今年1月に競技活動を休止後、6月にレース復帰、その後東京五輪で銀メダルを獲得したトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)がインタビューに答え「グランツールも選択肢にある」と出場への意欲を語った。



シーズン後半戦だけで19レースに出場したトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)シーズン後半戦だけで19レースに出場したトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
「いま現在、僕のコンディションは100%ではいないものの、95%の走りはできている。来年のレースについては12月に決める予定だが、短いレース(ワンデーやステージレース)の他にグランツールも選択肢にある。良い挑戦になるとともに、僕の強みも活かすことができるからね」。12月半ばより予定されているチーム合宿を控えたデュムランはオランダのWielerflitsにそう語った。

今年1月に突如「活動休止」を発表したデュムラン。しかし6月にツール・ド・スイスでレース復帰すると、10日後のオランダナショナル選手権個人タイムトライアルで2017年以来となる4度目の国内王者に輝く。その後は自身が「復帰する一番のモチベーションだった」と語った東京五輪個人タイムトライアルで2大会連続の銀メダルを獲得し、復活をアピールした。

4度目となる個人TTの国内王者に輝いたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)4度目となる個人TTの国内王者に輝いたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
東京五輪で銀メダルを獲得したトム・デュムラン(オランダ)東京五輪で銀メダルを獲得したトム・デュムラン(オランダ) photo:CorVos
同インタビューで「休むしか選択肢がなかった」と休養に至った理由についても答えたデュムランは「今年の1月頃は2時間すら自転車に乗ることが辛かった。そんな練習の後は疲れとみじめさで精神的に押し潰されそうだった」とコメント。「僕の身体が疲れ果ていて、ブレーキを踏んだ状態だった。一度自分の力が弱まると、同時に自転車に乗る喜びも失われてしまう。自転車が嫌いになりさえした」。

また、歯車が狂い出したのはジロ・デ・イタリアで総合優勝し、環境が激変した2017年からだと言う。「周りの人たちは皆、僕の力を最大限に引き出そうした。それは間違いではなく、僕もそれを望んでいた。僕に最善の選択させるべく、ありとあらゆる専門家に囲まれていた。しかし、僕が本当に求めるものについて考えてくれる人は誰もいなかった。僕の意思とは関係ないところで物事が決まっていった。それがただただ辛かった」。

2022年限りでユンボ・ヴィズマとの契約が満了するデュムランに対しては、10月にバイク・エクスチェンジが獲得の意思があることを表明。同チームのブレント・コープランドGMは「彼にグランツールの総合優勝に対する野心があるのならば、交渉をしたい選手の一人だ」と話し、来季のデュムランのグランツール出場に注目が集まる。

text:Sotaro.Arakawa

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