2021年全日本選手権タイムトライアルで優勝した樫木祥子にインタビュー。前半は、UCIポイントを獲得したコロンビアでのレースと、直後の全日本選手権について語ってもらった。



2021年全日本TT優勝の樫木祥子に東京都内でインタビューした2021年全日本TT優勝の樫木祥子に東京都内でインタビューした photo:Satoru Kato
全日本と天秤にかけて決めたコロンビア行き

「チームが用意してくれたコロンビア行きのチケットはヨーロッパ経由でした。それを持って羽田に行ったら『ヨーロッパからアメリカに入国出来ないからこのチケットは使えない』と言われて…。翌日発でアメリカ経由のチケットを改めて用意してもらいましたが、成田発だったので羽田から成田に移動して出発しました。

帰りはPCR検査の結果が予定していた飛行機に間に合わなくて、また翌日に変更になりました。それも直前まで書類を用意するのに手間取って、空港を走り回ってギリギリになってしまいましたけど、それで帰れなかったら全日本は出られませんでした」
「ブエルタ・ア・コロンビア・フェミニーナ」にチームイルミネートの一員として出場した樫木祥子(写真右端)「ブエルタ・ア・コロンビア・フェミニーナ」にチームイルミネートの一員として出場した樫木祥子(写真右端) ©️Vuelta a Colombia Femenina oficial
およそ2年ぶりに海外レースに出場した樫木祥子は、その時のことを楽しげに話す。でもそうしたハプニングも、結果を出したから笑い話に出来るのかもしれない。

9月28日から10月3日(現地時間)に、南米のコロンビアで開催された女子のUCI2.2クラスのレース「ブエルタ・ア・コロンビア・フェミニーナ(Vuelta a Colombia Femenina)」に出場した樫木は、第5ステージ3位、総合7位という結果を残し、日本女子には貴重なUCIポイントを獲得した。

「ブエルタ・ア・コロンビア・フェミニーナ」で激坂を登る樫木祥子「ブエルタ・ア・コロンビア・フェミニーナ」で激坂を登る樫木祥子 ©️Vuelta a Colombia Femenina Oficial
「このレースに出るのは3度目です。前回出た2019年は12月の開催で、オフシーズンで調子が上がってなかったので監督にもそう言ったんです。それでも『楽しめばいいよ』と言われたので…。でも今回は久々の海外レースだし、結果を出したかったので、準備して調子も良い状態で走りました。久々に密度の高い集団の中で走って、初日で手にマメが出来ました」

6日間6ステージのレースは、前半は平坦ステージと個人タイムトライアル、後半は2日連続で登りフィニッシュのステージをこなし、最終日はコロンビアの首都ボゴタでのクリテリウムという構成だった。樫木が3位に入ったのは、後半の登りフィニッシュのステージ。前日の第4ステージも同じ場所がフィニッシュのレースだったが、メカトラで2回もバイク交換する憂き目にあった。

「コロンビアの選手は登りが強いので、3位に入れるとは思っていませんでした。標高が400mくらいと、それほど高いところではなかったのも良かったです。例年なら1500mくらいの場所でレースするので、アジアの選手には不利でした」

コロナ禍の開催にもかかわらず、参加チームも多く盛り上がっていたという女子UCIレース「ブエルタ・ア・コロンビア・フェミニーナ」コロナ禍の開催にもかかわらず、参加チームも多く盛り上がっていたという女子UCIレース「ブエルタ・ア・コロンビア・フェミニーナ」 ©️Vuelta a Colombia Femenina Oficial
「それよりも最終日のクリテリウムが地獄でした。ボゴタは標高2600mくらいあるので、空気が薄いからホテルからコースまで自転車で移動するだけで苦しい。そんな場所で、クリテリウムと言っても登りと下りしかなく、中でも500mの平均勾配が14%を超える激坂があって、前34、後ろ30のギアを付けて走っても止まってしまうほどでした。1周したら先頭が10人くらいになってしまい、やめたいくらいきつかったけど、総合トップ10以内がかかってるし、UCIポイント持って帰りたいし、遅れてはチームカーで復帰しての繰り返しでなんとか完走しました」

