9月19日から26日までベルギー・フランドル地方でUCIロード世界選手権が開幕する。初日のエリート男子個人タイムトライアルのコースとともに、ガンナやキュング、ファンアールトら、優勝候補の選手たちを紹介する。



ベルギー・ツアーに度々登場するスタート地点のクノック=ヘイストベルギー・ツアーに度々登場するスタート地点のクノック=ヘイスト photo:CorVos
男子エリート個人タイムトライアル・コースマップ男子エリート個人タイムトライアル・コースマップ image:UCI2021年のロード世界選手権の舞台となるのはロンド・ファン・フラーンデレンなど数々のワンデーレースの舞台となっているベルギー北部のフランドル地方。北海に面したクノック=ヘイストの街をスタートし、毎年3月に行われるオキシクリーンクラシック・ブルッヘ〜デパンヌ(UCIワールドツアー)でお馴染みのデパンヌにフィニッシュする。なおスタートとフィニッシュ地点は男子エリートだけではなく女子エリートや男女混合リレーなどすべてのカテゴリー共通だ。

男子エリート個人タイムトライアルは、獲得標高僅か78mという平坦な43.3kmコースで争われる。クノック=ヘイストの海岸線を東に1.5kmを進み、その後は内陸を目指して運河を横目に南下していく。平坦独走力が試される直線の多いコースだが、風上に折れながら伸びた木々が示すように時折強い風が吹き付ける。明確な勝負所となる区間はないものの、一時の気の緩みが明暗を分けるレイアウトと言えるだろう。

欧州選手権を2位で終えたフィリッポ・ガンナ(イタリア)欧州選手権を2位で終えたフィリッポ・ガンナ(イタリア) (c)vitesse
欧州選手権2連覇を達成したシュテファン・キュング(スイス) 欧州選手権2連覇を達成したシュテファン・キュング(スイス)  (c)CorVos
起伏の乏しくパワーが必要となるコース特性は、ディフェンディングチャンピオンのフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)に有利かもしれない。今年のジロ・デ・イタリアで初日と最終日の個人TTを制したガンナだが、登りのあるコースだった東京五輪を5位、そして今大会同様に平坦コースだった欧州選手権では2位と、昨年に見せた圧倒的な力はどこか影を潜めている。

そのガンナに8秒差をつけて欧州選手権を制したのがシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)だ。ビッグレースで勝利を逃し続けてきたキュングだったが、5連覇した6月のスイスナショナル選手権以降着実にコンディションを上げ、2年連続のヨーロッパ王者に輝いている。

ツール・ド・フランス第20ステージで優勝したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)ツール・ド・フランス第20ステージで優勝したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:Kei Tsuji
欧州選手権3位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)欧州選手権3位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVosタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto AYANO

今シーズン、キャリアハイとも言える成績を残すワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)も個人タイムトライアルに出場する。あくまでも主眼はエースとして挑むロードレース(9月26日)と言いながらも、今年はツール・ド・フランス第20ステージで勝利を上げるなどタイムトライアルでも好調だ。そして同じベルギーからは欧州選手権3位のレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)も、風吹く平坦コースを171cmという小柄な身体でどう挑むか注目される。

その他にもタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)や22歳の若手イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、ドゥクーニンク・クイックステップのレミ・カヴァニャ(フランス)やカスパー・アスグリーン(デンマーク)なども上位争いに絡んでくるはずだ。

なお東京五輪の個人TTを優勝したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)はロードレースに専念するため出場を回避。銀メダルのトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)はトレーニング中に車と接触し右手を骨折したため出場が叶わず、銅メダリストで過去世界選手権を2連覇しているローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)も直前で出走を取りやめている。

text:Sotaro.Arakawa

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