「ジロと同じ感触で走ることができた。まだこの勝利が信じられない」と、逃げ切りステージ優勝を掴んだダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)は語る。総合も大きく動いたブエルタ第8ステージを走り終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ1位&山岳賞 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)

マイヨロホを1分05秒差で振り切って勝利したダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)マイヨロホを1分05秒差で振り切って勝利したダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:Unipublic
長かった。独走した71kmはとても長く感じた。イネオスがハイテンポで集団を引いていることを知り、彼らに捉えられる前に飛び出そうと思っていた。でも1人になってから逆に差が広がるとは思わなかったよ。素晴らしい気持ちで、まだ勝利が信じられない。

ジロの時のように調子が最高に良く、自分でも驚くほどだった。最後の登りは非常に長かったものの、自分のテンポに集中して登った。勝利を確信したのはフィニッシュ手前の数kmだった。(タイムを失った)ミケル(ランダ)には残念に思うし、今日は全員にとって厳しいステージだった。彼が遅れたことは無線で聞いていたが、僕はフィニッシュを目指して自分の走りに集中していた。

ステージ2位&マイヨロホ プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

マイヨロホを守ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)マイヨロホを守ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic
今日、この結果にふさわしい走りを僕たちはできたと思う。厳しい山岳が登場するとてもハードな1日で、いまはとにかく明日の休息日が楽しみだよ。チームメイトも頑張ってくれたし、イネオスが山岳を速いテンポで牽引した。最後は激しい闘いが繰り広げられたものの、幸運にも脚が回ってくれたので良い結果が得られた。今日のエンリク(マス)は強かったが、まだ始まったばかりだし、明日は最初の休息日だ。次のステージからもチーム一丸となって頑張りたい。

ステージ3位&総合2位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

総合ライバルたちをふるい落としたエンリク・マス(スペイン、モビスター)とプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)総合ライバルたちをふるい落としたエンリク・マス(スペイン、モビスター)とプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic
今日の結果には満足している。この良い感覚を得られるまで長い時間がかかった。チーム全体としても今日は素晴らしいレースだった。ヨハン・ヤコブスの棄権は残念で、落車の影響が小さいことを願っている。最終山岳でのミゲルアンヘル・ロペスの走りはグレートで、彼の動きを活用してライバルたちに差をつけようと試みた。

ログリッチよりも僕の方が強かったとは思っていない。確かに僕が先頭を引いていた時の方が速かったが、それは僕の方がライバルたちとのタイム差を求めていたからだ。マイヨロホを着ていた彼は、僕と先頭交代をする必要はなかった。だけど彼は協力してくれ、それが双方の利益となった。この登りをログリッチと2人で走ることができて嬉しかったよ。

だけど、どこかでマイヨロホを奪い取る動きを見せなければならない。母国でのレースなのだから、チームとしてもその動きは重要になってくる。今日ログリッチを倒すことはできなかったが、この先のレースでまた仕掛けたい。明日はライバルたちからアドバンテージで得られるような休息日にしたいね。

ステージ9位&総合5位&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

粘りの走りを見せながらもタイムを失ったエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)粘りの走りを見せながらもタイムを失ったエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
今日は仕掛けようと決めていた。クレイジーな展開になると予想できていたので、最後の登りに向けて速いリズムを刻んでレースを厳しくするつもりだった。だが実際にはライバルたちは強く、僕は頭を切り替えて明後日からまた頑張るしかない。

調子は悪くなかったが、ペースの上下に対応できなかった。自分の脚に強さを感じながらも、彼らの加速についていくことができず遅れてしまった。アダム・イェーツが僕のサポートに周ろうとしたのだが、すでに自分の走りをしてほしいと伝えていた。自分のレースを作ってほしいとね。明日は休息日で、しっかりと自分の状態を把握しなければならない。

ステージ11位&総合8位 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)

ログリッチのため幾度となくアタックに反応したセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)ログリッチのため幾度となくアタックに反応したセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
総合でも上位につけているのでライバルたちについて行きたかったが、強烈なアタックに苦しめられた。また自分の動きによってプリモシュ(ログリッチ)が少しでも脚を溜められればとも思っていた。

