終始レースの主導権を握ったコフィディス。プロヴァンス第2ステージはブライアン・コカール(フランス、コフィディス)がジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)をロングスプリントで抑え込み、今季2勝目を掴み取った。



サインに応じるフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)は今年がラストイヤーサインに応じるフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)は今年がラストイヤー photo:CorVos
最終日を前日に控えたプロヴァンス第2ステージは、ゴッホの絵画「アルルの少女」で知られるアルルをスタートする180km。出発地点から山間にあるマノスクに向けて徐々に標高を上げ、フィニッシュ地点は平坦基調ながらもその手前30km地点の2級山岳(距離6.6km/平均4.8%)を越える。パンチャーはもちろん登れるスプリンターにもチャンスがある丘陵コースだ。

総合成績にも関わるこの日、イネオス・グレナディアーズのエースを務めるリチャル・カラパス(エクアドル)からコロナ陽性反応が検出されたため棄権した。チームのリリースによるとカラパスに症状はないという。

この時期でも温暖な南仏の気候から大半が半袖ジャージを着用する選手たち。アクチュアルスタートが切られると、AG2Rシトロエンから今年B&Bホテルズ KTMに移ったアレクシー・グジャール(フランス)の飛び出しから5名の逃げグループが先行した。

逃げ集団は序盤からコフィディスが率いるプロトンから3分15秒程度のリードで山間地帯を駆ける。逃げの中でもグジャールとポール・ウルスラン(フランス、トタルエネルジー)が力強い引きを見せ、残り30km地点の2級山岳の頂上をウルスランが先頭で通過。ウルスランは山岳ジャージを確定させた頃には、逃げはグジャールとウルスランの2人になっていた。

ポール・ウルスラン(フランス、トタルエネルジー)を含む5名による逃げ集団ポール・ウルスラン(フランス、トタルエネルジー)を含む5名による逃げ集団 photo:CorVos
終始レースをコントロールしたコフィディス終始レースをコントロールしたコフィディス photo:CorVos
コフィディスを先頭に2級山岳アイレ・デイ・マスコを駆け上がるプロトンコフィディスを先頭に2級山岳アイレ・デイ・マスコを駆け上がるプロトン photo:CorVos
ウルスランが仕事を終えたとばかりに下がっていき、反対に1人になったグジャールは独走体制でフィニッシュ目指して突き進む。プロトンでは登り適性のあるスプリンターコカールのためにコフィディスがペースアップすると、イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)など多くの選手たちが遅れていった。

残り6kmでグジャールとメイン集団との差は30秒。逃げ切りを阻止しようとこれまで牽引したコフィディスに代わり、トレック・セガフレードやクイックステップ・アルファヴィニル、AG2Rシトロエンが集団先頭に人数を集め猛追。グジャールはマノスクの入り組んだ市街地に突入した残り2kmで吸収されていった。

40名程度の先頭集団からピエールリュック・ペリション(フランス、コフィディス)が飛び出し、フィニッシュまで続く平均勾配4.8%の緩やかな登りを駆け上がる。残り1kmを過ぎてクイックステップ・アルファヴィニルのリードアウトがペリションを捉えると、各チームによる集団スプリントの体制が整った。

真っ先にスプリントを開始したのはピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)。それに先頭集団にチームで唯一残ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が反応し、更に後ろからコカールが追走する。スピードが緩んだラトゥールをかわしたコカールは、迫るジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)も退け勝利を掴み取った。

ロングスプリントを決めたブライアン・コカール(フランス、コフィディス)ロングスプリントを決めたブライアン・コカール(フランス、コフィディス) photo:CorVos
悔しがる2位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)悔しがる2位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
「フィニッシュで腕を振り上げたのは今シーズンで早くも2度目。皆に味あわせてあげたいぐらい最高の気分だよ。チーム一丸となって昨日の悔しさを晴らすことができた。レースを厳しくして有力選手たちをふるい落とし、勝つ確率を高めたんだ」。エトワール・ド・ベセージュで区間優勝につづき、今季2勝目を飾ったコカールは語った。

ステージ3位に入ったガンナは総合首位キープに成功。ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)はスプリントステージにもかかわらず6位に入り、総合でも10位にラインクインしている。そしてステージ、総合と共に2位のアラフィリップは、総合優勝に向けて絶好の順位で最終日の山頂フィニッシュに挑む。
ツール・ド・ラ・プロヴァンス2022第2ステージ結果
1位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) 4:19:42
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)
3位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
4位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)
5位 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)
7位 マッズ・ウルスシュミット(デンマーク、イスラエル・プレミアテック)
8位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
9位 オレリアン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン)
10位 ロレンゾ・マンザン(フランス、トタルエネルジー)
個人総合成績
1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 3:26:05
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:04
3位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) 0:10
4位 サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザクスタン) 0:12
5位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:17
6位 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) 0:21
7位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
8位 ルイス・フェルファーク(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
9位 セップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・プレミアテック) 0:22
10位 マキシム・ブエ(フランス、アルケア・サムシック) 0:23
その他の特別賞
ポイント賞 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)
山岳賞 トム・マグノー(フランス、ゴースポー・ルーベ・リ・メトロポール)
ヤングライダー賞 サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザクスタン)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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