1981年に創業したオフロードバイクに強いブランドのロッキーマウンテン。名古屋の代理店であるフカヤが一部モデルの取り扱いを開始した。フルモデルチェンジを果たしたクロスカントリー系のELEMENTを発表会の模様とあわせ紹介しよう。



ロッキーマウンテン ELEMENT C30ロッキーマウンテン ELEMENT C30 (c)ロッキーマウンテン
2021年シーズンよりフカヤレーシングが駆るロッキーマウンテンのクロスカントリー系MTB"ELEMENT"がフルモデルチェンジを遂げる。同時に2022モデルから名古屋の代理店であるフカヤが一部取り扱いを開始することとなり、東京都内のルブリカントにて発表会が実施された。ロッキーマウンテンの国内の総代理店であるA&Fは代わらず、フカヤはMTB入門となるELEMENTやハードテールバイクなどを扱うという。

新型ELEMENTの最大の特徴は、一日中マウンテンバイクで遊び尽くそうというロッキーマウンテンの考えが色濃く反映されていること。バンクーバーの山々を繋いで走るカナダのマウンテンバイカーが登りと下りどちらもハイスピードで駆け抜けるための1台となっている。

フルモデルチェンジを果たしたロッキーマウンテンのELEMENTフルモデルチェンジを果たしたロッキーマウンテンのELEMENT
さらにそれらの性能はコースが激しくなっている現代のクロスカントリーレースに適応するのにも最適であり、ダウンヒルでの安定性やコントロール性能を求めたジオメトリーやサスペンションがもたらすアドバンテージの幅は広い。

サスペンションはフロントが130mm、リアが120mmという、XCレーサーというよりはダウンカントリーに近い設定だ。100mm前後が標準であったXCレースバイクとしては非常に長めの設定だが、現代のレースではこのような設定の方がアドバンテージになると、発表会で自身の経験を踏まえて新型の魅力を語った竹内遼は言う。

更に、サスペンションのインナーレッグ径も34mmと、これまでいわゆるトレイルバイクに採用されてきたクラスをELEMENTは標準装備する。「コースが激しくなったことで、クロスカントリー系では標準だった32mm径では顕著に捻れを感じます。重量が増したとしても、ハイスピードでハードなセクションを走れるように34mmが必要になっています」とフカヤレーシングの松本佑太は語る。

A&Fの柴田さんが新型ELEMENTの概要を説明してくれたA&Fの柴田さんが新型ELEMENTの概要を説明してくれた ELEMENTに乗り世界で戦うフカヤレーシングの竹内遼ELEMENTに乗り世界で戦うフカヤレーシングの竹内遼


リアはチェーンステー部にピボットを設けた4バーリンケージとし、リアサスペンションの動きを最適化。サスペンションレイアウトを追求し、アンチスクワット性を高めているため、XCレースにも対応できる反応性を獲得した。

クロスカントリー系のバイクは重量増を避けるため、4バーではなくモノコックのリアトライアングルとするブランドが多いが、ロッキーマウンテンは重量増よりもサスペンションの動きを追求し、そのアドバンテージが重量に勝ると判断した。

クロスカントリーモデルながら、リアバックにはピボットが設けられているクロスカントリーモデルながら、リアバックにはピボットが設けられている
さらに国内の総代理店を務めるA&Fの柴田さんは「ロッキーマウンテンの母国であるカナダでのマウンテンバイキングは、登りも下りもとてつもない速いスピードを出すので、ELEMENTこそが最適なバイク」と語る。

ジオメトリーも現代のバイクらしくヘッドが寝て、シートチューブが立つスラックな設計だ。リアのロッカーアームにはジオメトリー調整が行えるRide-4 adjust systemが備えられており、必要に応じてヘッドアングルやBBドロップを変更することが可能となっている。

ロッカーアームとリアショックを繋ぐ部分は、Ride-4 adjust systemとなっており、レンチ一つでジオメトリーを変更できるロッカーアームとリアショックを繋ぐ部分は、Ride-4 adjust systemとなっており、レンチ一つでジオメトリーを変更できる
ヘッドアングルは[65.0°、65.5°、65.8°]で可変し、それに伴いBBドロップは[47mm、40mm、36mm]と大きく変化する。アングル調整は非常に容易で、六角レンチさえあればライドの現場で作業可能だ。単身でヨーロッパ遠征を行った竹内も自分でレースコースにあわせてRide-4 adjust systemを活用したという。

旧モデルのELEMENTのヘッドアングルは[68.6°、69.2°、69.8°]と新型と比較し立ち気味であり、サスペンションも100mmから130mmへと長くなっていることに対して、ワールドカップを走る竹内はレースコースの変化とマッチしていると言う。

「フローなコーナーが多くなるなどの影響でレースのハイスピード化が進んでいます。タイトなコーナーがあるとストップ&ゴーのダッシュが必要で選手たちが大きなパックになりにくいのですが、今はコーナーなども高速になりパックになってレースが進んでいきます。ロックセクションなど激しい下りもありますし、それらで遅れを取らないためには、スピードを維持しつつ安定して進める自転車が必要になっています(竹内)」。

ダウンチューブにはもちろんプロテクターが備えられているダウンチューブにはもちろんプロテクターが備えられている
しっかりとしたフレームプロテクターが備えられているしっかりとしたフレームプロテクターが備えられている シートステー側のチューブにもプロテクターが備えられているシートステー側のチューブにもプロテクターが備えられている


