UCIウィメンズワールドツアー第4戦は集団スプリントに持ち込まれ、アルカンシエルを着るエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)が勝利。機材トラブルを抱えたまま勝負したロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)の4連勝はならなかった。



4連勝に期待がかかるロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)4連勝に期待がかかるロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) photo:CorVosエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)とマルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ)エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)とマルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos

晴れ渡るブルッヘ。男子レースに続き、女子レースのスタートを待つ晴れ渡るブルッヘ。男子レースに続き、女子レースのスタートを待つ photo:CorVos
女子ロードレースの最高峰シリーズであるUCIウィメンズワールドツアーの第4戦となるワンデーレースが「エクステリオークラシック・ブルッヘ〜デパンヌ」。名称からも分かる通り前日開催された男子レースの兄妹大会であり、ブルッヘからデパンヌを目指すコースレイアウトも、後半の周回コースが1周減となっていること以外は共通だ。

距離160kmオーバーで獲得標高200m以下というレイアウトだけに、当然のごとくフィニッシュ予想はスプリント。今季ここまでのスプリントレースを掌握している世界王者エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)とロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)の2人が今大会も顔を合わせた。

この日は2度逃げグループが形成され、2回目の逃げに入ったダニク・ブラーム(ベルギー、ビンゴールカジノ)が唯一設定された中間スプリントポイントを先頭通過して大会スポンサーであるミネルバ社製の自転車(実用車)を獲得。吹きさらし区間を高速巡航したメイン集団は30km以上を残して逃げを引き戻している。

ロレーナ・ウィーベス(オラン)のためにチームDSMがペースメイクロレーナ・ウィーベス(オラン)のためにチームDSMがペースメイク photo:CorVos
ドイツのトラックチームパシュートメンバーとして東京五輪と世界選手権優勝に貢献したミーケ・クレーガー(ドイツ、ヒューマンパワードヘルス)が単独先行した背後では、道幅が狭まったポイントでメイン集団内に大きな落車が起こってしまう。40名程度まで縮小したメイン集団は残り14kmでクレーガーを引き戻し、ハイスピードを維持したままデパンヌ市街地のフィニッシュラインを目指した。

残り2.3km地点ではウェーベスとマルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ)の発射台役を務める選手が落車し、この落車と中切れによって僅か9名だけが勝負権を保ってスプリント勝負へとなだれ込む。この日は最終アシストに回ったロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)の背後から真っ先に仕掛けたバルサモが、ウィーベスを抑えきって両手を振り上げた。

力強いスプリントでウィーベスを下したエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)力強いスプリントでウィーベスを下したエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
「本当はクロエ・ホスキングを勝たせるために走っていたけれど、最終盤で彼女が落車に巻き込まれたので私がスプリントすることになった。驚いたけれど、うまくいって本当に良かった」と言うバルサモ。トロフェオ・アルフレード・ビンダに続く価値ある勝利を挙げ、女子ワールドツアーランキングの総合首位に浮上している。

今季3勝目を手にしたエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)今季3勝目を手にしたエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
一方、「今日は運に見放されてしまった」と言うのは2度の落車でリードアウト要員を失い、4連勝を逃したウィーベス。1度目の落車に本人も巻き込まれ車輪のスポークが折れるも、バイク交換する余裕がないままスプリントに挑んでいたという。「もちろん勝利を狙っていたので残念だけど、チームの働きはとても良かった。日曜日(ヘント〜ウェヴェルヘム)でもう一度チャンスを狙いたい」と話している。

エクステリオークラシック・ブルッヘ〜デパンヌ2022結果
1位 エリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)
2位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)
3位 マルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ)
4位 ロンネケ・ウネケン(オランダ、SDワークス)
5位 マルタ・マルティンス(ポルトガル、ルコル・ワフー)
6位 エマセシル・ノルスゴー(デンマーク、モビスター)
7位 キアラ・コンソンニ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス)
8位 アリス・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラム)
9位 ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)
10位 クララ・コッポニ(フランス、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
text:So isobe
photo:CorVos