第101回ボルタ・ア・カタルーニャの初日は集団スプリントでマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が勝利。2位のソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)はフィニッシュ直後に意識を失い、病院に緊急搬送された。



ジロ・デ・イタリアに出場するメンバーを中心に強力布陣を揃えたユンボ・ヴィズマジロ・デ・イタリアに出場するメンバーを中心に強力布陣を揃えたユンボ・ヴィズマ photo:CorVos
ボルタ・ア・カタルーニャ2022コースマップボルタ・ア・カタルーニャ2022コースマップ (c)VOLTA/A.S.O.ボルタ・ア・カタルーニャ2022第1ステージ コースプロフィールボルタ・ア・カタルーニャ2022第1ステージ コースプロフィール (c)VOLTA/A.S.O.今年で101回目を迎えたボルタ・ア・カタルーニャ(2.UWT)は、スペイン北東部に位置するカタルーニャ地方を7日間かけて一周するステージレース。第1回大会が1911年開催とその歴史はグランツールと肩を並べるほど深く、5月開催のジロ・デ・イタリアを見据えるオールラウンダーや「アルデンヌクラシック」に向けて最終調整に入る軽量なクラシックレーサーがカタルーニャに集った。

第101回大会には、今年が現役ラストイヤーで過去3度(2009年、2017年、2018年)総合優勝を誇るアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)や、同じく過去大会の覇者ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)、前回王者の兄サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)、トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)らが勢揃い。スプリンターではソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)や、直前のミラノ〜サンレモで4位に入ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)らが出場した。

バレアス海に面したサン・フェリウ・デ・ギホルスを発着する第1ステージは、3つの3級山岳を越える丘陵ステージ。初日にふさわしいスプリンター向きのコースだが、延々と続く細かなアップダウンと残り23km地点に登場する3級山岳ロマニャ峠(距離5km/平均5.3%)の存在が、逃げとスプリンターチームとの駆け引きを白熱させた。

再び目標をグランツールの総合優勝に定めたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)再び目標をグランツールの総合優勝に定めたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
横風をきっかけに、イスラエル・プレミアテックが中心となった26名の先頭集団が先行横風をきっかけに、イスラエル・プレミアテックが中心となった26名の先頭集団が先行 photo:CorVos
レースは序盤からブルゴスBHやエウスカルテル・エウスカディなどスペインのプロチームが選手が飛び出しては吸収を繰り返す慌ただしい展開。後半戦に入りようやくヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)らによる6名の逃げグループが形成したものの、横風区間に入りペースの上がったプロトンに飲み込まれ、直後に横風によって集団が2つに分裂した。

先頭グループにはイスラエル・プレミアテックやバイクエクスチェンジ・ジェイコが人数を揃えた26名が入り、それをボーラ・ハンスグローエやモビスターが先頭を牽引する第2集団が猛追。最大30秒差あったリードは徐々に縮まり、残り50km地点で追走集団が捉え、再びプロトンは一つに。途中雨が路面を濡らすなか、カイセドがこの日2度目のアタックを見せるも決定的な動きには繋がらず、レースは集団スプリントに持ち込まれた。

バレアス海沿岸を離れ、サン・フェリウ・デ・ギホルスの中心街にクイックステップ・アルファヴィニルを先頭に突入すると、フィニッシュへと続く緩斜面の登りで総合優勝を狙うリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が前に出る。勾配が緩やかになった残り200mから、その背後にいたコルブレッリがスプリントを開始しコース左端へ。時同じく腰を上げたマシューズは右端へ寄り、コースいっぱいに使ったスピード勝負は、3年前にもここで勝利を挙げているマシューズに軍配が上がった。

コースの両端で競り合うマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)とソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)コースの両端で競り合うマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)とソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
2年振りの勝利を掴んだマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)2年振りの勝利を掴んだマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:CorVos
3年前も同じフィニッシュ地点で勝利を挙げたマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)3年前も同じフィニッシュ地点で勝利を挙げたマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) (c)VOLTA/A.S.O.
2020年の8月以来、そしてバイクエクスチェンジ・ジェイコに復帰後初勝利を飾ったマシューズ。「久々の勝利は特別な気持ちがするよ。数年前に優勝したここのコースは熟知していた。今日は妻と愛犬が応援に来てくれていたので、本当に勝てて嬉しいよ。こういった登りフィニッシュは僕が、平坦スプリントはカーデン・グローブスが、そして総合はサイモン・イェーツが狙う強いチームが揃っている。僕たちは全てのステージで勝利を狙っていく」と、7日間レースの初日を見事制したマシューズは語った。

一方、2位でスプリントを終えたコルブレッリがフィニッシュ直後、意識を失い倒れ込む事態が発生。即座に待機していた医療スタッフによる応急処置が施され、現地報道によるとその1時間後にコルブレッリはジローナ大学病院に搬送されたという。チームはその後、SNSを通してコルブレッリの状態が安定したことを伝えている。コルブレッリの容態については続報が入り次第お伝えします。

フィニッシュ直後に意識を失い、医療スタッフの応急処置を受けるソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)フィニッシュ直後に意識を失い、医療スタッフの応急処置を受けるソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
ボルタ・ア・カタルーニャ2022第1ステージ結果
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 3:47:11
2位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 カンタン・パシェ(フランス、グルパマ・エフデジ)
4位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)
5位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)
7位 サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)
8位 エデュアルド・プラデス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
9位 ユーゴ・オフステテール(フランス、アルケア・サムシック)
10位 アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、グルパマ・エフデジ)
個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 3:47:01
2位 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:04
3位 ヨナス・ヴィデバーグ(ノルウェー、チームDSM)
4位 カンタン・パシェ(フランス、グルパマ・エフデジ) 0:06
5位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:10
6位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)
8位 サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)
9位 エデュアルド・プラデス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
10位 ユーゴ・オフステテール(フランス、アルケア・サムシック)
その他の特別賞
ポイント賞 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
山岳賞 ヨナス・ヴィデバーグ(ノルウェー、チームDSM)
ヤングライダー賞 ヨナス・ヴィデバーグ(ノルウェー、チームDSM)
チーム総合成績 バーレーン・ヴィクトリアス
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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