「2位を目指したのが勝利の秘訣だ」と冗談交じりに語るのは、悲願のジロ初勝利を挙げたジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)。ロングスパートでライバルを驚かせたアッフィニや、3位のサガン、明日のゾンコランを語るベルナルなどのコメントを紹介します。



ステージ1位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)

念願のステージ優勝を飾ったジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)念願のステージ優勝を飾ったジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス) photo:CorVos
ようやく勝つことができた。実は今朝の僕の目標は2位になることだった。それが勝利を引き寄せた秘訣だったのかもしれない。とても嬉しいよ。今日は前を遮られることなく思い切りスプリントすることだけを考えていた。フィニッシュラインのかなり手前からスプリントを始めたが、脚があったおかげで上手くいった。

ランドアバウト(旋回式交差点)のことを考え早めに集団先頭に出た。もちろん早すぎるリスクもあったが、集団前方で安全を確保したかったんだ。テクニカルなスプリントの方が好きなのだが、今回はフェルナンド・ガビリアの後ろを取り、そこから(エドアルド)アッフィニに飛び移った。彼を捉えるべく必死に踏んだよ。また彼の走りも素晴らしかったので祝福したい。

勝つことができてスーパーハッピーだし、この喜びの瞬間を楽しみたい。一番最初に呼んだのは母の名前だった。そして数日前に手術を受け、ここに来ることができなかった父にこの勝利を捧げたい。

ポディウムでステージ優勝を喜ぶジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス)ポディウムでステージ優勝を喜ぶジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス) photo:CorVos
自分の勝利を信じていたが、それだけで勝てるほど単純ではない。今日もまた負ける覚悟であの位置からスプリントしたんだ。そのリスクを取ったおかげで勝つことができた。また今日は、僕の周りを囲んでくれたチームが自信を与えてくれた。チームのためにも勝つことができて嬉しいし、マウロ・シュミットから二日後の勝利。また今夜も「UBUNTU(みんながいるから私がいる)」のお祝いができる。

ステージ2位 エドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ)

スプリンターたちを驚かせたエドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ)のアタックスプリンターたちを驚かせたエドアルド・アッフィニ(イタリア、ユンボ・ヴィスマ)のアタック photo:CorVos
アタックするつもりはなかった。ディラン(フルーネウェーヘン)のリードアウトをするはずだったが、後ろを振り返っても誰もいなかったんだ。何が起こっているのかわからず、だからそのままフルスピードでスプリントしたんだ。いまだに混乱していて、(2位という結果を)誇りに思うべきか残念と思うべきかわからない。今日は地元を通る特別な日で、ヴェローナは自転車選手になった街だ。こんなスペシャルな結果になるとは思わなかった。

もちろん彼(ディラン)でスプリント勝負する予定で、このような結果になり彼には残念に思う。(第1ステージの)トリノでは10秒差の2位だったが、今回は1秒以下だ。勝利まであと少しで、最後数メートルでは力の限りを尽くしたよ。

ステージ3位&ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

マリアチクラミーノを守ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)マリアチクラミーノを守ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
スピードの速いスプリントが待っている長いステージだった。僕に適したレイアウトではなかったが3位に入ることができた。ジロ初勝利を挙げたニッツォーロにおめでとうと伝えたい。ポイント争いのリードも僅かと迫ってきたが、まだマリアチクラミーノを着用できているし、ミラノまで守れるようベストを尽くしたい。

ステージ5位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)

人生で最も長いレースだった。機材トラブルという不運に見舞われながらも、最大限のスプリントができた。フィニッシュラインのかなり手前からスプリントを開始しなければならなかったのは残念だ。しかし、もう次のスプリントステージに向けて頭は切り替わっている。

ステージ10位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)

今日で僕のジロは終わりだ。レースの感覚とそれに向けた話し合いの場を楽しむことができた。勝利のために必要な感覚が戻ってきた気がする。次の目標に向けて準備を進め、スプリントの機会を与えてくれたチームに感謝したい。

ステージ49位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)

真っ平らな第13ステージを走る新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)真っ平らな第13ステージを走る新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
今日はこれから始まるハードなステージを前に回復日となった。 風も追い風基調でアベレージスピードも43km/hと前回の向かい風の平坦ステージよりは快適に過ごし、ゴール手前の危険回避の位置取りだけで、本当に最小限の力でステージを終える事が出来た。明日からまたアタックの日々が続くだろう。天気の悪い予報だし、 気を引き締めて行きたい。

ニッツォーロのアシストを務めたヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)

ニッツォーロはチームにとって素晴らしい存在で、彼の勝利がチーム最大の目標だった。彼が2位になったのは11回か12回?とにかく(ドメニコ)ポッツォヴィーヴォを失ってからずっとこのスプリントステージを狙っていた。マウロ・シュミットに続きチーム2勝目だ。すでに素晴らしいジロになっている。

ラスト1kmはいつも混沌としていて、最後のラウンダバウトでマキシミリアン(ヴァルシャイド)のチェーンが落ち、リードアウトができなくなってしまったんだ。しかしジャコモは完璧なスプリントをしてくれた。UBUNTU(みんながいるから私がいる)だ。

マリアローザ&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

危なげなくマリアローザを守ったエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)危なげなくマリアローザを守ったエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
明日の朝はチームの指示に従うだけで、StravaやVeloviewer(でコースプロフィール)を確認することはしない。ゾンコランには最大勾配27%の登りがあることは知っている。もし脚があれば仕掛けるし、なければ淡々と踏むだけだ。それに加え、嵐と寒さもあるみたいだね。それが更にレースを厳しくするかもしれない。みなジロでは何が起こってもおかしくないと知っているので、あらゆることに気を張らなければならない。チャンスがあれば掴みにいくが、地に足をつけ、常に冷静さは保たなければいけない。

総合4位 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・NIPPO)

(ゾンコランと)悪天候はある選手たちを苦しめ、逆にそれが味方する選手もいるだろう。どちらにせよ山岳も含めチャレンジングなステージとなる。ここから待ち受ける全ての山岳ステージがミラノまでの勝負を決めるだろう。ゾンコランでは総合勢の接戦となり、強いものが勝つ。

ユンボ・ヴィスマのアーサー・ヴァンドンヘン監督

今日の作戦はディラン(フルーネウェーヘン)でのスプリントだった。エドアルド(アッフィニ)は完璧なリードアウトをしたのだが、結果的に彼のアタックが集団に混乱を生んだ。勝利に迫る彼の走りは素晴らしかった。スプリントの混沌とした状況のなか、残念なことにディランはチームメイトを見失ってしまったんだ。また、ダヴィド(デッケル)の調子がよくなかったことも影響している。エドアルドは相反する感情でチームバスに戻ってきたことだろう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos