メインスポンサーが降板し存続の危機に瀕していたNTTプロサイクリングが、スイスのアパレルメーカーASSOS(アソス)を迎え、来季もワールドチームとして活動していくことを発表した。

チーム解散の危機を迎えたNTTプロサイクリングチーム解散の危機を迎えたNTTプロサイクリング photo:CorVos
11月20日、NTTプロサイクリングはプレスリリースを発表。スイスのアパレルブランドであるアソスがタイトルスポンサーとなり、チーム名を「チームクベカ・アソス」として2021年以降もワールドツアーを舞台に戦っていく。

チームは昨年末よりNTT(ロンドンに拠点を置くNTTグループの特定子会社であるNTT Ltd.)をメインスポンサーに迎え、今年はビャルネ・リース氏が監督として加入。リース氏はチームの指揮を取るだけでなく、ビジネスパートナーと共にチームの少数株主になることで強化が進む予定だった。しかし9月28日にNTTのスポンサー撤退が発表され、母国デンマークの企業と交渉を進めていると報道があったリース氏も今月になりチームを去った。

チームクベカ・アソス ロゴチームクベカ・アソス ロゴ ©Team Qhubeka ASSOS チーム代表のダグ・ライダー(2019年チームディメンションデータ当時)チーム代表のダグ・ライダー(2019年チームディメンションデータ当時) photo:Makoto.AYANO


そして新たなスポンサー探しに奔走していたチーム代表のダグラス・ライダー氏が交渉に成功したのが、スイスのサイクルアパレルメーカーであるアソス。1970年代後半には世界で初めて肩ひもの付いたビブショーツやエアロワンピースを制作したアパレルブランドで、前ディメンションデータ時代より同チームのサプライヤーとして選手たちをウェアで支えてきた存在。高品質のスポーツサイクリング専用アパレルでサイクリストたちに不動の人気を誇るトップブランドだ。

2020シーズンもアソスのテクニカルウェアを着て走ったNTTプロサイクリング2020シーズンもアソスのテクニカルウェアを着て走ったNTTプロサイクリング photo:Makoto AYANO
アソスのCEOであるデレク・ブシャールホール氏は「ミッション・ドリブン(使命を第一とする)なチームに関わることができ、とても嬉しく思います。クベカのスローガンである『自転車が生活を変える』はこれ以上ないほど我々を奮い立たせてくれます」とコメントしている。

ダグラス・ライダー氏も公式リリースで「タイトルスポンサーになってくれたスイスのアソスをはじめとする素晴らしい人々やパートナーのサポートを得られたことを大変嬉しく思う。チームクベカ・アソスとしてチームを再建できるということは、我々が目指し続けている『目的主体かつ高いパフォーマンスを発揮するチーム』だということを物語っている。ここ数週間はファンからの多くのコメントが寄せられ、いかにチームがファンと様々な形で繋がっているかが分かり、信じられないほど嬉しかった」と、チーム継続の喜びを語った。

アソスのアパレルスポンサーを受けて走ったNTTプロサイクリングアソスのアパレルスポンサーを受けて走ったNTTプロサイクリング photo:Makoto AYANOスイスのバイクメーカー、BMCもチームスポンサーとして残るスイスのバイクメーカー、BMCもチームスポンサーとして残る photo:Makoto AYANO


しかしこれまでに来季以降の活動が不透明だった影響から、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)がトタル・ディレクトエネルジーへ、ミケル・ヴァルグレン(デンマーク)がEFプロサイクリングへ、ルイス・メインチェス(南アフリカ)はサーカス・ワンティゴベールへ移籍するなど、6名の選手のチーム離脱が決まっている。

一方で正式な発表はされていないものの、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)やジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)などの契約は引き継がれていくようだ。なお、入部正太朗を含む所属選手たちの動向はいまだ明らかになっていない。



text:Sotaro.Arakawa