5月31日、CAS(スポーツ調停裁判所)がアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケスデパーニュ)に対し、ドーピングに関与した疑いですべての競技への2年間の出場停止処分を決定した。これまでイタリア国内のみだった処分が世界的に拡大することになる。

CASはバルベルデに対し、3月の時点で来年5月までのイタリア国内のレースへの出場停止処分を決めていた(バルベルデの訴えを棄却)が、5月31日にCASが出した決定は、それを全世界的に拡大するもので、処分は2010年1月に遡って適応される。これによりバルベルデは2011年12月31日まですべてのレースに出場できなくなった。

ツール・ド・ロマンディ2010を制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)ツール・ド・ロマンディ2010を制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) バルベルデに掛けられている疑いは、2006年以来のドーピングスキャンダル「オペラシオン・プエルト」への関与だ。

イタリアオリンピック委員会 CONIがバルベルデに対して2年間の出場停止処分を与えたのが2009年5月11日のこと。CONIは、2008年ツール・ド・フランス期間中にイタリアで採取した血液サンプルのDNAが、2006年のドーピング一斉捜査「オペラシオン・プエルト」によってフエンテス医師のオフィスから押収された血液バッグと一致したと主張。CASはバルベルデに対してイタリア国内でのレース出場を禁じていた。

世界反ドーピング機関 WADA とともに訴え、バルベルデの出場停止処分を世界的に拡大したい意向を示してきた国際自転車競技連合 UCIは、今回のCASの決定に満足する主旨の声明を出した。また、この決定を受けてバルベルデが2010年度中に挙げたツール・メディテラネアン総合優勝、ブエルタ・アル・パイスバスコ第2ステージ優勝、ツール・ド・ロマンディ第5ステージ優勝&総合優勝などの5つの勝利と獲得ポイント、賞金は剥奪されることになった。ただし2009年度までに挙げたブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝をはじめ、クリテリウム・ドーフィネリベレ、クラシカ・サンセバスチャンなどでの勝利は引き続き認められるという。

一方のバルベルデ側は今回も即座にドーピングへの一切の関与を否定し、スイス最高裁へ上告して争う構えだ。所属するチームのケースデパーニュ側も「バルベルデは世界で最もドーピングに関して検査されているアスリート。証拠が無く、ドーピング検査でも陽性になったことが無い」として、バルベルデをサポートする姿勢を変えていない。



text:Makoto.AYANO