チームメイトも樫木の結果を喜んでくれたチームメイトも樫木の結果を喜んでくれた 樫木祥子Facebookよりこのレースに出場すると連絡を受けたのと同じ頃、全日本選手権の10月開催の日程が発表になった。コロンビアに行けば、帰国後の隔離期間明けが全日本直前になってしまう。迷ったがコロンビア行きを決めた。

「全日本は勝たなければ意味がないレースだけれど、コロンビアに行ったら帰国後の14日間の隔離期間があるから100%では臨めない。でも2021年の全日本は勝ったとしても世界選手権に行けるわけじゃないし、次の五輪に出られるわけでもない。だったらコロンビアに集中して結果を出そうと思いました」

コロンビアのレースに向けて、国内で標高1500m以上の場所を見つけて合宿し、タイムトライアルバイクも用意するなど機材も完璧に揃えた。7月頃には落ちていた調子も上向きになり、万全の体制でコロンビアに向かった。

「2019年以来の海外レースなので気合いが入っていました。コロナ禍で色々なものを犠牲にして行くんだから、絶対結果を出してやろうと。UCIポイント圏内のトップ10に入れれば万々歳だなって思っていて、総合7位とステージ3位にも入れたので、ヨシ!って。満足して日本に帰りました」



全日本TTで勝ってわかったタイトルの大切さ

2021年全日本選手権 ノーマルバイク+DHバーで走った樫木祥子2021年全日本選手権 ノーマルバイク+DHバーで走った樫木祥子 photo:Makoto AYANO
冒頭にも書いた通り、紆余曲折ありながらもコロンビアから帰国して14日間の隔離期間が終わると、翌日ははもう全日本選手権の試走日だった。

「帰国してからいつも行くショップで自転車を見てもらいたかったけれど、それも出来なかったから自分で色々準備しました。タイムトライアルに使うDHバーの長さ調節のため電動ノコギリで切ってスイッチを付けたりして…まさか電ノコを使うとは思わなかったですけどね」

全日本選手権が開催された広島県中央森林公園のコースは、カーブが連続して細かなアップダウンが繰り返されるため、男子でも直前までタイムトライアルバイク(以下TTバイク)で走るかノーマルバイクで走るか悩む声が聞かれた。結果として男子はTTバイクを選択した選手が多かったが、樫木はノーマルバイク+DHバーを選んだ。

「両方持っていって試走してみて、私の場合は短い登りをTTバイクで高い出力を出すことが出来なさそうだなと感じました。練習でもTTバイクで短時間で出力を出す練習をしていなかったから、ノーマルバイクに決めました。勝ったのでこの判断は合っていたことにしましょう(笑)」

学連主催のタイムトライアル大会にオープン参加した樫木祥子学連主催のタイムトライアル大会にオープン参加した樫木祥子 photo:Satoru Kato実は、樫木が全日本選手権のタイムトライアルを走るのは今回が初めてだった。富士スピードウェイで開催された2019年の全日本選手権では、準備はしていたが東京五輪の代表選考がかかっていたからロード1本に絞った。でも今年は両方出ることにした。

「『結果=自分の力』であるタイムトライアルに価値を感じて、2019年頃から本格的に練習してきました。今回もロードだけに絞ろうかとも考えましたが、コースが平坦ではないからチャンスがあると思ったのと、失う物もなく、色々チャレンジできる年だったので両方エントリーしました」

とは言え、女子はタイムトライアルとロードレースが連続する日程で行われたため、翌日はさすがに厳しかったと振り返る。

ロードレースでも優勝候補に挙げられていた樫木祥子ロードレースでも優勝候補に挙げられていた樫木祥子 photo:Makoto AYANO
「ロードレースのスタート後に今日は疲れてると感じてました。前日よりも脚が重いし、1周走ってこれは今日はきついなぁと。2周目にペースが上がった時に反応するだけでキツくて、もうダメだと思ってました。勝てないなら降りようかと思ったくらい…」

結局ロードレースは5位に終わったものの、『タイムトライアル全日本チャンピオン』というタイトルの大切さを今になって実感していると言う。

「自分の中では、準備万端で臨んで結果を出したコロンビアの方が満足度が高かったのだけれど、多くの人が私の想像を超えて全日本優勝をとても喜んでくれました。だからタイムトライアルで勝てて良かったなと思っています」。

後編に続く)


text:Satoru Kato
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