北欧ノルウェーを舞台とするツアー・オブ・ノルウェーが閉幕。東京五輪男子マディソンで銀メダルを獲得したイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がステージ2勝を挙げるとともに総合優勝に輝いた。4日間のレースをダイジェストでレポートします。



北欧独特の地形フィヨルドを横目に進むプロトン北欧独特の地形フィヨルドを横目に進むプロトン photo:CorVos
ツール総合2位のヨナス・ヴィンゲゴー(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と東京五輪金メダリストのフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)ツール総合2位のヨナス・ヴィンゲゴー(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と東京五輪金メダリストのフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
今年で開催9周年を迎えたツアー・オブ・ノルウェー(2.Pro)は、北欧ノルウェーの南部を舞台にしたステージレース。毎年5月下旬に開催されるが、今年はコロナ禍で8月19日〜22日に延期され、また例年より1日少ない全4ステージで開催にこぎつけた。

ノルウェー北部で開催されるアークティックレース・オブ・ノルウェーと同様に平坦や丘陵がステージを占めるため、これまでの総合優勝者リストに名を連ねるのはエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームトタルエネルジー)やアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)といったスプリンターたち。今大会も出場するこの2人に加え、9月の世界選手権や10月のクラシックに向けて調整を進める選手たちが揃った。

全19チーム中7つのワールドチームが参加し、元世界王者のマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)やツール・ド・フランス総合2位のヨナス・ヴィンゲゴー(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、東京五輪の男子チームパーシュートで金メダルを獲得したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)など豪華な顔ぶれ。日本からは岡篤志(NIPPO・プロヴァンス・PTSコンチ)も参戦した。

第1ステージ 登りフィニッシュをイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が制す第1ステージ 登りフィニッシュをイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が制す photo:CorVos
第2ステージ イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)による2日連続の勝利第2ステージ イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)による2日連続の勝利 photo:CorVos
初日は2級山岳(距離4.8km/平均4.9%)のフィニッシュが待つ丘陵ステージで、エリートカテゴリーに本格参戦して2年目の22歳イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が登坂力を見せつけ勝利。翌日第2ステージも今大会まで今季4勝を挙げている好調ヘイターが緩やかな登りフィニッシュを制し、2日連続の勝利とともにサーモンオレンジのリーダージャージをキープした。

レース後半戦はよりピュアスプリンターに適した平坦基調のレイアウト。第3ステージは集団スプリントで前回大会の覇者クリストフをマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が下し、最終日の第4ステージではそのピーダスンを、男子オムニアム金メダリストのマシュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)が上回った。

第3ステージ 集団スプリントでマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)がアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)を下す第3ステージ 集団スプリントでマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)がアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)を下す photo:CorVos
第4ステージ 東京五輪金メダリストのマチュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)が最終ステージで勝利第4ステージ 東京五輪金メダリストのマチュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)が最終ステージで勝利 photo:CorVos
ガンナをはじめとしたイネオスの強力なアシスト受けたヘイターが初日、2日目で得た15秒差を守り、キャリア初のステージレース総合優勝を達成。「初めての総合優勝は決して簡単な戦いではなかった。開幕からの2日でアドバンテージを取り、それを守らなければならなかった第3ステージはとてもハードだった」とコメントする。「厳しかったがとても楽しめたレース。天候と走りながら見る景色は本当に素晴らしいものだった」と、最終日のステージ勝者ウォールスとともに銀メダルを獲得して以来、ロード復帰戦となったレースでの優勝を喜んだ。

総合2位には初日に得たタイム差を守った23歳のイーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)が、総合3位には集団スプリントで上位を重ねたマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)がラインクイン。チームメイトのアシストに尽力した岡は、23分24秒遅れの総合61位でレースを終えている。

総合2位イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)、総合優勝イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、総合3位マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)総合2位イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)、総合優勝イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、総合3位マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
第1ステージ(エーゲルスン〜ソクンダル:150km)結果
1位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 3:44:30
2位 イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) 0:01
3位 トースタイン・トレーエン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) 0:11
4位 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) 0:13
5位 ジェームズ・ショー(イギリス、リブルウェルドタイトプロサイクリング)
76位 岡篤志(NIPPO・プロヴァンス・PTSコンチ) 8:06
第2ステージ(シーダル〜シーダル:185km)結果
1位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 4:16:32
2位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)
3位 マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
4位 イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
43位 岡篤志(NIPPO・プロヴァンス・PTSコンチ) 0:26
第3ステージ(ヨルペランド〜ヨルペランド:160km)結果
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) 3:49:02
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
3位 マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
4位 マルクス・フールゴー(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
5位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
51位 岡篤志(NIPPO・プロヴァンス・PTSコンチ) 13:35
第4ステージ(ヒンナ・パーク〜スタヴァンゲル:156km)結果
個人総合成績
その他の特別賞
ポイント賞 マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
山岳賞 アンソン・チャーミグ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
ヤングライダー賞 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)
チーム総合成績 ウノエックス・プロサイクリング チーム
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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