このジオメトリーの恩恵を受けるのはレーサーだけではない。コントロール性や安定性のキャパシティの大きな自転車に乗ることは、初心者でも安心して乗りこなしやすいことに繋がる。アグレッシブなレースコースに行かなくても、その魅力を十分に発揮できるはずだ。

ロッキーマウンテンが拠点を構えるカナダにはBC Bike Raceという大会がある。「カナダの山々を繋いで走るこのレースにはXCレーサーからDHレーサーまで、あらゆるタイプの選手が参加するほど上りと下りのバリエーションが豊かなんですけど、上りか下りどちらか一方の性能だけではなくマルチな走りができる必要があって、そこにELEMENTは適しています」とフカヤの牧さんは言う。

続けて「そのようなマルチな走りができ、登りの性能も良いというELEMENTは、体力のあるサイクリストにはマッチしていると思います。ロードやシクロクロスを楽しんでいた方で、更に違う遊びをしたい、MTBに乗ってみたいという方には最適なバイクでしょう」と言う。

ダウンチューブにはボトルケージ台座が2つ備えられ、様々な使い方が可能になっているダウンチューブにはボトルケージ台座が2つ備えられ、様々な使い方が可能になっている
ELEMENTはボトルケージ台座がダウンチューブに2つ備えられていることもポイントの一つ。下部のマウントはボルトが3つあり、必要に応じて調整することが可能。フレームがSサイズの場合は620mlと710mlのボトルを挿すことができ、M-Lサイズの場合は710mlのボトルを2本装備できる。片方はウォーターボトル、もう片方はツール等のために使うことで、身軽にライドを楽しめるだろう。

フレームやリアトライアングルにプロテクターが標準装備されるほか、メインピボットのベアリングにはデュアルシールスペーサーが配されベアリング耐久性を高めるなど、長い期間に渡ってマウンテンバイクを楽しめる仕様とされている。

最大2.6インチのタイヤを装着できるクリアランスを備えている最大2.6インチのタイヤを装着できるクリアランスを備えている
ラインアップはカーボンフレームの完成車とフレームセット、アルミフレーム完成車の3種類。カーボン完成車のELEMENT CARBON 30は、シマノ SLXをコンポーネントのメインに据えた1台。フロントショックはマルゾッキ Z2 Float EVOL Rail、リアはフォックス Float DPS Performanceが採用される。価格は515,900円(税込)。フレームセットは437,800円(税込)。

アルミフレーム完成車はシマノDeoreをコンポーネントとする1台。フロントサスペンションはロックショックスのRecon Gold、リアショックもロックショックスのDeluxe Select+。価格は396,000円(税込)。

新型ELEMENTを駆り世界で戦うフカヤレーシングと、サポートするフカヤ社長の近藤正勝さん新型ELEMENTを駆り世界で戦うフカヤレーシングと、サポートするフカヤ社長の近藤正勝さん


ロッキーマウンテン ELEMENT C30
フレーム:SMOOTHWALL™ Carbon. Full Sealed Cartridge Bearings. Press Fit BB. Internal Cable Routing. RIDE-4™ Adjustable Geometry + Suspension Rate. 120mm Travel. SMOOTHWALL™ Carbon Rear Triangle
フォーク:Marzocchi Z2 Float EVOL Rail 130mm | 44mm Offset
リアショック:Fox Float Fox Float DPS Performance | Sealed Bearing Eyelet | 25x8mm F Hardware | All Sizes = 190x45mm | Size-Specific tune in FAQ
コンポーネント:Shimano SLX
ブレーキ:Shimano MT4100 2 Piston | Resin Pads
リム:WTB ST Light i27 TCS 2.0 Tubeless
タイヤ:Maxxis Rekon 2.4 WT EXO Tubeless Ready
サイズ:SM (157.5-170cm)、 MD (167.5-177.5cm)、 LG (175-188cm)
価格:515,900円(税込)

ロッキーマウンテン ELEMENT Carbon FRAME
サイズ:SM (157.5-170cm)、 MD (167.5-177.5cm)、 LG (175-188cm)
価格:437,800円(税込)

ロッキーマウンテン ELEMENT A30
フレーム:FORM™ Alloy. Full Sealed Cartridge Bearings. Press Fit BB. Internal Cable Routing. RIDE-4™ Adjustable Geometry. 120mm Travel. FORM™ Alloy Rear Triangle
フォーク:RockShox Recon Gold 130mm | 27.5 = 37mm Offset | 29 = 42mm Offset
リアショック:RockShox Deluxe Select+ | Sealed Bearing Eyelet | 25x8mm F Hardware | All Sizes = 190x45mm |Size-Specific tune in FAQ
コンポーネント:Shimano Deore 12spd
ブレーキ:Shimano MT4100 2 Piston | Resin Pads
リム:WTB ST Light i27 TCS 2.0 Tubeless
タイヤ:Maxxis Rekon 2.4 WT EXO Tubeless Ready
サイズ:SM (157.5-170cm)、 MD (167.5-177.5cm)、 LG (175-188cm)
価格:396,000円(税込)

ロッキーマウンテン ELEMENT A30ロッキーマウンテン ELEMENT A30 (c)ロッキーマウンテン

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