ナショナル選手権が終わり、各チームがツールメンバーを続々発表中だ。ドゥクーニンク・クイックステップでは昨年マイヨヴェールを獲得したサム・ベネット(アイルランド)ではなくマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)が選出された。ジュリアン・アラフィリップ(フランス)と共にチームを率いる存在となる。



直近のベルギーツアーでアッカーマンやフルーネウェーヘンを下したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)直近のベルギーツアーでアッカーマンやフルーネウェーヘンを下したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
ドゥクーニンク・クイックステップのツール・ド・フランス出場メンバーとしてブレストの街に向かうのは、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)、カスパー・アスグリーン(デンマーク)、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)、マティア・カッタネオ(イタリア)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)、ティム・デクレルク(ベルギー)、ドリス・デヴェナインス(ベルギー)、ミケル・モルコフ(デンマーク)という8名。昨年ステージ2勝とマイヨヴェールを獲得したサム・ベネット(アイルランド)は膝故障のため出場メンバーから外れた。

チームを率いるのは、2019年に14日間マイヨジョーヌを獲得し、今年はアルカンシエルを着用して母国大一番のレースに臨むアラフィリップと、ロンド・ファン・フラーンデレン覇者のアスグリーン、そして過去ツール区間30勝を挙げているカヴェンディッシュの3名だ。

一時引退を視野に入れながらも6年ぶりに古巣復帰を果たし、ツアー・オブ・ターキーで復活の区間4勝、ベルギーツアーでも区間1勝を挙げたカヴにとっては2018年以来3年ぶりのツール復帰。トレーニング中に膝を痛めたことによる調整不足によってメンバー入りを逃したベネットに代わり、スプリントステージで現役最多ツール区間勝利数更新を目指すこととなった。

ステージ4勝を挙げた2016年大会からツールのステージ優勝がないカヴェンディッシュステージ4勝を挙げた2016年大会からツールのステージ優勝がないカヴェンディッシュ photo:TDWsport/Kei Tsuji
「今の気持ちはどんな言葉でも表現することができない。このチームで地球上最も素晴らしいレースに戻ることができて嬉しい。もちろん昨年特別なツールを経験したサムがマイヨヴェール防衛できないことを残念に思う。しかしそれと同時に最も親しみがある、歴史深いレースに戻れて興奮しているよ。この機会を全力で掴むべく全力を尽くす」と、プレスリリースでコメントしたカヴ。自身のTwitterでも喜ぶと同時にベネットを気遣う言葉も贈っている。

一方、「言うまでもなく、マイヨヴェール防衛ができなくなったことに失望している。数週間前のトレーニング中に小さなトラブルが起きて膝を痛めてしまった」と言うのはベネット。「怪我の影響は短期間だったが、ツールに向けてのトレーニングに大きな影響を与え、十分な練習時間を取ることができなかった。ツールは最高のコンディションで挑むことが求められ、今の僕はその状態にないと言える。ウルフパックが大成功の3週間を送ることを願っているよ」と加えている。

今季ティレーノ〜アドリアティコとフレーシュ・ワロンヌで勝利しているジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)今季ティレーノ〜アドリアティコとフレーシュ・ワロンヌで勝利しているジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
ロンド・ファン・フラーンデレンを制したカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)ロンド・ファン・フラーンデレンを制したカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
ベネットのメンバー不選出は衝撃的。しかし、パトリック・ルフェーブルGMはベネットが今年限りで退団することを認めており、一部にはベネットがツールから外れる噂が流れていた。かつて最強スプリンターの名を欲しいままにしたカヴは、名発射台モルコフとタッグを組み2016年以来となるツール区間優勝を目指すこととなった。
ドゥクーニンク・クイックステップ ツール・ド・フランス2021出場メンバー
ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
カスパー・アスグリーン(デンマーク)
ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)
マティア・カッタネオ(イタリア)
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
ティム・デクレルク(ベルギー)
ドリス・デヴェナインス(ベルギー)
ミケル・モルコフ(デンマーク)
text:So Isobe