2018年に合宿中の交通事故で脊椎骨折。1年後に復帰を果たし、今年念願のツール・ド・フランスに出場したペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス)が引退を発表した。10月13日のジロ・デル・ヴェネトが現役最終レースとなった。



現役ラストレースを終えたペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス)現役ラストレースを終えたペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
イタリアのワンデーレース「ジロ・デル・ヴェネト(1.1)」が行われた10月13日、ペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス)が「これが現役最後のレースになる」と自身のSNSで発表した。「小さい頃の夢であったプロ選手になることができ、とても嬉しく夢のような日々だった。自転車選手であっただけでなく、自転車界で成功を収める2つのチームに所属できた。それにビッグレースでの勝利と、数々のチームの勝利に貢献することができた」。

ヴァコッチは1992年生まれ29歳。2014年にオメガファルマ・クイックステップ(現ドゥクーニンク・クイックステップ)でプロデビューすると、2015年にチェコナショナル選手権、2016年にベルギーのセミクラシックであるブラバンツ・ペイルを制するなどワンデーレースを中心に活躍した。しかし、2018年1月に南アフリカで行ったトレーニング合宿でトラックに轢かれ脊椎を骨折。3度の手術と約1年に及ぶリハビリを経て、翌年の2019年1月にレース復帰を果たした。

「大怪我を負った僕の目標は、競技への復帰とツール・ド・フランスの出場だった。そして決して諦めない強い意志と運によって競技に復帰することができた。プロレースという高いレベルへのカムバックは、僕が成し遂げた勝利の1つだろう」。

2016年のブラバンツペイルを制したペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス)2016年のブラバンツペイルを制したペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス) photo:Tim de Waele
大怪我から2019年ブエルタ・ア・サンフアンで約2年ぶりに現場復帰したペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス)大怪我から2019年ブエルタ・ア・サンフアンで約2年ぶりに現場復帰したペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス) (c)CorVos
2021年ツール・ド・フランス第11ステージでメイン集団を牽引するペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス)2021年ツール・ド・フランス第11ステージでメイン集団を牽引するペトル・ヴァコッチ(チェコ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
2020年よりアルペシン・フェニックスに活躍の場を移すと、今年は念願だったツール・ド・フランスに出場。「今年のツール・ド・フランスへの出場はこれ以上ない感動があった。またマイヨジョーヌ獲得のサポートができるなんて思いもしなかった」と語るように、チームのステージ2勝とマチュー・ファンデルプール(オランダ)のマイヨジョーヌ獲得に貢献した。

今季はステージレースやワンデーレース問わず多くのレースに出場したヴァコッチだったが、「努力を続けたこの3年半がもたらした身体への負担は大きく、僕の身体は休養を欲していた。まだレースを続けたかったものの、心は満足感に満ち溢れていた。それに違った分野で新しい挑戦がしたい欲求が高まっていた」と引退の理由を説明した。

そして最後にヴァコッチは、「僕の旅路を支えてくれた全員に感謝したい。特に家族や友人、僕の命を救ってくれた医療スタッフ、南アフリカでの怪我から復活をサポートしてたドゥクーニンク・クイックステップとアルペシン・フェニックスには多大な感謝を伝えたい」と、8年に及ぶプロ生活を締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)