イツリア・バスクカントリーの5日目は、逃げに乗ったドゥクーニンク・クイックステップのミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク)が、ヨセフ・チェルニー(チェコ)と共にフィニッシュし1位、2位を独占。総合順位に変動はなくマクナルティがリーダージャージを守っている。



オンダリビアから海岸線を沿ってオンダロアに向かうイツリア・バスクカントリー2021の第5ステージオンダリビアから海岸線を沿ってオンダロアに向かうイツリア・バスクカントリー2021の第5ステージ (c)CorVos
連日登場したバスクらしい山岳を経て、大会唯一の平坦基調ステージはオンダリビアから海岸線を西に沿ってオンダロアに向かう160km。後半に配置された2つのカテゴリー峠が、逃げ切りを狙う選手たちと集団スプリントに持ち込みたいチームとの思惑を分かつ。

そのチャンスを掴もうと逃げグループを形成したのは、独走力のあるアンドレイ・アマドール(コスタリカ、イネオス・グレナディアーズ)や登りが得意なジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)ら6名。一方のメイン集団ではスプリンターで勝負したいバイクエクスチェンジやEFエデュケーションNIPPOが積極的に牽引するが、タイム差は2分から縮まらない。

ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)を守る新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)を守る新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) (c)CorVos
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)とアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)ら6名が逃げグループを形成するジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)とアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)ら6名が逃げグループを形成する (c)CorVos
残り34kmから最終3級山岳ウルカレギ峠に入ると、逃げ集団に2名を送り込んだドゥクーニンク・クイックステップのヨセフ・チェルニー(チェコ)とミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク)がテンポを上げる。これにベルナールが食らいつくと、3人で頂上を通過した。

メイン集団では下りでアスタナ・プレミアテックのオマール・フライレ(スペイン)と、第2ステージの勝者アレクサンデル・アランブル(スペイン)が飛び出し追走。しかし勝利に飢えたウルフパックとの距離は縮まらず、平坦路に入る直前で集団に吸収されてしまう。

ドゥクーニンク・クイックステップの2人に挟まれるジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)ドゥクーニンク・クイックステップの2人に挟まれるジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード) (c)CorVos
集団から飛び出し追走するアスタナ・プレミアテックのオマール・フライレ(スペイン)とアレクサンデル・アランブル(スペイン)集団から飛び出し追走するアスタナ・プレミアテックのオマール・フライレ(スペイン)とアレクサンデル・アランブル(スペイン) (c)CorVos
2人でフィニッシュにやってきたミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)とヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)2人でフィニッシュにやってきたミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)とヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
逃げる3人がタイム差を1分前後に保ったまま進んでいくと、残り5kmから勾配を使ってホノレがアタック。これに反応できないベルナールを後ろでマークしていたチェルニーが、ダンシングで合流しタンデム体制を作る。

そのまま2人でフラムルージュ(残り1km)をくぐると、ホノレがチェルニーに譲られる形でフィニッシュラインを切りワールドツアー初勝利を挙げた。なお3位にはベルナール、4位にはメイン集団で先着したダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・スタートアップネイション)が入っている。

「登りでタイム差が1分まで縮まり、難しいと思ったが全力で踏み続けた。残り数kmの短い丘で飛び出し、一緒にフィニッシュを目指すため頂上でヨセフを待ったんだ。彼の走りは素晴らしかった。これは僕の勝利ではなく、2人で分かち合った勝利だということを強調したい。チームメイトと共にフィニッシュし喜び合えるなんて、自転車競技で最も美しい瞬間の一つだ」と語るのは、今季2勝、プロ通算3勝目を挙げた24歳のホノレ。

ワンツーフィニッシュを喜ぶミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)とヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)ワンツーフィニッシュを喜ぶミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)とヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
一方チェルニーも「僕たちにとって記念すべき日だ。自分たちが成し遂げたこの勝利を誇りに思うし、今日はいつまでも忘れない日になるだろう」と、チームにシーズン15勝目をもたらした喜びを表現した。

翌日は112kmという短い距離に、7つのカテゴリー山岳が詰め込まれた最終ステージ。1級山岳ウサルツァ(全長3.1km/平均12.7%)の急坂を越え、3kmの平坦&下りの先に待つフィニッシュ地点が総合優勝の行方を決める。

トラブルなくリーダージャージを守ったブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)トラブルなくリーダージャージを守ったブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos
イツリア・バスクカントリー2021第5ステージ結果
1位 ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) 3:39:54
2位 ヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
3位 ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード) 0:17
4位 ダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・スタートアップネイション) 0:28
5位 サイモン・クラーク(オーストラリア、クベカ・アソス)
6位 ステファノ・オルダーニ(イタリア、ロット・スーダル)
7位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)
8位 ジュリアン・シモン(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)
9位 マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)
10位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
92位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
個人総合成績
1位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) 16:05:43
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) 0:23
3位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ) 0:28
4位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:36
5位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 0:43
6位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 1:02
7位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 1:07
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 1:13
9位 ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) 1:15
10位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 1:23
その他の特別賞
ポイント賞 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)
山岳賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
ヤングライダー賞 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 ユンボ・ヴィズマ
text:Sotaro Arakawa
photo:CorVos

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