スーパープレスティージュ最終戦をパウェルズサウゼン・ビンゴール勢が制圧。ローレンス・スウェーク(ベルギー)が勝利し、トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が苦しみながらも総合優勝。女子レースではデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が勝利した。



シリーズ総合優勝が懸かったトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)シリーズ総合優勝が懸かったトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:Nobuhiko Tanabe後方からスタートを待つスティーブ・シェネル(フランス、クロスチームレジェンドル)後方からスタートを待つスティーブ・シェネル(フランス、クロスチームレジェンドル) photo:Nobuhiko Tanabe

リードを奪うローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)リードを奪うローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) photo:Nobuhiko Tanabe
シクロクロス世界選手権から1週間。アルカンシエル着用者を決めたオステンドの隣町であるミッデルケルケでは、シクロクロス3大シリーズの一つ、スーパープレスティージュのシーズン最終戦が開催された。

ロードシーズンに向け、新世界チャンピオンのマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)は参戦せず。深い泥に埋もれたタフな重馬場レースは、実力伯仲のベルギー&オランダ勢による先頭争い、そしてシリーズランキングの優勝争いを演出した。

スタート時点でランキングリーダーのトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)と2位エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)のポイント差は5点(アールツ89点、イゼルビッド84点=イゼルビッドの順位に関係なく、アールツは5位以上で総合優勝確定)。シリーズ優勝は堅いと思われていたアールツだったが、深い泥に苦しむことになる。

混戦のキャンバー登り混戦のキャンバー登り photo:Nobuhiko Tanabe
スタート直後からリードを奪ったパウェルズサウゼン勢(スウェーク、イゼルビッド、ファントーレンハウト)スタート直後からリードを奪ったパウェルズサウゼン勢(スウェーク、イゼルビッド、ファントーレンハウト) photo:Nobuhiko Tanabe
走りに冴えのないトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)走りに冴えのないトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:Nobuhiko Tanabe
レースはスタート直後からローレンス・スウェークとエリ・イゼルビッド、そしてマイケル・ファントーレンハウト(共にベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)がリードを積み重ねる展開に。一方アールツは「自分にマッチしたコースなのに非常に苦しいレースだった。ペースが早すぎた」と8番手前後に沈み、シリーズ制覇に黄色信号を灯らせてしまう。

泥を掻き分けて進むパウェルズサウゼンの3人は、チームプレーでレース中盤に1分ものリードを積み上げて突き進む。やがて「あまり自分の走りができず、中盤過ぎから苦しくなった」と言うイゼルビッドが遅れ、更に斜め下りキャンバーの落車でファントーレンハウトが落車。こうしてスウェークがフィニッシュまで続く独走体制に持ち込んだ。

巧みな走りでリードするローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)巧みな走りでリードするローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) photo:Nobuhiko Tanabe
終盤にアールツのアシストとして走ったラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)終盤にアールツのアシストとして走ったラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:Nobuhiko Tanabe難しいラインを走るケヴィン・クーン(スイス、トルマンス・シクロクロスチーム)とフェリペ・オルツ(スペイン、テイカ・BH・Gスポーツ)難しいラインを走るケヴィン・クーン(スイス、トルマンス・シクロクロスチーム)とフェリペ・オルツ(スペイン、テイカ・BH・Gスポーツ) photo:Nobuhiko Tanabe


後方ではスヴェン・ネイスの指示を聞いた5番手ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がアールツのためにペースダウン。「ラースが僕を待ってくれているのを見て自信を取り戻した」と言うアールツは、6番手で最終周回に入った。

重くスリッピーな泥コースを攻略したスウェークは、最後まで独走体制をを守り抜き勝利。今季好調を維持しながらも、ファンデルプールとファンアールトの影でなかなか表彰台に手が届いていなかった前べルギー王者が待望の優勝を掴んだ。

今季スーパープレスティージュ2勝目を掴んだローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)今季スーパープレスティージュ2勝目を掴んだローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) photo:Nobuhiko Tanabe
2位ファントーレンハウト、1位スウェーク、3位イゼルビッド2位ファントーレンハウト、1位スウェーク、3位イゼルビッド photo:Nobuhiko Tanabe
イゼルビッドが3位に終わったことで、6位フィニッシュのアールツが2ポイント差でシリーズ総合優勝を達成。「世界チャンピオンと同じく(シリーズ制覇は)常に”欲しいものリスト”に入れていたものだから本当に嬉しいよ。来年は世界タイトルも含めて狙っていきたい」と話している。



アルカンシエル姿を披露したルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)アルカンシエル姿を披露したルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:Nobuhiko Tanabe
女子レースがスタート女子レースがスタート photo:Nobuhiko Tanabe欧州チャンピオンジャージを着るセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)欧州チャンピオンジャージを着るセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:Nobuhiko Tanabe


ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) のアルカンシエル初披露の場となった女子レースは、ブラントとサンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン)のダッシュで幕開ける。しかし二人はすぐに落車で遅れ、世界選手権を3位で終えたデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)とマノン・バッカー(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)がリードを築いた。

先頭を進んだベッツィマとバッカーの背後には、アルカンシエルから欧州チャンピオンジャージに衣替えしたセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)が迫ったものの、捉えられる前にベッツィマが加速する。「とてもタフなコースだけど自分に合っていたし、レースを楽しみにしていた」と言う世界選ブロンズホルダーは、アルバラードとの10秒差を20秒、30秒と広げていった。

軽やかな走りでリードを奪うデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)軽やかな走りでリードを奪うデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) photo:Nobuhiko Tanabe
バリアぎりぎりを走るルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)バリアぎりぎりを走るルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:Nobuhiko Tanabe
30秒以上のリードを守ったまま勝利したデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール)30秒以上のリードを守ったまま勝利したデニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) photo:Nobuhiko Tanabe
どこか調子の上がらないアルバラードを退け、泥コースを攻略したベッツィマが「今日生まれた甥っ子にプレゼントする」今季スーパープレスティージュ初勝利。アルバラードに次ぎ、3位までポジションを回復させたブラントがシリーズランキング総合優勝に輝くこととなった。

2位アルバラード、1位ベッツィマ、3位ブラント2位アルバラード、1位ベッツィマ、3位ブラント photo:Nobuhiko Tanabe
泥のスーパープレスティージュを戦った選手たちは、リールに移動して翌日日曜日に控えるX20トロフェー第7戦に出場予定。現地は雪が降り続き、雪と泥のスノークロスになる可能性が高い。
スーパープレスティージュ2020-2021第8戦男子エリート結果
1位 ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 59:49
2位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:01
3位 エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:52
4位 コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム) 1:23
5位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 1:51
6位 トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 2:07
7位 フェリペ・オルツ(スペイン、テイカ・BH・Gスポーツ) 2:19
8位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム) 2:37
9位 ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) 2:42
10位 ケヴィン・クーン(スイス、トルマンス・シクロクロスチーム)
スーパープレスティージュ2020-2021第8戦女子エリート結果
1位 デニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 49:28
2位 セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) 0:32
3位 ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 1:08
4位 マノン・バッカー(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) 1:31
5位 ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) 1:53
6位 サンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン) 2:26
7位 マリオン・ノーブルリブロール(フランス、スターカジノCXチーム) 2:35
8位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) 2:47
9位 アニック・ファンアルフェン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) 2:52
10位 パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス) 3:40
text:So Isobe