ヨーロッパにシクロクロスシーズン到来。三大シリーズ戦の一つ「スーパープレスティージュ」初戦でバロワーズ・トレック・ライオンズのトーン・アールツ(ベルギー)とルシンダ・ブラント(オランダ)がそれぞれ勝利を飾った。



湖畔の砂地や林間セクションを組み合わせたギーテンのコース湖畔の砂地や林間セクションを組み合わせたギーテンのコース photo:CorVos
ベルギー屈指のシクロクロスシリーズ戦「テレネット・スーパープレスティージュ」が、昨年よりも1週間早い10月3日(日)にギーテンで開幕した。1982年に開幕し、UCIシクロクロスワールドカップ(1993年にスタート)よりも歴史ある伝統的なシリーズ戦であり、そのプライオリティは非常に高い。

ベルギーの英雄スヴェン・ネイス(ベルギー)が過去最多の13回総合優勝を挙げているシリーズ戦は例年通りオランダのギーテンで開幕し、ルッデルフォールデ、ニール、メルクスプラス、ボーム、ヒュースデン・ゾルダーと年間8戦を予定している。コロナ禍の昨シーズンとは異なり有観客であること、そして男女ジュニアレースの復活などそれ以前に近い状態へと戻っている。
スーパープレスティージュ2021-2022レースカレンダー
10月3日(日) ギーテン(ベルギー)
10月23日(土) ルッデルフォールデ(ベルギー)
11月11日(木) ニール(ベルギー)
11月20日(土) メルクスプラス(ベルギー)
12月4日(土) ボーム(ベルギー)
12月27日(月) ヒュースデン=ゾルダー(ベルギー)
12月29日(水) ディーヘム(ベルギー)
2月12日(土) ガーフェレ(ベルギー)
例年開幕戦が行われるギーテンのコースは、池を囲う砂地と小刻みな登り。今年は雨によってコースが緩み、舗装路と湖畔の硬い砂浜以外はほぼ全て重馬場の泥区間に。泥を捌くテクニック、パワー、そしてランニング能力が問われるヨーロッパらしいレースが繰り広げられた。

シーズン初戦で優勝を挙げたルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)シーズン初戦で優勝を挙げたルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos
スーパープレスティージュ2021-2022第1戦女子エリート表彰台スーパープレスティージュ2021-2022第1戦女子エリート表彰台 photo:CorVos
ロード世界選手権を経てシクロクロスシーズンインした世界チャンピオンのルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)を筆頭に、トップ選手が揃った女子レースは序盤から激しいアタック合戦が続いた。全5周回の2周目にはデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が単独リードを築いたものの、中盤以降2位グループから抜け出したブラントが急速な追い上げを見せた。

ブラントはベッツィマとの距離を着実に縮め、3周目に合流。持ち前のパワーでベッツェマを引き離すと、そのまま独走勝利。シクロクロス初戦で勝利を挙げると同時に、昨シーズンを通じてアルカンシエル獲得以降初勝利を遂げた。

ヘルマンスとともに先頭を走るトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)ヘルマンスとともに先頭を走るトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos今年ジロ・デ・イタリアを完走したクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)は好調ぶりを発揮今年ジロ・デ・イタリアを完走したクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)は好調ぶりを発揮 photo:CorVos

トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がスーパープレスティージュ初戦で優勝トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がスーパープレスティージュ初戦で優勝 photo:CorVos
57名が参加した男子エリートレースは、ジロ・デ・イタリアに参戦するなど自身初めてのフルロードシーズンを過ごしたクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)が2周目に加速。トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が追従し、今季既に3勝を挙げているエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)は脱落。チームメイトのローレンス・スウェーク(ベルギー)と共に3位グループを形成した。

スーパープレスティージュ2021-2022第1戦男子エリート表彰台スーパープレスティージュ2021-2022第1戦男子エリート表彰台 photo:CorVos
全8周回のうち、ヘルマンスは6周目までアールツと互角の走りを見せていたものの、パンクに見舞われペースダウン。トラブルに襲われたライバルを尻目に独走に持ち込んだアールツは、その後もハイペースを貫き独走勝利を飾った。また、女子ジュニアレースではロード世界選手権でアルカンシエルを獲得したばかりのゾーイ・バックステッド(イギリス)が勝利している。

シーズン開幕戦を走り終えた選手たちは短い休息を挟んで渡米する。今週末10月10日にウィスコンシン州ウォータールーで開幕するUCIワールドカップ第1戦、そしてアイオワシティで開催される第2戦で再戦する予定だ。
スーパープレスティージュ2021-2022第1戦男子エリート結果
1位 トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 1:00:42
2位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム) 0:23
3位 エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 1:03
4位 ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 1:29
5位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 1:38
6位 ピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 1:43
7位 トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 2:03
8位 イェンス・アダムス(ベルギー、ホルベークホーフ) 2:12
9位 トム・メーウセン(ベルギー、CXチームデスハフト・グループヘンス・マースコンテナーズ) 2:40
10位 コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンス・サーカスCXチーム) 2:59
スーパープレスティージュ2021-2022第1戦女子エリート結果
1位 ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 45:21
2位 デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 0;08
3位 アンマリー・ワースト(オランダ、777) 1:02
4位 アニク・ファンアルフェン(オランダ、777) 1:41
5位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) 1:48
6位 ヤラ・カステリン(オランダ、IKOクレラン) 1:57
7位 パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス) 2:01
8位 サンヌ・カント(ベルギー、IKOクレラン) 2:05
9位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)
10位 フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 2:40
text:So Isobe