 結果
1位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) 2時間59分52秒
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
3位 畑中勇介(キナンレーシングチーム)
4位 小石佑馬(チーム右京相模原) +3秒
5位 渡邊諒馬(VC福岡) +4秒
6位 孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム) +18秒
photo&text: Nobumichi Komori