ビッグネーム勢揃いの第56回ティレーノ〜アドリアティコが開幕。二つの海を結ぶ1週間のステージレース初日に大集団スプリントが繰り広げられ、最高速72.6km/hを叩き出したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が勝利した。


ステージ前半にかけて内陸部を走るが、後半にかけてはほぼ真っ平らなレイアウトステージ前半にかけて内陸部を走るが、後半にかけてはほぼ真っ平らなレイアウト photo:LaPresse/RCS Sport
1966年に初開催され、ジロ・デ・イタリアと同じRCSスポルト(エッレチーエッセ・スポルト)が主催するティレーノ〜アドリアティコ。「ティレニア海からアドリア海まで」というレース名の通り、ティレニア海沿岸をスタートし、イタリア半島を横断してアドリア海沿岸に至るステージレースだ。イタリア半島を囲む2つの海を結ぶその行程から「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」とも呼ばれる。

同時期に開催されるパリ〜ニースと同様、クラシックレースやグランツールに向けて調整を続ける有力選手たちが多数出場。コースレイアウトに合わせて、各チームがメンバーをパリ〜ニースとティレーノ〜アドリアティコに振り分けている。2021年大会には、連覇を狙うサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)やエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)、ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)らが勢揃い。さらにジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ティボー・ピノ(グルパマFDJ)、ロマン・バルデ(チームDSM)というフランスの三強もパリ〜ニースではなくティレーノを選択した。

ティレーノ〜アドリアティコ2021第1ステージティレーノ〜アドリアティコ2021第1ステージ photo:Tirreno Adriaticoティレーノ〜アドリアティコ2021第1ステージティレーノ〜アドリアティコ2021第1ステージ photo:Tirreno Adriatico

直前のストラーデビアンケで圧勝したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)も2年連続の出場で、2月に新型コロナウイルス陽性になったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)はここでようやくシーズンイン。そんなビッグネーム揃いの1週間のステージレースが、ティレニア海に面したリード・ディ・カマイオーレで開幕した。

初日は定番のチームTTではなく156kmのロードステージ。前半に3回登場するKOMピトーロ(全長2.7km・平均7.4%)を除いて平坦基調な獲得標高差1,000m強の平坦ステージで、当然のことながらスプリンターチームがレースを支配した。6名による逃げは常にプロトンの射程圏内に置かれ、道幅のある幹線道路で泳がされたのち、残り11km地点で全ての逃げは吸収。レースのタイトルスポンサーでもあるエオーロ社の看板を背負ったヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ)がマリアヴェルデ(山岳賞ジャージ)を手にしている。

新型コロナウイルス陽性の影響でシーズンインが遅れたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)新型コロナウイルス陽性の影響でシーズンインが遅れたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
逃げるヤン・バークランツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)ら6名逃げるヤン・バークランツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)ら6名 photo:CorVos
優勝候補の筆頭エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)優勝候補の筆頭エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
スプリンターチームを先頭に進むメイン集団スプリンターチームを先頭に進むメイン集団 photo:LaPresse/RCS Sport
残り8.6kmの最終コーナーを曲がると、あとはフィニッシュラインまでひたすら直線&幅広の幹線道路。各スプリンターチームのトレインが入り乱れる高速走行を経て、UAEチームエミレーツが良い形でリードアウトに持ち込むことに成功する。マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)に導かれたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が勝ちパターンに持ち込んだものの、その番手につけていたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が先に仕掛けた。

ガビリアの加速を凌駕する勢いで、並ばせることなく、道のど真ん中を進んだファンアールト。およそ6番手までポジションを落としていたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が後方からかっ飛んできたが、ファンアールトは先頭を譲らなかった。「残り1kmからポジションを落としてしまい、ギャップを詰めることができなかった」というユアンがトップスピードで勝りながらも刺しきれず、ファンアールトがその両手を大きく広げた。

リード・ディ・カマイオーレの海岸通で繰り広げられた集団スプリントリード・ディ・カマイオーレの海岸通で繰り広げられた集団スプリント photo:LaPresse/RCS Sport
第1ステージの集団スプリントを制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)第1ステージの集団スプリントを制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
「スプリントを狙う作戦ではあったものの、この勝利には驚いている。シクロクロスは爆発的なスプリントの良い練習になっているけど、ロードレースのスピードはまだ足りていないんじゃないかと心配していた」。名だたるトップスプリンターを下したファンアールトはシーズン初勝利を喜んだ。なお、緩い西風(斜め後ろからの追い風)が吹く全長8.6kmの最終ストレートを選手たちは平均スピード61.6km/hで走行。ファンアールトのスプリント中の最大出力は1,445Wで、13秒間の平均出力は1,215W、トップスピードは72.6km/hだった。

「このティレーノ〜アドリアティコでは総合成績を狙って、数日間の休息を経て昨年勝利したミラノ〜サンレモに挑む。調子が良いことを確認できたし、チームにとっても良い勝利になったよ」。変則的なシーズンとなった2020年にファンアールトはストラーデビアンケで勝利し、その1週間後のミラノ〜サンレモでモニュメント初制覇を達成。2021年はシクロクロスシーズンを終えてから約1ヶ月の休息とトレーニング期間を設け、初戦のストラーデビアンケでは終盤の失速により4位に沈んでいた。なお、ストラーデビアンケを制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はチームメイトのティム・メルリール(ベルギー)にエーススプリンターの役目を託し、自身は77位で初日を終えている。

翌日はストラーデビアンケと同じトスカーナ州シエナ近郊の丘陵地帯を走るアップダウンコース(未舗装区間は登場しない)。丘の上の町キウスディーノに向かって、残り7.6kmから勾配3〜5%の緩斜面を経てフィニッシュを迎える。

青いリーダージャージを手にしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)青いリーダージャージを手にしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:LaPresse/RCS Sport
ティレーノ〜アドリアティコ2021第1ステージ結果
1位ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)3:36:17
2位カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
3位フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
4位アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アージェードゥーゼール・シトロエン)
5位ルカ・メズゲッツ(スロベニア、バイクエクスチェンジ
6位ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
7位アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
8位ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
9位イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
10位ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・スタートアップネイション)
個人総合成績
1位ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)3:36:07
2位カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)0:00:04
3位フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)0:00:06
4位シモーネ・ベラスコ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ)0:00:07
5位マッティア・バイス(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)0:00:08
6位アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アージェードゥーゼール・シトロエン)0:00:10
7位ルカ・メズゲッツ(スロベニア、バイクエクスチェンジ
8位ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
9位アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
10位ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ポイント賞
1位ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)12pts
2位カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)10pts
3位フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)8pts
山岳賞
1位ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ)13pts
2位ヤン・バークランツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)11pts
3位シモーネ・ベラスコ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ)6pts
ヤングライダー賞
1位マッティア・バイス(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)3:36:15
2位アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)0:00:02
3位マックス・カンター(ドイツ、チームDSM)
チーム総合成績
1位ドゥクーニンク・クイックステップ10:48:51
2位バイクエクスチェンジ
3位UAEチームエミレーツ
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse, CorVos
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