イネオスについて言えば、総合エースが複数人いるとコミュニケーションが難しくなるだろう。1人が調子良くても、もう1人がいまいちだったら衝突が起こるかもしれないからね。イネオスは登りで力強く引いていたが、突然(アシストを使い果たし)止まったんだ。だからと言って僕らが代わって牽引することはなく、ステージ優勝を狙っていなかったので自分たちのペースを守っていた。

ログリッチからは何の指示を受けていない。でもみんなの呼吸が辛そうなのは分かっていたので、できる限り彼のそばにいようと思っていたんだ。

ステージ20位&総合9位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)

1日を通して調子は良かったのだが、いつもなら問題なく集団についていける最終山岳の始めの3kmから遅れてしまった。自分の力を過信してしまい、暑さの影響もあったのだろう。だがベストは尽くしたし、まだ総合でトップ10内にいる。まだ先は長いので、明日の休息日で可能な限り身体と休めたい。それにこれでステージ優勝を狙うチャンスが広がった。このブエルタでの目標は総合で10位以内とステージ優勝。その観点では、今日の結果もそれほど悪いものではない。

ロマン・バルデ(フランス、チームDSM)

カルーゾを追走するロマン・バルデ(フランス、チームDSM)らカルーゾを追走するロマン・バルデ(フランス、チームDSM)ら photo:Unipublic
スタートしてから100kmぐらいまで逃げができなかった。なんとしても逃げに乗りたかったので、最初の3時間はほぼ全力だった。そのおかげで逃げに入ることができたものの、思っていたよりもメイン集団とのタイム差が広がらなかった。また、ステージを勝つには序盤で力を使いすぎてしまったようだった。とにかく今日はカルーゾが強すぎた。でもこの後も諦めることなく挑戦を続けたい。

新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)

満足気な表情でフィニッシュにやってきた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)満足気な表情でフィニッシュにやってきた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
なんて強いチームなんだろう(笑)。今日の厳しいステージで優勝、4、7位。トップ10に3人も!これからも楽しみだ!

今日はステージ優勝を狙っていた。スタートからアタック合戦が激しく、最初の2級山岳までに決まってくれればと思ったが、登りに入っても全然、集団は止まる気配がなかった(苦笑)。今日も暑かったので、ボトル運んだりして集団で休んでいるところで落車が起こり、メイン集団から脱落。50人ぐらいいたのでこのままグルペットかなと思っていたら、逃げが決まって、補給所通過だったりでメイン集団がスピードダウンしたのでまた復帰できた。

しかし、29kmの1級山岳に突入するとリーダーチームのユンボはゆっくりとコントロールしていたのだが、5kmぐらいしか登ってないのに、イネオスのペースアップで集団から遅れて、グルペットでゴール目指した。ここまで平坦で風を受けて走ってきたからか、疲労で登りでは苦しんだが、今日のチームのステージ優勝で少し疲労が抜けた(笑)。

これでチームは今年のグランツール全てでステージ優勝したことになった。まだ9ステージなのか、もう9ステージなのかは分からないけど、明日は回復に努めて、第2週目もたくさん働かないとね。

ゴラズド・シュタンゲリ監督(バーレーン・ヴィクトリアス)

総合4位まで順位を上げたジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)総合4位まで順位を上げたジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
ダミーノ(カルーゾ)の勝利は素晴らしい。だが、一方でミケル(ランダ)が苦しんだ。今朝からミケルの調子が良くないことは把握しており、選手たちに彼の動きに気を配るよう指示していた。依然として彼は我々のエースであり、ワウト(プールス)とマーク(パデュン)には引き続き彼のサポートをするよう伝えている。

ダミアーノについては言うことがない。誰か1人を逃げに入れる計画だったが、逃げに乗るのも簡単ではなかった。動きをマークされていた中をかいくぐり、総合勢による争いが勃発する前に単独で飛び出した。全ての動きが完璧だった。

またジャック(ヘイグ)にとっても、開幕から調子の良さを見せる素晴らしい第1週目になった。ステージ優勝という1つの目標を達成し、この後はさらなる目標に向けてジャック、ジーノ(マーダー)、ミケルの3人が狙いに行く予定だ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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