2度の大規模落車が発生したツール・ド・フランス開幕戦。約2kmの独走で勝利とマイヨジョーヌを獲得したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やマイヨブランを手に入れたポガチャル、落車したトニー・マルティンなど、混沌の初日を終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ1位&マイヨジョーヌ&マイヨヴェール(ポイント賞) ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)

マイヨジョーヌを手にしたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)マイヨジョーヌを手にしたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
息子の誕生直後に勝利とマイヨジョーヌを獲得できるなんて信じられない。もしスタート前にこの結果を言われていたとしても、きっと信じなかっただろう。このレースには高いモチベーションで臨み、勝利と再びマイヨジョーヌを着ることが目標だった。だが、こんなに早く達成できるなんて思わなかった。とても嬉しいよ。

今日の計画はスプリンターにとって厳しいレースにすることだった。だからチームメイトには序盤から全力で行くよう頼んだんだ。最終局面では、最初の勾配区間をカスパー(アスグリーン)が導いてくれ、その後に左から上がってきたドリス(デヴェナインス)についていった。そして彼の仕事が終わり飛び出した。オールアウトで行こうと決め、後方と差が生まれたのでそのまま全力で踏み続けた。

この素晴らしいチームの歴史でグランツール100回目のステージ優勝だったようだ。この驚くべき功績の一部になれたことを誇りに思うよ。

ステージ2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)

2位争いを制したマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)2位争いを制したマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) photo:CorVos
アラフィリップが早めに仕掛けるのはいつものことなので、アタックには驚かなかった。今日の目標は勝利だったが、アラフィリップが僕より強かっただけだ。もちろん勝ちたかったので悔しいが、同時にツール・ド・フランスを表彰台でスタートすることができ複雑な気持ちだ。この結果によってチームがこの3週間を歩む方向性が定まったように思う。明日の最後の登りはもっと厳しいようだが、僕にとっては好都合だ。今日の走りは自信につながったよ。

ステージ4位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)

ソンニ(コルブレッリ)で勝負できると思って走り出したのだが、レースの速度が速くコースもテクニカルで、何より2度の大規模な落車があった。1つ目は残り40km地点で発生し僕とソンニが巻き込まれ、集団に追いつくのに時間を要した。そして残り7km地点の2つ目の落車ではチームの数名が転倒してしまった。

僕とソンニ、マテイ(モホリッチ)が良い位置で最後の登りに続く左コーナーに入ったのだが、苦しそうにするソンニが見えた。(スプリンターよりもむしろ)クライマーに適した登りで、前の選手にできる限り食らいついた。4位という結果には非常に満足している。

ステージ6位&マイヨブラン(ヤングライダー賞) タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

マイヨブランはタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の手にマイヨブランはタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の手に photo:Kei Tsuji
今日は速く厳しいステージになった。2つ大きな落車があり、酷い落車をしてしまったマルク(ヒルシ)やその他全員の無事を祈っている。初日が終わりホッとしているし、明日はより穏やかなステージになればいいと思う。マイヨブランを獲得できて嬉しいが、あのような落車が起こった後で無邪気に喜ぶことはできない。

ステージ10位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

落車に巻き込まれず先頭集団でフィニッシュしたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)落車に巻き込まれず先頭集団でフィニッシュしたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
ストレスの大きい、落車も起こる内容の濃い一日になった。終盤の落車では誰が巻き込まれたのかわからず、結局リッチー(ポート)が遅れてしまった。基本的に自分の走りに集中し、集団後方で最後の登りに入ってしまったが、ペースが緩んでから前に上がろうと考えていた。だが、急勾配区間を過ぎても集団のペースが落ちることはなかった。アラフィリップのアタックがあまりにも強かったため、全員がフルガスで行かざるを得なかったからだろう。

個人的に悪くはなかったが、第1ステージから100%の力を出せるわけない。今日を乗り切ることができてよかったものの、リッチーとテイオ(ゲイガンハート)の結果は残念に思う。

マイヨアポワ(山岳賞) イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)

ステージ後半に独走したイーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)がマイヨアポワ獲得ステージ後半に独走したイーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)がマイヨアポワ獲得 photo:Kei Tsuji
今日の目標は逃げに乗り、マイヨアポワを獲得することだった。この素晴らしいジャージを手に入れるためには、いつもと違う走りをしなければならないと思っていた。だから集団を驚かせてポイントを獲得したんだ。

後方集団と大きく差を広げることができ、監督が「次の山頂まで全力で踏め」と励ましてくれた。力を尽くした結果、このジャージに袖を通すことができとても嬉しい。ツール・ド・フランス初日にマイヨアポワを着るチャンスは滅多にないからね。脚の状態を見ながら、明日もジャージを守れるよう頑張るよ。

トニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)

16分29秒遅れで無事完走したトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)16分29秒遅れで無事完走したトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
落車が起こるまでは全てが計画通りに進んでいた。チームメイトを右側から先頭に上げたのだが、観客の持つサインボードと衝突してしまった。一瞬の出来事で、ほぼチーム全員が落車してしまった。観客の多くは選手にリスペクトを持って観戦してくれるが、あの観客は違った。だが幸いにもプリモシュ(ログリッチ)は上手く切り抜けることができた。自分や落車した他の選手の身体のダメージが最小限であることを祈っている。

クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)

スタート前にトーマスと談笑するクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)スタート前にトーマスと談笑するクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
予定していた形ではないが、なんとか完走することができた。検査を受け今夜にはその結果を伝えられると思う。同時に、落車した他のみんなの無事を祈っている。

落車しリタイアしたヤシャ・ズッタリン(ドイツ、チームDSM)

とても残念で言葉もない。右手首を動かすことができなかったので、走り続けることができなかった。骨折はしていなかったが、このまま家に帰らなければならないのが何より残念だ。仲間のツールでの幸運を祈っている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos