今大会唯一と言える勝機を掴んだのはアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)だった。5日前に久々の勝利を挙げた「ゴリラ」が早くも2勝目を射止めた。



平穏な一日を過ごしたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)平穏な一日を過ごしたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) (c)CorVos
開幕初日から険しい山岳ステージが続いてきた「ルタ・デル・ソル(太陽のレース)」ことブエルタ・ア・アンダルシア(UCI2.Pro)は、5日中の4日目にして今大会唯一とも言える平穏な平坦ステージがやってきた。

バーサからクリャル・ベガを目指す180kmオーバーのコース序盤は標高1,000m級の山岳地帯を越えるものの、徐々に標高を下げる後半区間は平坦というスプリンター向けステージ。山岳賞ジャージを着るルイス・マテ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)を含む7名が逃げ、総合首位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)擁するモビスターが集団先頭に位置取った。

青空広がる穏やかな天候の下、メイン集団ではモビスターに加えてイスラエル・スタートアップネイションやドゥクーニンク・クイックステップ、そしてトレック・セガフレードといったスプリンターチームが牽引。ロペスが並走するバイクカメラにポーズを取るような、リラックスした雰囲気のまま、オリーブ畑を突っ切る幹線道路を駆け抜けていく。

終盤にかけて逃げグループは人数を減らしながら抵抗したものの、ほぼ唯一と言って良いチャンスを逃すまじとスプリンターチームが鉄壁のタイムマネジメントを実行する。タイミングを見計らって残り2.7kmで全員を引き戻し、ここから激しい位置取り争いへ。アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)とマッテーオ・トレンティン(イタリア)のUAEチームエミレーツ列車は早すぎるスタートによって沈没し、イスラエル・スタートアップネイションが優位に立った。

出遅れたクリストフたちを尻目にアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)がスプリント出遅れたクリストフたちを尻目にアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)がスプリント (c)CorVos
リック・ツァベル(ドイツ)の前でアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)が勝利リック・ツァベル(ドイツ)の前でアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)が勝利 (c)CorVos
グライペルの勝利を喜ぶチームメイトたちグライペルの勝利を喜ぶチームメイトたち (c)CorVos
リック・ツァベル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)、アレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)、クリストフ、アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)の順で最終コーナーを越え、グライペルが真っ先にスプリント。リードアウトを外れたツァベルに進路を塞がれたクリストフが失速し、後方から追撃したアルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)やマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)も届かない。今年限りで引退する”ゴリラ”が今季2勝目を掴んだ。

チャレンジマヨルカで841日ぶり勝利を掴み、その5日後に再び勝利と波に乗るグライペルは「チーム全員が集団スプリントに持ち込むべき仕事をしてくれた。イスラエルは今日もトップクラスのリードアウトトレインを備えていることを証明できた。特に経験豊富な(ダリル)インピーやツァベル…。彼らの走りに報いることができて良かった」とチームに感謝する。

20秒リードで最終日に臨むミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)20秒リードで最終日に臨むミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) (c)CorVos
翌最終日も平坦基調ではあるものの、フィニッシュ手前5kmで3級山岳を越える。今日リードアウトを担ったトレンティンやインピーなどパンチャー勢がステージ優勝を狙いに来るはずだ。
ブエルタ・ア・アンダルシア2021第4ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) 4:37:12
2位 アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
3位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
4位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
5位 アレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)
6位 リック・ツァベル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)
7位 エンリケ・サンズ(スペイン、エキッポ・ケルンファーマ)
8位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
9位 アレクサンダー・コニシェフ(イタリア、バイクエクスチェンジ)
10位 トビアス・バイヤー(オーストリア、アルペシン・フェニックス)
個人総合成績
1位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) 18:39:43
2位 アントワン・トールク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) 0:20
3位 フレン・アメスケタ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) 0:55
4位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) 1:40
5位 トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) 1:47
6位 ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) 1:51
7位 ジェームズ・ピッコリ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) 1:58
8位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 2:13
9位 ミケル・ビスカラ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) 2:20
10位 オスカル・ロドリゲス(スペイン、アスタナ・プレミアテック) 2:48
その他の特別賞
山岳賞 ルイス・マテ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
ポイント賞 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)
チーム総合成績 カハルラル・セグロスRGA
text:So Isobe
photo:CorVos

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