歴史と伝統ある欧州シクロクロスシリーズ戦「スーパープレスティージュ」が開幕。無観客試合でトーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)と女子世界王者のセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)が勝利している。



池を囲う砂地と小刻みな登りが特徴のギーテン池を囲う砂地と小刻みな登りが特徴のギーテン photo:CorVos
コロナ禍の中、ベルギー屈指のシクロクロスシリーズ戦「テレネット・スーパープレスティージュ」が、10月11日(日)オランダの街ギーテンで開幕した。1982年に開幕し、UCIシクロクロスワールドカップ(1993年にスタート)よりも歴史ある伝統的なシリーズ戦であり、そのプライオリティは非常に高い。

ベルギーの英雄スヴェン・ネイス(ベルギー)が過去最多の13回総合優勝を挙げているシリーズ戦は今年、多くの国が渡航制限を課していることから男女ジュニアレースをキャンセルし、エリート/U23混走(ジュニア選手出走可)の男女各レースのみ、無観客、ノーゲストでベルギー国内での合計8戦を予定。当初は開催中止も検討されたものの、開催地域の経済を回す意味でもゴーサインが下されたという。
スーパープレスティージュ2020-2021レースカレンダー
10月11日(日) ギーテン(ベルギー)
10月24日(日) ルッデルフォールデ(ベルギー)
11月11日(水) ニール(ベルギー)
11月21日(日) メルクスプラス(ベルギー)
12月5日(日) ボーム(ベルギー)
12月19日(日) ガーフェレ(ベルギー)
12月26日(日) ヒュースデン=ゾルダー(ベルギー)
2月6日(日) ミッデルケルケ(ベルギー)
例年開幕戦が行われるギーテンのコースの特徴は、池を囲う砂地と小刻みな登り。今年は雨によって重馬場の泥区間が現れたことで、パワーとランニング能力も問われる欧州らしいレースが繰り広げられた。

落車でチャンスを逃したエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)落車でチャンスを逃したエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) photo:CorVosジュニア世界王者のティボー・ネイス(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)ジュニア世界王者のティボー・ネイス(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) photo:CorVos

男子レースを制したトーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)男子レースを制したトーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) photo:CorVos
スタートから序盤戦にかけてはエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)がリードしたものの、2周目の芝生コーナーで落車したことでトーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)が先頭に。世界王者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)不在のレースでアールツが独走体制を築き上げた。

イゼルビッドはベルギー王者ローレンス・スウェーク(パウェルズサウゼン・ビンゴール)と2位グループを組んだものの、落ち着いたレース運びの先頭アールツとの距離は縮まらない。後方にはラース・ファンデルハール(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)やコルネ・フェンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム)といったメンバーが続いた。

男子レース表彰台:トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)が頂上に男子レース表彰台:トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ)が頂上に photo:www.superprestigecyclocross.be
元ベルギー王者の証を腕に巻くアールツは快調にペースを積み上げ、途中2度落車を喫してもリードを守り抜いてフィニッシュ。シーズン初戦に幸先の良い勝利を挙げた。追走していたイゼルビッドが2位に入り、スウェークは3位。サーカス・ワンティゴベールの一員としてロードレースに出場し、ベルギー選手権で7位に入っていたコルネ・フェンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム)が4位に入っている。



オランダ勢が制圧女子レースを制圧。世界王者アルバラードが圧勝

先頭を走るセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)とルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)先頭を走るセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)とルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) photo:CorVos
エリート女子世界王者セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)とU23女子世界王者マリオン・ノーブルリブロール(フランス、スターカジノCXチーム)、ジュニア女子世界王者シリン・ファンアンローイ(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)が揃い踏みした女子レースは、序盤からアルバラードがレースを掌握した。

アルカンシエルを着用するアルバラードはアンマリー・ワースト(オランダ、777)やルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ)、欧州王者ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ)といった面々と先頭グループを組んだが、登りのたびに抜け出す余裕を見せてレースを進める。3周目にリードを稼いでからは、首位を誰にも脅かされることなくフィニッシュまで走りきった。

3周目に独走態勢へと持ち込んだセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)3周目に独走態勢へと持ち込んだセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
開幕戦で勝利を挙げたセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)開幕戦で勝利を挙げたセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
2位集団のゴール勝負はワーストが先着し、ブラントが3位表彰台を獲得。女子シクロクロス界を席巻するオランダ勢は、トップ10に8名を送り込み層の厚さを今一度見せつける結果になった。また、トレック・セガフレード入りが発表されたばかりのジュニア王者ファンアンローイは9位に入った。

コロナ禍の下動き出した欧州シクロクロスカレンダーだが、UCIワールドカップはその多くが中止され、ロードとMTBで開催にこぎつけた世界選手権も中止の可能性があることが報じられている。
スーパープレスティージュ2020-2021第1戦男子結果
1位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) 1:04:11
2位 エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:24
3位 ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:41
4位 コルネ・フェンケッセル(オランダ、トルマンスシクロクロスチーム) 0:55
5位 ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) 1:03
6位 ライアン・カンプ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 1:18
7位 ダーン・ソエテ(ベルギー、グループヘンス・マースコンテナーズ) 1;24
8位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 1:43
9位 ヴィンセント・バエスタンス(ベルギー、グループヘンス・マースコンテナーズ) 1:59
10位 タイス・アールツ(ベルギー、テレネットバロワーズ・ライオンズ) 2:15
スーパープレスティージュ2020-2021第1戦女子結果
1位 セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) 42:21
2位 アンマリー・ワースト(オランダ、777) 0:24
3位 ルシンダ・ブラント(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) 0:28
4位 ヤラ・カステリン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) 0:29
5位 デニセ・ベッツィマ(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:33
6位 アニク・ファンアルペン(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) 1:18
7位 ラウラ・フェルドンショット(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 1:42
8位 マノン・バッカー(オランダ、クレディショップ・フリスタッズ) 2:01
9位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、テレネットバロワーズ・ライオンズ) 2:08
10位 サンヌ・カント(ベルギー、IKO・クレラン) 2:15
text:So Isobe

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