台湾を拠点とする気鋭ヘルメットブランド、ケープラスのラインアップから、ブランド初となるMIPS搭載モデルALPHAをインプレッション。アジアンフィットによる高いフィット感と通気性に優れるモデルだ。



ケープラス ALPHA(White、Black、Lava Red)ケープラス ALPHA(White、Black、Lava Red)
ケープラスが2021年末にリリースした新作のALPHA。VITAやSUREVO、NOVAのように、スポーティーな雰囲気とケープラスらしい独創的な造形を掛け合わせたシェルのモデルだ。

シェルデザインで特徴的な部分は、額から後頭部にかけて伸びる中央のラインと、頭を囲うような2つのライン、統一感のあるブリッジ、スポーツカーのような雰囲気を演出する後頭部の造形。アウターシェルがヘルメットの下部まで回り込んでいることも特徴の一つ。

前頭部の大きなベンチレーションホールが優れた通気性を生み出す前頭部の大きなベンチレーションホールが優れた通気性を生み出す
ケープラスらしい独創的なシェルデザインだケープラスらしい独創的なシェルデザインだ
ベンチレーションホールのサイズも大きく設定され、ヘルメット内部には前頭部から取り込まれた風が、後頭部に流れるようなエアチャネルが備えられた。後頭部の大きな通気口と相まって通気性にも期待できるシェルとなっている。

また、ALPHAはMIPSという安全性にまつわるテクノロジーが導入されている。MIPSとはヘルメットが着地した際に受ける回転方向の衝撃をいなし、脳へのダメージを軽減させようという技術だ。

シェルの内側にシートを一枚配置するMIPSテクノロジーシェルの内側にシートを一枚配置するMIPSテクノロジー
特別なシートがスライドすることで、脳へのダメージを軽減するMIPSテクノロジー特別なシートがスライドすることで、脳へのダメージを軽減するMIPSテクノロジー
ALPHAではMIPS AIRというシェルのベンチレーション、エアチャネルの形状に合わせてカットしたシートを搭載する方法が採用されている。これによってヘルメット内を通り抜ける風をライダーが感じられ、快適に過ごせるようになるはずだ。

アジャスターは機械式時計のトゥールビヨンにインスパイアを受けたデザインとされたALPHA。カラーはWhite、Black、Titanium Grey、Aurora Blue、Lava Redという5種類が用意される。サイズはS(268g)、M(295g)、L(350g)。価格は29,700円(税込)。



-インプレッション
ケープラス ALPHAケープラス ALPHA
ケープラスのアジアンフィットは秀逸だ。台湾を拠点とするブランドだけあり丸型頭へのフィット性は高く、デザインを気に入ってもヘルメット帽体が合わないからと言って諦める心配も少ない。今回のALPHAについても例には漏れない。

欧米フィットのヘルメットは着用できない丸型頭の持ち主である筆者・藤原の場合でも、ケープラスのフィット感は間違いないと思うほどALPHAのフィット感は非常に好印象。シェルが深く作られており、額から側頭部、後頭部までしっかりと覆われ、頭頂部もどこか一点が接するわけではなく、面で頭とフィットするため、着用時の安心感は非常に高い。

スポーツカーのような造形の後端部スポーツカーのような造形の後端部
さらにALPHAはMIPS搭載モデルにもかかわらず、高いフィット感を実現していることに驚きだ。一般的なMIPSは黄色のシートがシェルとパッドの間に挟み込まれ、フィット感に影響を与えるものだった。そのため各社は様々な工夫をシェルやMIPS自体に施している。

ALPHAの場合はMIPS AIRと名付けられたテクノロジーを採用しており、ベンチレーションホール部分とエアチャネル部分がくり抜かれたMIPSシートが配された。シートが一枚挟み込まれながらも、その存在を感じにくいのは非常に嬉しい仕様だ。

アジアンフィットのフィット感は非常に高いアジアンフィットのフィット感は非常に高い
私の頭囲は58cmで、普段はカブトのS/MやカスクのLサイズを着用している。ALPHAのサイズ表記はS(53〜56cm)、M(56〜59cm)とされているが、ALPHAが頭の形状にマッチしているためか、Sサイズでも常用できる程高いフィット感を得られた。

Sサイズの場合は若干側頭部にシェルが干渉する気もするが、不快で被れない程ではない。対してMサイズの場合、被りの深さが相まって大きめに感じるほど。とは言っても、Mサイズのアジャスターを締め切ってしまうこともなく、頭を揺らしてもズレる事のない高いフィット感で着用できる。

アイウェアをホールドするグリッパーが設けられているアイウェアをホールドするグリッパーが設けられている
フィット感に優れているだけではなく、ライド中は頭頂部から後頭部にかけてのエリアで風が抜けていく感覚を覚えるほどの通気性にも好印象を抱いた。テストのシチュエーションは冬の夜だったが、ライドの初めは冷風が頭を大胆に冷やし、体が熱を帯びた状態で心地よい温度になるような感覚がある。

信号待ちの停車でも、熱がヘルメット内にこもることがなく、走り初めからライド終了まで通して快適に過ごすことができるヘルメットという印象だ。パッドにも熱がこもりにくい印象があり、総じて快適に着用できるヘルメットと言えそうだ。

マグネットバックルは手袋を装着していても扱いやすいマグネットバックルは手袋を装着していても扱いやすい
冬場に感じた美点としては、マグネット式バックルの操作が容易に行えること。厚手のグローブを装着していても、簡単にバックルをつけ外しすることができるため、信号待ちなどで気軽にヘルメットのズレなどを直すことができるのは嬉しい。

そしてケープラスと言えばデザインが独創的なことが特徴の一つだが、ALPHAはレーシーな雰囲気とエレガントさを掛け合わせたスポーツカーのよう。今回借り受けたレッドは深い色味かつパールカラーとされており、高級感を感じさせるモデルに仕上げられている。

トゥールビヨンに着想を得たというアジャスターダイヤルトゥールビヨンに着想を得たというアジャスターダイヤル
搭載されているアジャスターのダイヤルは外輪部分がカーボン地とされ、ダイヤル本体は内部の巻き取り機構を覗くことができる肉抜きボディとされた。ダイヤルを回してもケープラスのロゴは回転しない設計とされており、これまでのアジャスターダイヤルとは一味違うことが特徴だ。

ケープラス曰くトゥールビヨンから着想を得たというオリジナルアジャスターダイヤルは、高級感のあるシェルとの相性は良いだろう。性能のバランスが取れていて、細部にこだわったヘルメットを探している方にはぴったりなモデルだろう。

大きなベンチレーションホールが高い通気性を生み出す大きなベンチレーションホールが高い通気性を生み出す


ケープラス ALPHA
カラー:White、Black、Titanium Grey、Aurora Blue、Lava Red
サイズ(重量):S(268g)、M(295g)、L(350g)
価格:29,700円(税込)

text:Gakuto Fujiwara
リンク
Amazon.co.jp

最新ニュース(全ジャンル)