與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)も出場したロンド前哨戦のドワーズ・ドール・フラーンデレン女子レース(1.Pro)。混沌のスプリントで22歳のキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス)がライバルたちを打破した。



レース直前のインタビューに応える昨年覇者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)レース直前のインタビューに応える昨年覇者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos
男子レースと時を同じくして、4月3日に行われるロンド・ファン・フレーンデレンの前哨戦としての意味合い強い第5回ドワーズ・ドール・フラーンデレン女子レース(1.Pro)が開催された。ベルギー・ワレヘムを発着点とする120kmのコースには5つの石畳区間と、ロンドにも現れる「クノクテベルク」や「ノケレベルグ」など10つの急勾配の登坂が用意された。

ワールドツアー3戦連続勝利中のエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)はロンドに標準を絞るため出場しなかったものの、昨年覇者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)や過去2度の優勝経験のある現欧州王者エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)は参戦。昨年の手術からコンディションを徐々に上げる與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)を含む一団が、ワレヘムのスタートラインに並んだ。

2度も飛び出しプロトンからリードを奪ったブローディー・チャップマン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)2度も飛び出しプロトンからリードを奪ったブローディー・チャップマン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) photo:CorVos
フランドルらしい狭い道幅のコースを進むプロトンフランドルらしい狭い道幅のコースを進むプロトン photo:CorVos
チームDSMが2人を送り込んだ逃げ集団は、昨季のシクロクロスシーズンで無類の強さを見せたルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)を含む10名がエスケープ。しかしレースの折返しの60km地点で吸収されると、カウンターでMTBからロードに転向4年目のブローディー・チャップマン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が飛び出した。

この動きをチームDSMが牽くメイン集団は容認し、チャップマンは1分のリードを得て曇り空のフランドルを駆けていく。だが勝負所であるノケレベルグを前にトレック・セガフレードのエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)やファンダイク自ら先頭に出てペースアップすると、チャップマンはメイン集団に飲み込まれ、集団は再びひと塊に。

メイン集団から何度も遅れ、そして復帰を果たした與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)メイン集団から何度も遅れ、そして復帰を果たした與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) photo:CorVos
この後も集団スプリントに持ち込まれたくないFDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープやチームDSMのチャップマンが再びアタックを図るものの、スプリンターチームの追撃を退けることはできない。残り2kmから2度に渡り仕掛けたファンダイクのアタックを許さなかったプロトンは、30名以上を残したまま集団スプリントへなだれ込んだ。

アシストに役割をシフトしたファンフルーテンを先頭に最終ストレートに突入すると、どのチームも隊列を整えることはできないまま混沌としたスピード勝負へ。加速したマリー・ルネット(フランス、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)の背後を上手く取ったキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス)が、ライバルたちを圧倒する速度でスプリントを制した。

混沌のスプリントを制したキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス)混沌のスプリントを制したキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス) photo:CorVos
今季初勝利を挙げたキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス)今季初勝利を挙げたキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス) photo:CorVos
「入院する祖母のためにも勝利が欲しかったので、とても感動している」とはロンドという大一番を前に勝利を飾ったコンソンニ。「最後の石畳でトレックが強力な牽引を見せ、先頭集団に残ってで登りを通過できたことで、勝利の可能性が見えた。その後はたくさんの攻撃に耐えながら、最後は一所懸命踏み込み勝利を掴んだ」と、ベルギーのワンデーレースで何度も表彰台やトップ10に入り、ようやく勝利を手に入れた22歳のイタリアンスプリンターは喜びを語った。

優勝者に与えられる馬のぬいぐるみを手に勝利を喜ぶキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス)優勝者に与えられる馬のぬいぐるみを手に勝利を喜ぶキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス) photo:CorVos
ドワーズ・ドール・フラーンデレン2022女子レース結果
1位 キアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス) 3:06:40
2位 ジュリエ・デ・ヴィルデ(ベルギー、プラントール・プラ)
3位 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
4位 ファイファー・ジョルジ(イギリス、チームDSM)
5位 マルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ)
6位 ラケーレ・バルビエーリ(イタリア、リブレーシング・エクストラ)
7位 マリー・ルネット(フランス、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
8位 シャリ・ボサイト(ベルギー、キャニオン・スラム)
9位 アルレニス・シエラ(キューバ、モビスター)
10位 カーリーン・スヴィンケルス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
111位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) 9:02
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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